「これはイイね!」 マツダ初の量産EV「MX-30EV」 なぜ上出来な仕上がりに出来た?
くるまのニュース / 2021年2月6日 16時10分
マツダ初の量産EVとして登場した「MX-30 EV MODEL」。同じボディを用いたガソリン仕様では「厳しい!」としていた自動車ジャーナリストの国沢光宏氏ですが、本命のEVモデルの評価はどうだったのでしょうか。
■マツダの「MX-30 EVに試乗したら驚いた!」。予想をはるかに超える良いクルマだったからです。
「マツダの「MX-30 EVに試乗したら驚いた!」。予想をはるかに超える良いクルマだったからです。
というのもガソリンエンジンを搭載して先行発売されていたMX-30、同業者は皆さん好意的な記事を書いているけれど、ニュートラルに評価すると「厳しいですね」。
ボディが緩い感じでドタバタするし、エンジンだって賑やかでドライバビリティ良くない。
そんなイメージを引っ張りながらMX-30 EVのハンドルを握り走り出すと「いいね! いいね!」の連続だったりする。
まずボディから伝わってくる「雑味」がほとんどない。ガソリンエンジンの場合、200kg近い重量のパワーユニットを、エンジンマウントと呼ばれるブッシュで支えている。常に揺れている、と考えてよい。
さらに冷却液という液体が入ったラジエターもブッシュを介してボディに取り付けられている。
したがって道路からの上下動を受けたり、エンジンの回転数を上げたり下げたりする度にエンジンルーム内で重いモノがアッチいったりコッチいったりします。
そういった「不協和音」をドライバーは“雑味”として感じ、不快感になってしまう。
ボディ後半もガソリンエンジンを積んだMX-30の場合、重い観音開きのドアなど支えるのに剛性が足りないんだと思う。走り出すや絶えず“ブルブルした感じ”をドライバーに伝えてます。
しかし、MX-30 EVはボンネット開けるとモーターと小型のインバーターしか入っていない。揺れる物体無し。したがって前からの不快な揺れは皆無。
ボディ後半はドライバーのお尻の下あたりからリアサスの後方まで、どんな激しい衝突でも壊れない頑丈なケースに入れたリチウム電池を搭載している。
結果、車体下面のボディの強さときたら、おそらくガソリンエンジン車の千倍(少し大ゲサ)くらいあるんじゃないかと思えるほど。リアサスからの入力で微動だにしない。
ボディの作り&しっかり感からくる高品質な雰囲気ときたら、歴代マツダ車のなかで圧倒的な1位。いや、世界的に評価したってTOPクラスだと思う。
エンジン無し。ボディ下部にバッテリーケースを載せるという車体構成を持つ電気自動車は押し並べてガソリン車より上質感あるけれど、それでもMX-30 EVの仕上がりは上位。
街中や高速道路などさまざまな路面&交通状況で走ってみたが、どんな走り方をしてもガソリンエンジンのMX-30と比較にならないくらい快適だったりする。
ブレーキフィールを含め全て自然。絶対的な動力性能だって必要にして十分。クルマとしての「華」を持たせようとすれば現在145馬力のモーターを200馬力くらいにすれば楽しさも出てくる。
■なぜマツダは最初から「イイ!」 電気自動車を作れたのか?
なんでこんなレベル高い電気自動車を最初から作れたのだろう。
これはベースになっている技術を持っているからです。例えばブレーキ。電気自動車は「油圧」と「回生」という2タイプのブレーキを持つ。
ペダル踏んだら最大限に回生し、足りない部分だけ油圧というのが望ましい。けれど100%協調制御しているのはトヨタだけだった。
マツダもこのタイプの協調制御を完成させているため効率良く回生出来るんだろう。
同クラスの電気自動車と比べ「電費」良い。はたまたマツダ特有の「Gベクタリング」(車体の前後方向の動きを制御して穏やかな挙動にする)を電気自動車にも採用している。
きっとMX-30 EVの素直な挙動の要因になっているんだと思う。いやいや驚きました。
ガソリン仕様ではエンジンがある場所は、スペースがたくさん! そのため、フロントが軽い!
最近、マツダ車はパワーユニットでハッキリ遅れを感じさせていた。
けれど電気自動車作りとなればパワーユニットのハンデがすべてチャラになる。
よく「電気自動車は新興メーカーも作れる」といわれ、確かにテスラは実践し、中国を見てもたくさん出てきている。ただ車体技術やクルマ作りのノウハウからすれば、圧倒的にマツダ有利。
マツダ自身は気付いていないかもしれないが、今から電気自動車に注力したらきっと世界のTOPに出られると思う。
もちろん冷静になってMX-30 EVを見ると電池搭載量が少なく実用性で厳しい(寒い日の安心航続距離は150km程度)。価格だって割高だ。
500台という販売目標はそんなものだろう。ただポテンシャルは感じます。
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