なぜ強く「オススメ」される!? 新車の定期点検「メンテナンスパック」頼むべき? 入っておいて損はない「理由」とは
くるまのニュース / 2023年2月5日 19時10分
新車の商談をする際、見積もりに含まれることが多い項目として「メンテナンスパック」が挙げられます。購入後3年もしくは5年の期間で、点検や整備費用、指定の消耗品交換などを丸ごと一括で支払うプランですが、これは果たしてお得なのでしょうか。
■「メンテナンスパック」とはどのような仕組みなのか
最近ではどこの新車ディーラーでも「メンテナンスパック」が用意され、新車購入時に販売店から強くオススメされます。果たしてお得なのでしょうか。
今回はメンテナンスパックのメリットと注意点について紹介します。
クルマは購入して終わりということはなく、必ず定期的なメンテナンスが必要となります。
そんななか、新車ディーラーではオイルやフィルターなどの消耗品と点検をパックにしたサービス「メンテナンスパック」を用意し、通常よりもお得な価格でメンテナンスを受けることができます。
クルマのメンテナンス費用を事前にまとめて支払うことで、メンテナンスをおこなうたびに支払いをするよりも割り引きされた価格で受けることができる仕組みです。
メンテナンスパックには、定期点検時のオイル、フィルター、ワイパーブレードなどの定期的に交換する消耗部品に加え、その交換工賃などが含まれています。
多くの場合、新車購入後から最初の車検までの3年間で加入できるプランや、2回目の車検を迎える5年間のプランなどが用意されています。
新車ディーラーは、クルマを販売したあとに顧客がカー用品店や整備工場などへメンテナンス作業が流れてしまうと、部品販売の利益や工賃収入が減少してしまいます。
さらに顧客と新車ディーラーとの接点も密でなくなり、結果、次の車両買い替えの際にも関係が気薄になってしまう課題があります。
新車ディーラーとしても、購入した新車ディーラーでメンテナンスを対応して定期的に顧客とコンタクトしながら関係性を保つことで、次のクルマの買い替えへ有利につなげたいという思惑があります。
またクルマユーザーの多くは、車検のタイミングで乗り換えを検討することも多く、こうした情報を事前に得ている顧客を抱えていることも、営業上とても重要といえます。
顧客を新車ディーラーに囲いこみ、長いお付き合いを保つために、多少ディーラーの利幅が下がっても、割引価格でメンテナンスパックを設定しているディーラーもあり、カー用品店や整備工場などでメンテナンスするよりも、長い目で見てお得にメンテナンスができてしまう場合もあるようです。
ここで、メンテナンスパックに入るメリットについて、4つの要素を挙げてみます。
■メンテナンスパックに加入すべき「4つのメリット」とは
まずひとつめのメリットは、メンテナンスをし忘れることがないという点です。
クルマのメンテナンスのなかでも、タイヤの空気圧点検などの日常点検は所有者自身で乗車時におこなう内容です。
オイル交換などはつい忘れてしまいがちですが、メンテナンスパックに加入することでこうした「ウッカリ」も防ぐことができます[画像はイメージです]
しかしオイル交換、フィルター交換など手間のかかるメンテナンスや下回りの点検など、整備用の道具などが必要となる点検は、新車を購入したディーラーで実施するユーザーが多いでしょう。
ユーザーは、法定点検は初回3年、以降2年ごとの車検(自動車検査登録制度)に伴う点検のほか、12か月点検、24か月点検などの定期点検(法定点検)をおこなう必要があります。
メンテナンスパックに加入していれば、ディーラーから定期的に点検のお知らせがくるので、メンテナンスのし忘れがなく、安心して適切な整備をした愛車を利用することができます。
また法定点検以外にも、購入後1か月や、6か月周期のタイミングで独自の無料点検を実施しているケースも多くみられます。
ふたつめのメリットとして、メンテナンス費用がお得になる点が挙げられます。
ディーラーでメンテナンスする際に必要な費用としては、交換する部品代に加えて交換工賃、点検費用、下回り洗浄費用などがかかりますが、メンテナンスパックの価格設定は、同じ作業を行う場合でも、個々にディーラーに依頼するよりも割安な価格設定になっています。
また、メンテナンスパックによっては、プラスアルファの無料点検項目や無料の洗車などがついていたり、コーティングを割安で受けることができたり、ディーラーごとに様々なメリットを付与して魅力を高めています。
■メーカー保証の対象外となる「リスク」を避ける効果も
