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2023年はナニが変わった? 進化し続ける「GR86/SUBARU BRZ」の2台… スーパー耐久シリーズ開幕前の現状とは

くるまのニュース / 2023年3月7日 13時10分

スーパー耐久シリーズ2023のST-Qクラスに参戦するORC ROOKIE Racingの28号車「ORC ROOKIE GR86 CNF concept」と、Team SDA Engineeringの61号車「Team SDA Engineering BRZ CNF Concept」ですが、開幕前の公式テストではどのような現状だったのでしょうか。

 2022年、カーボンニュートラル燃料を使ったトヨタ「GR86」とスバル「SUBARU BRZ」がスーパー耐久シリーズ2022に参戦しました。
 
 2023年もスーパー耐久シリーズに参戦しますが、2年目となる中でどのような変化があるのでしょうか。

 スーパー耐久シリーズ2022の最終となった11月の鈴鹿での最終戦から約3か月、2023年2月23日に富士スピードウェイでスーパー耐久シリーズ2023の公式テストが行なわれました。

 2022年シリーズは、TOYOTA GAZOO RacingとSUBARUが「いっしょにいいクルマつくろう!」というテーマに2021年4月に2代目へとフルモデルチェンジを遂げたGR86とSUBARU BRZをベースとしたマシンで参戦。

 GR86は、「ORC ROOKIE Racing」から28号車「ORC ROOKIE GR86 CNF concept」として、SUBARU BRZは「Team SDA Engineering」から61号車「Team SDA Engineering BRZ CNF Concept」という形でST-Qクラス(開発車両クラス)に挑みました。

 2023年シリーズにおいても、同様のチームならびマシンで参戦することが明らかにされていますが、1年目の2022年から2年目の2023年となる中で2台に変化はあったのでしょうか。

 2022年末には、両チームのキーマンとなる藤原裕也氏(GR86担当)と本井雅人氏(SUBARU BRZチーム監督)に2022シリーズを総括してもらいましたが、その際に2人共「まだやりたい事がたくさんあります!」と語っていましたが、2022年の経験・反省がどのように活かされているのでしょうか。

ORC ROOKIE GR86 CNF conceptORC ROOKIE GR86 CNF concept

 まずは、2022年の最終戦(鈴鹿)でGRカンパニー佐藤プレジデントが「骨格を変更します」と衝撃発言があったので、GR86がどのようなマシンになったのか興味津々でしたが、パッと見は2022年のマシンと変わっていないようです。現状について、開発責任者の藤原裕也氏に聞いてみました。

