冬にEVでロングドライブできる? スバル新型「ソルテラ」でウインタースポーツ行ってみた!
くるまのニュース / 2023年2月5日 20時10分
2022年にデビューして初めての冬を迎えたスバルのSUVタイプのEV「ソルテラ」。今回、このソルテラウインターレジャーに行き、走行性能や使い勝手などを体感してみました。
■EVでウインタースポーツってどうなの?
スバル初のグローバルEVとして、新型「ソルテラ」が2022年にデビューしました。同車はスバルとトヨタが共同開発したバッテリーEV(BEV)で、トヨタではサブスクリプション専用車の「bZ4X」してラインナップされます。
そんなソルテラは、これまでのスバルSUVと同様に安心して使えるクルマに仕上がっていると説明されており、「だったらウインタースポーツも行ける?」と思い立ち、さっそくスノーボードに連れ出してみました。
モーターで駆動するEVは、充電を必要とする点が懸念されるところでしょう。今回相棒にしたのは上級グレードの「ET-HS」のAWD。71.4kWの大容量リチウムイオンバッテリーを搭載し、最大航続距離はWLTCモードで487kmです。
くるまのニュースの編集部員という仕事柄、EVを運転したことはあるのですが、たいていは充電設備が整った場所での試乗であり、自分で充電して長距離を運転するのはほぼ初めて。ロングドライブかつ冬の寒い時期にEVでどれだけの距離を走れるのか未知数ということで、目的地を関越道の水上IC(群馬県)に近いゲレンデに定め、埼玉の自宅から往復300kmの行程にチャレンジします。
朝3時半に出発。航続距離は残り370kmからのスタートです。
まずEVの良い点として、早朝の住宅街でスタートボタンを押しても無音でスタンバイできることが挙げられます。ガソリン車はエンジンをかけるとどうしても始動音が響いてしまうものですが、ソルテラは何の音もなく走り始めることができます。
ただし、常に付きまとうのは充電の問題です。エアコンで寒い車内を暖めたくなりますが、そうすると航続距離が一気に減ってしまうので、今回は極力エアコンを作動させずに済むように防寒対策として厚手のひざ掛けを用意しました。
ちなみにソルテラは、シートヒーターとステアリングヒーターも完備され、しかもそれぞれ3段階+AUTOに切り替えられます。そのためエアコンなしでも体や手を温めることができたのは、うれしいポイントです。
ソルテラの外観はヘキサゴングリルやCシェイプのヘッドランプなどによってスバル車らしいデザインとなっていますが、内装に関してはどちらかというと共同開発をおこなったトヨタのデザインに感じられます。
初採用の「トップマウントメーター」は、フルモデルチェンジした新型「クラウン」や新型「プリウス」のものと似ていますし、ディスプレイに関しては、スバル車は11.6インチの縦型ですが、ソルテラは横長の12.3インチディスプレイを採用。また、「今日は○○の日です」とナビが教えてくれるのもトヨタらしいところでしょう。
一方で、ソルテラ専用として、落ち着いた雰囲気のタン色のシートや減速度の強弱を変えられるパドルシフトを装備。面白いところでは、シフトボタンを「R(後退)」にしたときの後退音やスイッチ類の操作音はほかのスバル車と同じ音に設定され、スバル車ユーザーが運転したときに違和感がないようにしているといいます。
※ ※ ※
トップマウントメーターはハンドルの上からメーターを見るタイプのものです。ハンドル上部が視界に入ってメーターが少々見づらく感じたのですが、これは着座位置も関係するでしょう。
速度や航続距離など必要な情報をシンプルに表示しており、運転に集中できる環境が整っていました。
■SUVだけどスポーティカーみたい!?
ソルテラには新開発のEV専用プラットフォーム「e-SUBARU GLOBAL PLATFORM」が搭載され、走行性能や安全性能、実用性などの高性能化を実現。AWD車はフロント/リアに各80kWのモーターを搭載しています。
これまでスバルが培ってきた知見を活かした高剛性のプラットフォームに、重いバッテリーを低い位置に載せることにより、低重心の水平対向エンジンを搭載したモデルのような高い走りの質感を実現しているといいます。
スバル「ソルテラ」
一般道では、とくに交差点を曲がるときなど、低重心で剛性の高さが効いているのだと思いますが、SUVなのにまるでスポーツカーのような挙動でソルテラはスルっと曲がることができます。
モーター駆動ならではのリニアな加速により、キビキビとした走りを可能にしているところは高速道路の走行で好印象。合流時や追い越し時の加速がスムーズかつ安定感があり、高速で走っていることを感じさせないところに驚かされました。
さらに、走行中でも車内が静かなことも特徴といえ、ロードノイズがほとんどなく、「ハーマンカードン」のオーディオで高音質の音楽を聞きながらリラックスして運転できます。
高速道路では途中の赤城高原SA(群馬県)で30分の急速充電をおこない+100kmの走行が可能に。しかし同時に雪がちらつき始め、水上ICに到着するときには吹雪に変わりました。
ひとつ困ったのは、フロントガラスに降り積もる雪です。凍り付くのを防ぐためにフロントガラスのデフロスターを作動させたのですが、これはエアコンを作動させるのと同じで航続距離がガクンと減ります。
充電した後だったのでデフロスターを作動させて雪を解かすことを優先したものの、充電が少なくなっているときに同じ状況になったらと考えると、少々不安が残ります。すぐに止んだのでソルテラに降り積もることはなかったのですが、この点はEVが雪に弱いといわれるポイントのひとつといえそうです。
今回スタッドレスタイヤは、ブリヂストンのブリザック DM-V3を装着。AWDシステムの巧みな制御のおかげで積雪路、凍結路、シャーベット路でも滑ることなく安心感のある雪上走行が可能でした。また、ゲレンデまでの積雪した峠道もモーターの力でぐんぐん登っていくなど、ソルテラはSUVらしい頼もしい走りを見せてくれました。
EVでも無事にスノーボードに行くことはできましたが、天候が悪化したときは立ち往生する可能性もあり、その点、充電に関しては課題があることを実感。
ガソリン車は数分の給油で満タンにできますが、EVは急速充電だと80%程度までの充電とされており、外出先で満充電にできないのが不安につながるのではないかと感じます。
帰りは関越道の上里SA(埼玉県)で急速充電をおこなったのですが、1か所しかない急速充電器には先客の日産「リーフ」がおり、5分ほど待ってから充電開始となりました。
充電中のEVがあとどれくらいで終わるのかがわからないので、そこで待つべきか、先のSA/PAまで行くべきかの判断が難しいところ。実際、ソルテラを充電中に来たテスラは次のSA/PAへ向かい、そのあとやってきたメルセデス・ベンツのEVはソルテラの充電完了を待つことに。
このように次々とEVが充電しにくることにも驚かされましたし、充電器が足りていない現状を目の当たりにしました(上里SAでは急速充電器の追加設置工事中)。
どんどん増えるEVに対応するためには急速充電器の拡充が急務であることに加え、数に限りがある充電器をスムーズに使うためにはマナーやルールを守ることが大切です。
そして可能であれば、スキーやスノーボードをしている間に充電ができるよう、数時間かけて充電する普通充電器がゲレンデの駐車場に設置されるようになったりすると、EVであっても不安なくウインタースポーツを楽しめるようになるのではないでしょうか。
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