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ヨコハマの新スタッドレス「アイスガード7」はどう進化? 冬の北海道で試してみた

くるまのニュース / 2021年10月9日 16時10分

今シーズン新しくなって登場したヨコハマのスタッドレスタイヤ「アイスガード7(セブン)」は、氷上性能を14%、雪上性能を3%向上させたほか、性能持続性やころがり抵抗、ウエット性能、ドライ性能、耐摩耗性能など、定評のあった従来品「アイスガード6」と同等レベルを維持しているといいます。どんなスタッドレスなのか、2021年2月に北海道・旭川でテストしたレポートです。

■アイス制動性能14%向上! スノー性能もアップ

 今シーズン登場したヨコハマの乗用車用新スタッドレスタイヤが「iceGUARD 7(アイスガード セブン)」です。

 ヨコハマのスタッドレスタイヤは、1985年に誕生した「GUARDEX(ガーデックス)」がそのはじまりです。2002年には、いまも続く独自技術である吸水ゴムを採用した初代「アイスガード」が登場。今回登場したアイスガード7は、その名のとおりヨコハマのスタッドレスタイヤとして第7世代となる新商品です。

 発売サイズは13インチから20インチまで、35シリーズから70シリーズまで全89サイズ。価格はすべてオープンプライスです。

 まずは新製品アイスガード7に採用された新技術を見ていきます。

 大きく変わったのはトレッドパターンです。新たな開発アプローチである「接地とエッジの両立技術」によって、ヨコハマ史上最大の接地面積と溝エッジ量を実現した専用パターンを開発しました。

 接地面積を最大化する縦長のベルトブロック「マルチベルトブロックEX」や、幅広のリブ「パワーコンタクトリブEX」、ブロックの倒れ込みを抑える「コレクティブビッグブロックEX」などが、接地面積の拡大とブロック剛性の向上に寄与して氷上性能をレベルアップ。

 そして傾斜の異なる横溝「マルチダイアゴナルグルーブ」、ジグザグの縦溝「トリプルライトニンググルーブ」が溝エッジ量を増大させ、さらなる雪上性能を発揮します。

 コンパウンドには新規素材を採用した専用の「ウルトラ吸水ゴム」を採用。

 実績のある「新マイクロバルーン」に加え、新採用の「吸水スーパーゲル」が氷表面の水膜を素早く吸水。さらに新採用の「ホワイトポリマーII」によりシリカを均一に分散させることで、ゴムがしなやかになり氷に密着。またエッジ効果のある「マイクロエッジスティック」が氷や雪を噛むエッジ効果を発揮します。

 これらの技術を搭載した結果、従来品アイスガード6と比較して、氷上制動性能は14%向上、氷上発進/加速性能は15%、氷上旋回性能は7%向上したといいます。

 さらに相反する性能でもある雪上制動性能も3%向上。雪上旋回性能は同等以上、雪上発進/加速性能は3%向上という性能アップを果たしています。

 そんなヨコハマの新スタッドレスタイヤ、アイスガード7の冬性能を確かめるため、2021年2月に北海道・旭川市で試走会が開催されました。

■ヨコハマの冬タイヤ開発の拠点 TTCHで試走

 試走会がおこなわれたのは、北海道・旭川市にあるヨコハマの「北海道タイヤテストセンター(TTCH)」。

 ここは2015年に開業した、ヨコハマの冬タイヤ開発の拠点となる施設で、およそ90ヘクタールの敷地のなかには、100km/hを超える高速試験もできる全長2.3kmの圧雪周回路や、勾配5%の全長1.1kmの圧雪ハンドリング路、雪上/氷上登坂路などを備えています。

 なかでも2018年に開設された屋内氷盤試験場には、あらたに全長約100mという国内最大級の冷媒装置を備えた氷盤試験路面を設置。ここでは氷の表面温度をマイナス10℃から0℃までコントロール可能になったといいます。

屋内氷盤試験場でのテスト。何回試しても、従来品と比べて新アイスガード7のほうが手前で止まった屋内氷盤試験場でのテスト。何回試しても、従来品と比べて新アイスガード7のほうが手前で止まった

 そんな屋内氷盤試験場で、まずは新旧タイヤの比較をおこないます。

 195/65R15 91Qサイズの従来品、アイスガード6を装着したトヨタ「プリウス」は、30km/hからブレーキングするとABSを効かせながら、イメージどおりふつうに止まります。ヨコハマのスタッドレスタイヤは、従来から氷上ブレーキ性能に定評があることを実感できます。

