レクサスミニバン「LM」とライバルになる? 新型「スターリア」との違いは? 日本含むアジア展開の可能性
くるまのニュース / 2021年4月13日 10時10分
レクサスには、アジア圏の一部で販売している高級ミニバン「LM300h/LM350」が存在しますが、2021年3月17日に韓国のヒュンダイは新たな高級ミニバンとして「スターリア プレミアム」を公開しました。両車はライバルとなり得るのでしょうか。
■世界中で勢いを増すヒュンダイの新たな一手「スターリア」
2021年3月17日に、韓国の自動車メーカーとなるヒュンダイは新型ミニバン「スターリア」と高級仕様となる「スターリア プレミアム」を公開しました。
そのなかで、スターリア プレミアムは高級ミニバンの雰囲気が漂いますが、似たような志向のモデルとしてレクサスは「LM300h/LM350」を一部地域で販売しています。
スターリア プレミアムがもしLM300h/LM350と同市場で発売されれば、両車はライバルとなる可能性もありますが、どのような違いがあるのでしょうか。
今回のスターリアとスターリア プレミアムは、その独特のデザインが日本でもSNSなどで話題となっています。
とくに、スターリア プレミアムのデザインは、ボンネット先端からリアエンドまでつながる流線型のデザインを採用したことで、まるで近未来の盛り物のような雰囲気があります。
フロント部分には、横一文字に貫かれたLEDデイタイムランニングライトや迫力のある個性的なメッシュ構造のフロントグリルが存在感を強調。
ウインドウの面積は全体的に広く設計されていますが、ヒュンダイによると韓屋(かんおく)と呼ばれる韓国の伝統的な建築様式に着想を得てデザインしたといます。
リアは、フロントと比べてシンプルなデザインですが、縦型のブロックパターンLEDリアコンビネーションランプは後続車に対して主張しています。
また、細部にはクローム加飾が施され、公開された黒いボディカラーと相まって高級感を醸し出しています。
スターリア プレミアムのインテリアは、前席は先進的かつシンプルなデザインとなり、メーターやディスプレイ、ボタン式のシフトセレクター、全64色のアンビエントランプがエクステリア同様に近未来感を演出。
2列目ではオットマン付きのキャプテンシートを搭載することで高級感を演出しています。
そのほかのグレードによっては、商用用途の2人乗りから送迎用途の11人乗りとシートレイアウトが設定され、9人乗り(2+2+2+3)では2列目シートが180度回転する機能を搭載。
パワートレイン(韓国向け仕様)は、2.2リッターディーゼルエンジンに8速ATが搭載され、仕様によってはオプションで6速MTや3.5リッターLPGエンジンも選択可能です。
ヒュンダイは、2021年前半に予定するデジタルワールドプレミアでスターリアおよびスターリア プレミアムを正式にデビューさせるとアナウンスしており、2021年4月9日時点では韓国で事前予約が開始されていることが明らかになっています。
この際判明した価格は、スターリアが2516万ウォン(日本円換算で約211万円)から、スターリア プレミアム(現地名:スターリアラウンジ)は3631万ウォン(約356万円)からとなっていました。
一方、レクサスが台湾や上海などで展開するLM300h/LM350は、同ブランド初となる高級フラッグシップミニバンです。
ベースはトヨタが日本でも販売するミニバンの「アルファード/ヴェルファイア」となり、世界初公開の際には大きな注目を集めました。
LMのデザインはフロント部分にレクサスのアイデンティティとなる大型のクロムメッキスピンドルグリルを採用。さらにスピンドルグリルの縁にメッキ加飾を施すことで煌めいた存在感を主張しています。
さらに、一体型LEDヘッドライトやL字デイタイムランニングライトが夜間でもひと目でレクサスと分かるのが特徴的です。
リアは、最近流行りの横一文字リアコンビネーションランプを採用。中心部が狭まり左右にいくほど広がるデザインとなっています。
インテリアは、2列シート4人乗りまたは3列シートの7人乗りを設定。4人乗りでは前列と後列の間に、色を変えることができる専用プライバシーガラスを採用したパーティションが設置されます。
パーティション部分の「シルバーインク」装飾ボードは、風景画と松の模様からインスピレーションを受けてデザインされたといいます。
なお、後席には、スマホやタブレットの接続、Blu-ray再生が可能な26インチディスプレイが配置されるほか、2本のワインなどを入れることができる冷蔵庫を搭載。
現在、台湾では2.5リッターハイブリッドを搭載するLM300hをラインナップ。香港では、3.5リッターV型6気筒ガソリンを搭載するLM350をラインナップするなど販売地域によって異なるようです。
なお、台湾での販売価格は、3列シート7人乗りが1166万元(約1950万円)、2列シート4人乗りは1466万元(約2450万円)となっています。
スターリア/スターリア プレミアムとLMでは、およそ10倍の価格差が存在するため、実質的なライバルとはいえないものの、その高級あるデザインなどは比較される対象だといえます。
■スターリアとLM、今後の展開は?
現在、ヒュンダイはさまざまな地域で販売網を展開しています。そのなかでも北米市場では、北米車、日本車と販売台数を競い合うなど主力メーカーのひとつです。
また、アジア圏などの新興国でもヒュンダイは販売台数を伸ばしており、かつて日本車が「安さ・丈夫さ」で築き上げたブランド力や販売台数に猛攻をかけています。
今回の、スターリアは前述のように商用用途から送迎用途として活用出来るため、さまざまな地域で販売される可能性は高いといえます。
しかし、高級仕様となるスターリア プレミアムがLM300h/LM350と同じ高級ミニバンとして展開される場合には、販売される市場は限られるかもしれません。
2021年現在、LM300h/LM350は前述の台湾や香港以外にマカオやインドなど限られた地域でしたか正規販売はおこなわれておらず、そのほかの地域でも今後の展開は不透明です。
北米市場では、ミニバン市場自体が小さくトヨタ・レクサスでは全長5m超えの「シエナ」をラインナップするのみとなり、欧州では商用用途(一部乗用)として「プロエースシリーズ」を展開しています。
このように、高級ミニバンというジャンルは北米や欧州にはあまり根付いておらず、主に中国を始めとするアジア圏(日本を含む)が主力市場となっています。
そのため、スターリア プレミアムが販売されるとしても中国などのアジア圏と考えられるのです。
レクサス初となる新型ミニバン「LM」は上海モーターショー2019で世界初公開された(画像:お披露目時の様子)
ちなみに、ヒュンダイのお膝元となる韓国では、トヨタは前出のシエナを展開。2021年4月13日に新型モデルの公式発表が予定されており、現在予約が受け付けられています。
※ ※ ※
日本市場においてヒュンダイは現状で商用車事業のみ展開となり、乗用車事業は2009年に撤退しています。
しかし、2020年から日本市場で公式SNSの立ち上げや、燃料電池車「ネッソ」のイベント、一般ユーザー向けに貸し出しをおこなうなど、動きが活発化しており、乗用車事業が復活するのではないかといわれています。
そのため、今後スターリアやスターリア プレミアムが日本で販売される可能性も考えられ、LM300h/LM350が日本で販売されていないことから、もしかすると当面のライバルはトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」「グランエース」、ホンダ「オデッセイ」、日産「エルグランド」、メルセデス・ベンツ「Vクラス」といったモデルとなるかもしれません。
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