―― マシンは大きな変更がないように見えますが、2022年12月のタイでのレース以降、どのような事をしてきたのでしょうか。

 藤原:2022シーズンを1年間走ってきた事の現状把握です。

 2023年は将来に向けた骨格づくりをはじめる活動だと考えています。

 そのためには、「現状から何を変える必要があるのか?」を見極める事が重要だと考えています。

―― 具体的にはどのような所ですか。

 藤原:やはり手を入れている部分ですね。

 2022年のアップデートが数値で表れている部分もありますが、ドライバーの評価と紐づいていない所も多いです。

 例えば、リアのスタビライザーはエンジニアとしては「付いている状態がベスト」ですが、ドライバーは「外したほうがいい」と言う評価でした。

―― つまり、2023年は2022年のフィードバックを活かし、今後どのように新たな骨格づくり進めるかを判断するわけですね。

 藤原:そうです。ただ、「変えるべきか?」、「留まるべき?」の判断は非常に難しいですね。

 ただ、2022年は最終的な出口がない……いや出口を明確にしてなかったので、結果的に対処療法的になってしまった反省がありました。

 2023年は「何を次に繋げる」と言う所まで判断しながら進めていくつもりです。

ORC ROOKIE GR86 CNF conceptORC ROOKIE GR86 CNF concept

―― 今回、社員ドライバーとして佐々木栄輔氏と加藤恵三氏が加わっています。

 藤原:2人はレース経験が少ないので、ジェントルマンがレースで乗っても安心・安全に戦えるクルマづくりと言う部分でも、多くのフィードバックを期待しています。

 特に佐々木はGR86の量産開発に携わってきたドライバーなので変化点も見てほしいですね。

―― 今後はレースを走らせながら並行して将来に向けた骨格づくりも行なう事になると思いますが、この辺りはスバルとの協調はどうなるのでしょうか。

 藤原:もちろん、スバルさんとも「一緒にやっていきしょう」と言う話はしています。

 1年間やってきて分かったことは、「スバルさんに隠すことは何もない」と言うことです。

 お互い手の内を明かすことで、イノベーションが生まれると思っています。

―― と言っても、負けたくはないですか。

 藤原:もちろんです。

 ただタイムだけでなく、乗りやすさや安心みたいな部分もシッカリと追いかけていきます。

 最後はここでのフィードバックを量産車に盛り込み、お客さんに喜んでもらう事ですので。

■GR86に対して、SUBARU BRZはどう進化したのか?

 続いてSUBARU BRZですが、見た目をチェックした所、フロントバンパーはカラーリングが施されていない暫定仕様(フロントスポイラーのデザインが異なる)が装着されていますが、それ以外の部分は昨年から大きな変更はありません。GR86と同じように熟成方向の進化なのでしょうか。

Team SDA Engineeringの監督となる本井雅人氏は、2023年シリーズを目前とした現状について語ってくれました。

―― マシンに大きな変更がないようですが、どのような進化が行なわれていますか。

 本井:どちらかと言うとセットアップの部分が大きいですね。

 2022年のマシンはプロと社員ドライバーのタイム差が6%から7%もありました。

 過去にSDA(スバルドライビングアカデミー)での訓練結果を見るとプロが1番早いのは変わりませんが、タイム差は1%から1.5%だったため、「これはクルマが乗り辛いに違いない」と考えました。

Team SDA Engineering BRZ CNF ConceptTeam SDA Engineering BRZ CNF Concept

―― スバルは「走り極めれば安全になる」と言っていますが、実はそうではなかったのでしょうか。

 本井:そうですね。そこで2022年の振り返りを技術的に行ないました。

 新車開発用の施設・設備を活用して検証すると、いい所も確認できましたが、もっと良くしなければいけない部分も見えてきました。

―― 具体的にはどのような所ですか。

 本井:2022年はとにかくクルマを大きく動かさないように適合をしてきましたが、それを物理の法則に落とし込んでいくと量産車開発では本来やってはいけないゾーンに入り込んでいたのも事実です。

 我々が目指すのは量産車へのフィードバックなので、やはりセオリーは外しちゃいけないなと。

―― 2022年は第3戦(菅生)から「速さ」に徹底してこだわっていました。

 本井:ただ、2022年のセットアップだとやり切れない所がありましたので、2023年は「適合の幅を増やす」という観点で言うと、ダンパーを伸び側/縮み側を分けて調整できるタイプに変更をしています。

Team SDA Engineering BRZ CNF ConceptTeam SDA Engineering BRZ CNF Concept

―― 今回のテストでは、2022年に続き社員ドライバーの廣田光一氏に加えて、伊藤和広氏の2名体制になっています。

 本井:レギュラードライバーになるかどうかは未定です。

 社員ドライバー同士で会話できるとプロとの役割分担もより明確になるはず。

 2022年はプロに助けてもらった部分は大きいですが、2023年は「スバルとしてどうしたいのか?」という部分も、より明確にしていきたいですね。

――つまり、量産開発をより明確にすると言うことでしょうか。

 本井:そうです。もちろんレースですので「速さ」にはこだわりますが、プロがコンマ1~2秒を削るような適合をするのではなく、社員ドライバーが1~2秒速くなるような適合をしていくつもりです。

 それが最後に量産車の更なる「安心と愉しさ」に繋がるはずです。

Team SDA Engineering BRZ CNF ConceptTeam SDA Engineering BRZ CNF Concept

※ ※ ※

 今回、2人にインタビューをしてみて、GR/SUBARUは進んできた道は違いますが「2022年レースを通じてアジャイルに開発を行なってきた部分を、一度立ち止まり冷静に分析をしながら次のステップに進む」と言う事が解りました。

 そういう意味では2023年のGR86/SUBARU BRZの戦いは、2022年よりも「開発」の意味合いがより強いシーズンになると思っています。

 また、どのタイミングで佐藤プレジデントが公言した「新骨格」に変更されるのかも気になる所です。

 開幕戦となるスーパー耐久シリーズ2023 鈴鹿は、2023年3月18日・19日に開催されます。

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