 次に同サイズの新アイスガード7を履くプリウスに乗り換えてスタート。30km/hでブレーキングをすると、まず最初の制動Gの強さが違います。ABSがググッ、ググッと作動して速度が落ちていき、最後はギュッと止まります。最後の最後に、自分がイメージよりも一歩手前でギュッと止まる感覚がわかりやすく、誰でもその進化を実感できます。何度やっても新アイスガード7のほうが手前で止まりました。

 氷上での発進も比較します。従来品アイスガード6はキュルキュルとタイヤを空転させつつ、それでもかなり早いタイミングで加速していきますが、新アイスガード7はタイヤと氷が密着しているような感覚で、タイヤの空転も穏やかに、すぐに速度を上げていきます。アクセルを踏んでから加速するまで「待つ」時間がかなり短くなる印象です。

 氷上制動性能は14%向上、氷上発進/加速性能は15%向上という数字以上に、運転していて誰もが体感できるレベルなことに驚きました。

 続いて雪上のスラロームの新旧比較をおこないます。試乗車はFFのトヨタ「ヤリス」で、タイヤサイズは185/60R15 84Qです。

 左右にハンドルを切りながらパイロンをクリアしていきますが、速度を上げていくとアンダーステア気味になり、クルマがフロントから外へ外へと逃げていきます。

雪上スラロームコースでは19インチの「アイスガード7」を装着したトヨタ「スープラ」でも試走した雪上スラロームコースでは19インチの「アイスガード7」を装着したトヨタ「スープラ」でも試走した

 従来品のアイスガード6でもハンドルから伝わる情報が的確で、さらに速度を上げてもグリップが急に抜けることがなく滑りが穏やかなため、圧雪路でも運転がしやすいのですが、それでも新製品のアイスガード7装着車に乗ると、横のグリップが従来品よりも上がっているのがわかります。比較すると、新アイスガード7のほうが、同じコースでもハンドル舵角が小さくクリアできました。

 圧雪ハンドリング路では、4WDのトヨタ「ハリアー」とスバル「レヴォーグ」、FFのプジョー「508」とシトロエン「C3」で試乗しましたが、アップダウンのあるワイディングコースにもかかわらずFF車でもコントロールしやすく、安心のドライブができました。

■「世界一過酷な冬道!?」 旭川の一般道で試走

 翌日は、205/55R16 91Qサイズの新製品アイスガード7を装着したトヨタ「カローラセダン4WD」で、旭川から富良野の十勝岳まで、一般道を試走しました。

 朝の通勤時間帯では、旭川市内を通る国道237号線はかなりの交通量です。走るクルマは軽自動車やダンプカー、ミニバンなどさまざまですが、外気温計はマイナス6度、路面はツルツルに磨かれたアイスバーンになっています。

 冬の北海道でクルマを運転するたびに、スタッドレスタイヤの氷上性能の大切さを実感します。事実、ユーザーがスタッドレス購入時にもっとも重視する性能は氷上性能なのだそうです(2020年、ヨコハマ調べ)。

北海道・旭川市を中心に一般道をトヨタ「カローラセダン」で試した北海道・旭川市を中心に一般道をトヨタ「カローラセダン」で試した

 北海道は、都内に比べると信号が変わるタイミングもゆっくりで、さらに一人ひとりの車間距離も離れているため、冬道に慣れていない人でも怖い思いをすることは少ないのですが、それでも交差点の信号が赤になったときのブレーキング、そして青に変わった発進時などでは気を遣います。新アイスガード7は、どんな路面状況でも自分のイメージしたよりも滑る、ということがありません。ふつうにブレーキを踏めば止まり、アクセルを踏めば速度を上げていけます。

 美瑛から富良野に抜ける国道237号線の深山峠は、かなりのアップダウンがあるにもかかわらず交通量も多いため、アイスバーンの坂道が続く難所ですが、そんな場所でもヒヤッとすることはなく走行できました。

 上富良野駅を過ぎてから国道237号を曲がり、十勝岳方面に向かいます。ここは除雪車が入り、きれいな圧雪路が続きますが、山道に入ると急勾配のコーナーが続いています。また日陰のコーナーはアイス路面、日なたは表面に水が浮いているようなスノー路面と、テストコースのような一定の路面コンディションはどこにもありません。

 そんななかでも、アイスガード7を装着したカローラはふつうに走れます。急ブレーキや急ハンドルなどをおこなわない限りは、目まぐるしく変わる路面状況でもタイヤを意識することなく運転が可能でした。

※ ※ ※

 テストコースと一般道、2日間にわたってヨコハマの新スタッドレスタイヤ、アイスガード7を試しましたが、とくにアイスとスノーの性能は大幅に進化しています。

 それでいて、ころがり抵抗やウエット性能、静粛性能、ドライ性能、耐摩耗性能は、定評のある従来品アイスガード6と同等レベルを維持しているというから驚きです。

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