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「いる?」「いらない?」クルマの「慣らし運転」は必要なのか クルマの長寿命化以外にメリットも?

くるまのニュース / 2022年9月4日 9時10分

クルマの摺動(しょうどう)部を馴染ませる期間として「慣らし運転」をすることが、かつて多くありました。現代のクルマでも必要なのでしょうか。

■慣らし運転っている? いらない?

 ひと昔前のクルマでは、エンジンや駆動系などの摺動(しょうどう)部を馴染ませる期間、いわゆる「慣らし運転」を必要とすることが多くありました。

 しかし現代のクルマでは、各パーツの加工精度が高まったこともあり、メーカー側で慣らし運転不要とアナウンスされることも増えてきました。

 ユーザーの間でも「必要ある」「もういらない」と意見が分かれる慣らし運転ですが、では現代のクルマで慣らし運転をすることに意味はないのでしょうか。

 結論からいえば、メーカーの取扱説明書の指示に従えば良いといえます。

 トヨタは、公式ウェブサイトのQ&A上で「慣らし運転の必要はありません。ごく一般的な安全運転に心がけていただければ、各部品のなじみは自然と出てきます。お客様が新しい車に慣れられるための期間を慣らし運転の期間と考えてください」と回答しています。

 ホンダも、公式ウェブサイトのQ&A上で「現在のクルマは、エンジンやその他の部品精度が向上しているため、慣らし運転をおこなう必要はありません」と回答。ただし、「機械の性能保持と寿命を延ばす為」という目的で、1000kmまでは急激なアクセル操作や急発進を出来るだけ避けるよう記載があります(取扱説明書に記載のない場合)。

 日産は純エンジン車とe-POWER(シリーズ式ハイブリッド)車で、公式Q&Aの回答を大きく分けています。純エンジン車は1600kmまでは慣らし運転が必要と回答していますが、モーター駆動のe-POWER車のエンジンに関しては不要とのことです。

 慣らし運転はパーツの加工精度向上などもあり、特別必要とすることは少なくなっているようです。

 では、クルマの状態を日々観察している整備士は慣らし運転をどう考えているのでしょうか。北陸地域で整備士経験のあるAさんに聞きました。

ーー慣らし運転をする意味はありますか?

「今でも慣らし運転をする意味はあると思います。やはり新車状態ですと摺動部の擦り合わせというのは、必ず発生しますから。

 ただ、昔のように慣らし運転をしないと、大きく摩耗させてしまってダメージになる=寿命が縮むというケースは少なく、一般的な車種は慣らし運転と意識する必要が無いです。

 海外では『日本車は10万km未満は慣らし運転』などの冗談がいわれるほどで、寿命にほとんど影響を与えないといえます。エンジンオイルやオイルエレメントの交換も通常のサイクルでおこなってください。

 一方で最高のパフォーマンスを追求するなら慣らし運転した方が良いよ、というのがメーカーの本音なのでしょうね。慣らし運転をすることで発生するデメリットは無いので。日産の高性能スポーツカー『GT-R』などがこれに該当します」

 GT-Rは、現行モデルの取扱説明書を見ると、「~500kmまで」「500km~1000kmまで」「1000km~2000kmまで」の各段階における慣らし運転の指示が、細かく書かれています。

ーーエンジン以外の観点でも慣らし運転は必要ですか?

「慣らし運転はエンジンやミッションの話と思われがちですが、摺動部というのはダンパーや、ブレーキパッドやタイヤといった足回りの構成部品なども含みます。

 足回りは直ぐに馴染んでトラブルなど発生しづらいパーツですが、消耗品として交換することがあるブレーキパッドやタイヤに関しては、厳密に言えば本来の性能を出すため交換のたびにある程度削る=慣らし運転が必要といえます」

※ ※ ※

 また整備士経験のあるAさんは、ドライバー側の立場からも慣らし運転が重要であると指摘します。

「慣らし運転を心掛ける必要があるのは、新車に不慣れなドライバーの方かもしれませんね。クルマに搭載された最新の各種運転支援機能やハンドリングの特性に慣れたり、ナビなどの操作を覚えたりするだけでも、かなりの時間を要します。その期間は慎重を期すように、というのが現在の慣らし運転の意味なのかもしれません。

 あと最近はクルマの電子制御が当たり前となったことで、ドライバーのクセなどをクルマが学習して、それを踏まえて補正してくれるということもあります。

 例えばABSブレーキの場合ですと、急制動時に踏み込む力が不足していても、踏み込む時の速度からクルマが急制動動作と判断し、不足したブレーキ力を補助する動作をしてくれます。

 また横滑り防止装置などもABSの応用技術ですし、アクセル操作も電子スロットルで調整されているので、電子制御によるさまざまな支援をドライバーはクルマから受けています。いわば慣らし運転はその為のデータ収集期間にもなるわけです」

※ ※ ※

 一般的な走りをするうえで特別な慣らし運転は不要となってきていますが、新車の性能をフルに活用するために、慣らしをすべきなのはドライバーの方なのかもしれません。

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