走行距離が少ないユーザーに対しても配慮があるケースがあります。これが3つめのメリットです。
法定検査や無料点検の際のメンテナンスは、走行距離に応じた柔軟な対応が求められます[画像はイメージです]
半年もしくは5000kmごとにオイル交換することが推奨されている場合でも、例えば半年で1000km程度しか走行していないと、オイル交換やフィルター交換の頻度が過剰となってしまうこともあります。
そのような場合には、交換をパスして、その分の費用を車検の費用に充当できるというプラン設定をしているディーラーもあるのです。
走行距離が少ないからメンテナンスパックに入らないと考えている場合、そのような設定の有無をディーラーに確認すると良いでしょう。
4つめは、メーカー保証の対象外となるリスクを避けられるというメリットです。
メーカー保証の対象外となる項目として、メーカー指定部品以外を使用したことに起因する不具合と、保証書に明記されている場合があります。
そのため、メーカー指定以外のオイルやフィルターなどに交換したことによって不具合が発生したという理由で、メーカー保証が受けられなくなる場合が考えられます。
もしメンテナンス時に社外品パーツやオイルを使う場合にも、メーカー指定のグレードなどになっているか注意が必要となります。
また、追加で加入できる延長保証を受けるための条件として、メーカー指定のディーラーなどで車検整備を受けることを指定する項目がある場合があります。
この場合、より安価な社外品ではなく、メーカー純正のオイルにしか交換できないため、結果としてメンテナンスパックを利用した方が、長い目で見てトータルコストを抑えられるという場合もあるのです。
■メンテナンスパックに加入する際に注意する点とは
メンテナンスパックに入る際には、契約期間内にクルマを買い替える時の条件についても確認しておく必要があります。
これはメーカーごとではなく、売ディーラーごとに仕様や価格を定めているケースが多いため、様々な条件設定があります。
途中解約して返金できるケースや、同じディーラーで買い替えたクルマに引き継げるケース、まったく引き継げないケースなどがあります。
加入する際にはメンテナンスしてもらえる内容や条件を確認し、無駄にならないようにする必要があります。
新車の品質が高くなったとはいえ、定期的な点検の実施は今でも必要不可欠。「メンテナンスパック」に加入して「安心」を手に入れるのがオススメです[画像はイメージです]
基本的なメンテナンスの知識と技術があり、簡易な整備なら自分でおこなえるユーザーの場合、メンテナンスパックに入らない方が安上がりな場合が多いかもしれません。
しかし多くのユーザーの場合は、ディーラーや整備工場でメンテナンスをしてもらうことがほとんどでしょう。
自分の走行パターンやライフスタイルに合わせて、メンテナンスパックに入った方が良いのか、どのようなメンテナンスパックが適しているのかを検討する必要があります。
走行距離に応じたパックを用意しているケースもあるので、比較すると良いでしょう。
首都圏近郊の国産新車ディーラーA店に聞いたところ、次のように話します。
「メンテナンスパックに入らないことで、リセールバリューが極端に変わるということはありません。
しかしメンテナンスパックに入ることで、定期的なメンテナンスがしっかりされているクルマであるということが伝わるので、乗り換えの際の査定にも、プラスアルファとなる場合も考えられます」
近年は新車ディーラーでも認定中古車の取扱いに力を入れているケースが増えています。
別の新車ディーラーB店では、次のように説明します。
「中古車は1台1台履歴が異なります。自社で新車の時からメンテナンスの管理を徹底した履歴を持つクルマのほうが、販売する側としても安心して売りやすいのは確かです」
新車の顧客とメンテナンスを通じて関係性を保ち、次の乗り換えへつなげることはもちろんのこと、優良な下取り車を高価査定し、自社の認定中古車で再販する流れを生むことも、近年の販売店施策の一環となっているようです。
※ ※ ※
最近は物価が高騰しており、メンテナンスパックの値上げをしてきているディーラーも出てきています。
もし、今後もさらなる物価高騰でメンテナンス価格がUPするのでは、と考えているならば、今のうちに長めのメンテナンスパックに入った方が、結果としてお得になるかもしれません。
新車購入後でも一定期間内なら途中から入ることができるメンテナンスパックを設定しているディーラーもあるので、相談してみると良いでしょう。
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