氷上ブレーキ性能8%向上!グッドイヤーの最新スタッドレスタイヤ「アイスナビ8」をインプレッション
くるまのニュース / 2021年10月22日 13時10分
グッドイヤーから、2022年シーズンの新作スタッドレスタイヤ「ICE NAVI 8(アイスナビ・エイト)」が登場しました。果たしてその進化はどこにあり、しっかり体感できるのかを実際に冬の道を走ってチェックしてみました。
■グッドイヤー最新スタッドレスの実力をリアルな冬路面で試した
降雪地域のカーライフに欠かせないものといえば、スタッドレスタイヤです。
スタッドレスタイヤは、多くのメーカーが数年に1度は新しい商品を送り出しますが、その背景にあるのは進化による商品力の向上。
タイヤはどれも黒くて丸いドーナッツに見えるという人もいるかもしれませんが、実はメーカーの技術を結晶させた賜物なのです。しかも近年、化学分野における素材の進化も著しく、性能の“向上幅”が大きくなっています。
グッドイヤーからは、2022年シーズンの新作スタッドレスタイヤとして「ICE NAVI 8(アイスナビ・エイト)」が登場。果たしてその進化はどこにあり、しっかり体感できるのかを実際に冬の道を走ってチェックしてみました。
このICE NAVI 8が従来品のICE NAVI 7に比べて大きく進化しているポイントは主にふたつ。ひとつはドライ路面での走行性能向上。もうひとつは、日本のスタッドレスタイヤで特に重視される氷上性能の向上です。
実際に舗装路面を走って感じたのは、しっかり感の高さでした。雪道での性能を重視したつくりのスタッドレスタイヤは夏タイヤに比べてドライ路面での接地感が乏しく、どことなくフワフワするのが一般的です。
しかしICE NAVI 8のドライ性能は想像を超えたもので、しっかりと路面を掴んでいる感覚がハンドル越しにドライバーに伝わってくることに驚きました。車体の挙動も安定していて、高速道路を走っている時でもフワフワせず、スタッドレスタイヤを履いていることを忘れてしまうほどです。
実はICE NAVI 8は、ICE NAVIシリーズとして初めて左右非対称パターン(タイヤの接地面が内側と外側で異なる)を採用しました。外側の剛性を高めた構造としたことで、旋回時に外側にかかる荷重をしっかりと支え、安定感あるクルマの挙動を実現しているのです。
加えて、快適性も好印象です。たとえばクルマの乗り心地の判断基準のひとつである首都高速道路の継ぎ目を超えた時のいなし方も巧みで、乗り心地がいいのは当然ながらノイズも非常に抑えられています。
昨今のタイヤ選びでは燃費に結び付く「転がり抵抗」が気になるところですが、グッドイヤーによると従来品よりも転がり抵抗を2%低減していて、同社の夏タイヤ(EAGLE LS EXE)と同等まで抑えているとのこと。また、耐摩耗性(すり減りやすさ)も従来品に比べて3%向上しているというのも嬉しい進化です。
地域によっては、冬にスタッドレスタイヤを履いても走行するのはほとんどがドライの舗装路という人も多いことでしょう。ドライ性能が向上したICE NAVI 8は、そういった環境に人もマッチングが優れるタイヤと言えます。
このように夏タイヤと比べても違和感のない乗り味を実現しているICE NAVI 8ですが、そもそも多くの人がスタッドレスタイヤに求めているのは雪上や氷上(アイスバーン)。そこではどんな走りを見せてくれるでしょうか。
■日本の開発拠点が日本の道路環境にあわせて開発したスタッドレスタイヤ
まずは圧雪路面を走ってみると、とても頼りになる感覚がありました。ハンドル操作に対してしっかりと反応し、そのままハンドルの修正が少ないままクルマが曲がってくれる印象です。これは接地面の横方向の溝をジグザグに刻んだことで、雪をしっかりと掴む能力が増した設計が効いているのでしょう。
そしてもっとも気になるのが滑りやすいアイスバーン(凍結路)での走りですが、結論からいえば納得の性能でした。ブレーキを踏んだ時でもグググッとタイヤがしっかり路面をひっかく感覚が強く、かなりグリップしながら止まってくれます。
今回の試乗車はFFのプリウスでしたが、雪が踏み固められアイスバーンに近い路面での坂道発進でも「こんな路面でも発進できるのか!」と思うほど対応してくれます。もちろん強くアクセルを踏み込めばトラクションコントロールが作動するのですが、それでもアクセルを踏み続ければグイグイと坂を登っていってくれます。
冬の道では、道路が白くて見た目では圧雪路面かと思いきや、実は雪の下が氷でとても滑りやすく危険な路面という状況も多々あります。たとえば雪道で曲がっているときに、突然そんな状況になると急にタイヤが滑って挙動が乱れることもありますが、ICE NAVI 8ではそんな路面でも急激にグリップを失うことはなく、とても安心して運転することができました。
グッドイヤーの最新スタッドレスタイヤ「アイスナビ8」
また、滑りやすい凍結路面での旋回中に、ハンドルを切り足すなどの操作をした時もちゃんと反応してくれる懐の広さも印象的です。凍結路面での旋回能力は、左右非対称パターンを採用したことによって旋回中に接地面外側の接地面積が増してグリップが向上したことが大きく効いています。グッドイヤーのテストによると、氷上コーナリング性能は従来品に対して5%高まっているそうです。
ここまでの試乗でしっかりと期待に応えてくれることがわかったICE NAVI 8ですが、最後にスタッドレスタイヤにとってもっとも意地悪な状況も試してみました。緊急回避を想定し、氷の上に雪が積もった路面で、旋回中にABSが作動するまで思い切りブレーキを踏んでみたのです。
いざそれをやってみたところ、想定していた効き具合よりも数段上をいくものでした。性能のよくないスタッドレスタイヤはグリップを失ってハンドルを切っている方向ではなく外側へ向かってしまうこともありますが、ICE NAVI 8はグググッと減速しながらしっかりとハンドルを切った方向に曲がっていきました。旋回しながらのブレーキングでもズルズルと外側へ滑っていかなかったのです。
グッドイヤーによると、極小分散シリカをゴムに配合するなどの化学レベルの進化によってタイヤ接地面のゴムを凍った路面へ密着させることなどで、氷上路面でのブレーキ性能は従来品に対して8%も向上。加えて横方向のグリップもしっかり確保しているから、高い旋回ブレーキ性能が実現したのでしょう。
「日本の雪道は世界的にも滑りやすく特殊だから、それにあわせて日本で開発したスタッドレスタイヤが望ましい」と聞いたことがある人もいるかもしれませんが、それは事実です。
グッドイヤーは海外のメーカーなので、なかには日本で使うにあたってそこが気になる人もいるでしょう。しかし、グッドイヤーの日本向けスタッドレスタイヤは、日本の開発拠点が日本の道路環境にあわせて開発しています。
舗装路でのしっかり感や操縦性のよさ、そして快適性と、冬の路面での安心感を持ったスタッドレスタイヤ。あらゆる路面で試してみた結果、ICE NAVI 8はそんなトータルバランスの高いハイレベルなタイヤだと実感しました。
13インチから19インチまで合計69ものサイズがあり、軽自動車から大型サルーンやスポーツカーまで多くのクルマのサイズに対応することも嬉しいポイントです。
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