なぜ43年ぶりに“手あげ横断歩行”復活? 子供は「手あげ」必須! 交通教則に明記された背景とは
くるまのニュース / 2022年6月19日 9時10分
「横断歩道を渡って通行するときは、手を大きくあげましょう」という教えを受けたことがある人は多いかもしれません。実はこの“手あげ横断歩行”は、2021年の「交通の法則に関する教則」のひとつとして43年ぶりに復活しました。では、なぜ今になってこの定番ルールが復活したのでしょうか。
■定番の交通マナー“手あげ横断歩行”はなぜ今復活?
小さい頃、学校の先生や両親などから、「横断歩道を渡って通行するときは、手を大きくあげましょう」という教えを受けたことがある人は多いかもしれません。
実はこの“手あげ横断歩行”は、2021年の「交通の法則に関する教則」のひとつとして43年ぶりに復活しました。なぜ今になってこの定番ルールが復活したのでしょうか。
この“手あげ横断歩行”は、かつては国家公安委員会が発行している「交通の方法に関する教則」のなかで明文化されていましたが、1978年に削除されていました。それが、2021年4月15日の改正で43年ぶりに復活することになったのです。
「交通の法則に関する教則」とは、「歩行者と運転者がそれぞれの責任を自覚して、安全、快適なクルマ社会を築いていくための手引き」として利用されているものです。
道路交通法のように違反者に対して罰則があるわけではありませんが、すべての歩行者や運転者が守るべきものとされています。
そんな「交通の法則に関する教則」では、“手あげ横断歩行”について、「横断するときは、手をあげるなどして運転者に対して横断する意思を明確に伝えるようにしましょう」と記載されています。
では、なぜ今になって”手あげ横断歩行”が再び呼びかけられているのでしょうか。
そもそも手をあげることのメリットは、運転者に対して歩行者の姿をよりわかりやすく示すことにあります。
とくに、子どもは大人に比べて身長が低いことから、できるだけ目立つように手をあげることが推奨されてきました。
クルマに関する死亡事故は、先進安全技術の進化などにより減少傾向にありますが、その一方でクルマと歩行者による痛ましい事故を減らすことが課題となっています。
実際、警察庁によると、2021年度における日本の交通事故での死者数は2636人とっなっており、2011年度における4691人と比較すると大きく減少しています。
そのうち「歩行中」の交通事故が占める割合は35.7%と、そのほかの「自動車乗車中」、「二輪車乗車中」、「自転車乗車中」の項目のなかでももっとも大きい割合となります。
さらに、2021年度における歩行中の交通事故重傷者数6677人のうち、横断中の負傷者数は4526人です。
2011年度は、歩行者負傷者数9463人のうち、横断中の負傷者数は6303人となっており、割合としては現在の方が横断中における歩行者の交通事故が多くなっています。
この状況に対して、首都圏の警察署交通課担当者は「歩行者の歩行中による交通事故がいまだに多いという状況を打破するために、警察では“手あげ横断歩行”を強く呼びかけています」と話します。
クルマと歩行者が関わる事故の多くは横断歩道や交差点で発生します。そのなかでも、夜間であったり死角に入ってしまったりなどの理由で、運転者が歩行者を認識していないケースは多いといいます。
そうした際に“手あげ横断歩行”は歩行者を目立たせるための有効な手段であることから、今回あらためて「交通の方法に関する教則」のなかで明文化されることになったようです。
■「アイコンタクト」でもOK!重要なのは運転手とのコミュニケーション
しかし、この“手あげ横断歩行”は、子どもはまだしも、大人が実際におこなうには少し抵抗感を覚える人もいるかもしれません。
その点について前出の担当者は、以下のように話します。
「子どもに比べて、大人は恥ずかしさからか“手あげ横断歩行”を実践している人はあまり多くないようです。
ただ、“手あげ横断歩行”には、手を頭上に掲げるというだけでなく、ドライバーとアイコンタクトをとるなども含まれます。
そのため、『手をあげて歩行するのが恥ずかしい』という大人でも、ドライバーとアイコンタクトを取るなどの連携を心がけていただければと思います」
大人ならアイコンタクトでも良い? 大切なのはドライバーに認識されること
またこの担当者は続けて「大人ももちろんですが、やはり子どもは運転者から見えにくくなることも多いため、手をあげて歩行することをとくに意識していただきたいです」と呼びかけます。
実際、2021年度における児童の交通事故死者・負傷者数709人のうち、歩行中は424人と、半分以上が歩行中の交通事故となっています。
なかでも小学校1年生から3年生の交通事故死者数・負傷者数における歩行中の割合が、小学校4年生から6年生よりも倍ほど多くなっています。
そのため、身長が低く周囲があまりよく見えていない小学校低学年の児童が、歩行中に交通事故に遭いやすい傾向があるようです。
※ ※ ※
最近では衝突被害軽減ブレーキなどの安全装備が普及したことで、クルマに関わる重大事故は減少傾向にありますが、どれだけ優れた安全技術であっても決して万能ではありません。
横断歩道や交差点では、運転者はもちろん、歩行者も周囲に十分注意して渡ることが重要です。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
気をつけていたけれど…新1年生登校途中に交通事故 小学校目の前で 親も専門家も注意呼びかけ
STVニュース北海道 / 2024年4月19日 16時9分
-
「死者数だけが非常に多い」東京の交通事故“異常事態”なぜ? “ヤバイ事故”増加か
乗りものニュース / 2024年4月17日 9時42分
-
街の至る所に「警察官」なぜ? クルマだけじゃない! 人・自転車も対象!? 「謎の安全運動」とは
くるまのニュース / 2024年4月6日 6時10分
-
そろそろ「春の全国交通安全運動」!バイクが特に注意すべきポイントは?
バイクのニュース / 2024年4月4日 9時10分
-
「お先にどうぞ…」 歩行者に譲られて発進は違反? 信号機のない横断歩道、どうすれば?
くるまのニュース / 2024年3月30日 9時10分
ランキング
-
1【カルディ】見つけたら即ゲットして! 超人気商品「ウイスキープリン」は食べて驚く本格派スイーツ
オールアバウト / 2024年4月26日 20時35分
-
2「スマホから変な音する」奇妙な現象、7時間後に予期せぬ真相発覚 ネットずっこけ「そんなことある?笑」
よろず~ニュース / 2024年4月26日 18時20分
-
3胃もたれには「健胃薬」? それとも「消化薬」? 薬剤師に聞いて分かった「市販の胃薬の選び方」
オトナンサー / 2024年4月26日 20時50分
-
4成分足りない「正露丸」、30年以上前から虚偽の試験結果で出荷…富山のキョクトウに業務停止命令
読売新聞 / 2024年4月26日 23時24分
-
5Z世代が選ぶ「ゴールデンウィークあるある」トップ10発表! - 「どこに行っても激混み」「結局家が落ち着く」「昼夜逆転」を抑えた1位は?
マイナビニュース / 2024年4月26日 16時27分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください