「ゴルフバッグ〇個分」ホントに積める? 車の積載量は数値じゃ測れない!? 使い勝手が良い荷室の条件とは
くるまのニュース / 2023年3月18日 9時10分
クルマに荷物を載せるときに使う「荷室/ラゲッジスペース」は広さがもちろん重要ですが、使いやすさも大切です。使い勝手の良い荷室とはどのようなものなのでしょうか。
■荷室容量を表すVDA方式って何?
クルマの「荷室」の広さや積載量は実用性の目安にもなっており、たいていはカタログに記載される「VDA方式」で算出された数値などで比較されることが多いです。
VDAは「ドイツ自動車工業会(Verband der Automobilindustrie)」の頭文字で、ドイツの自動車メーカーや関連企業が会員となっている団体です。
ドイツ国内におけるさまざまなクルマ関連の規格を定めたり、整備に関する法整備などを働きかける団体で、この団体が定めた測定方法がVDA方式というものです。
荷室の容積を単純に算出するだけなら「幅×奥行き×高さ」で済みそうですが、実際はピラーが寝ていたり、サイド部分も絞り込まれていたり、タイヤハウスの出っ張りがあるなど、荷室の床面が車種ごとに違うため、単純計算できないことからVDA方式が用いられます。
計算方法は、200mm×100mm×50mmで容量が1リットルの直方体を測定具として、ラゲッジスペースに何個積めるかを測定するというもの。
ただし条件は、テトリスのようにうまく直方体を組み合わせて積んだ「最大(個数)」であることと、トランクリッドが正確に閉じれば良いという比較的緩いものであり、内側の壁面との間隔や直方体の材質などの規定はないこともあり、VDA方式の数値はあくまで容量の「目安」となっています。
現在のクルマはたいていシートアレンジが可能になっており、長尺ものなども積載可能ですが、原則として測定はシートアレンジせずにおこないます。
積載量のたとえで「ゴルフバッグ〇個分」といった表現がよく使われますが、実際にゴルフバッグが搭載できるかは試してみないと一概にはいえず、数値はあくまでも目安です。
※ ※ ※
荷室の呼び方は「トランク」「ラゲッジスペース」などと呼ばれることもありますが、トランクはセダンなどで居住空間から仕切られて独立したに荷室になっているもの、ラゲッジスペースはミニバンやSUV、ワゴンなどのように後部座席と隔たりがないスペースのことをいいます。
■使い勝手の良い荷室のチェックポイントとは
では、使い勝手の良い荷室とはどのようなものなのでしょうか。都内の中古車販売店に勤務する K店長に聞いてみました。
K店長いわく、ミニバンは3列目シートを折り畳めば広いラゲッジスペースを確保できるものの、そのぶんリアゲートが大きくて、電動式でなければ重いリアゲートを手動で開け閉めしなくてはならず、逆に使い勝手が悪くなってしまうこともあるといいます。
跳ね上げた3列目シートを窓にピタリと収めたトヨタ「ヴォクシー」
セダンタイプでも、見た目以上に容量を確保したトランクなどを持つクルマならば、そちらのほうが使い勝手が良いこともあるのだそうです。
できれば実車で使い勝手はチェックしたいものですが、その場合どういったところをチェックしたら良いのでしょうか。K店長にチェック項目を教えてもらいました。
・(ラゲッジスペースの)開口部の広さ&低さ
「実際にラゲッジスペースを使いこなすためには、アクセスしやすいということが大きなポイントになると思います。奥行きが十分あっても開口部が狭ければ使いにくい可能性もあります。
開口部の高さも低いほうが重い荷物でなくても積み下ろしは楽ですし、バンパーを傷つける心配も減ります。この点ではSUVよりもワゴンのほうが積み下ろしはしやすかったりします」
・タイヤハウスの出っ張り
「最近のミニバンなどはかなり工夫されていますが、タイヤハウスがかなり大きい車種もまだあります。横幅は十分確保されているのにタイヤハウスが邪魔で大きい荷物がうまく積めないという事態を避ける意味でも、タイヤハウスの大きさを実車で確認してください」
・フロアの段差や溝などの形状
「荷物をできる限り多く積みたい場合は、フロアに段差や溝がないほうが積みやすいですし走行中も荷物が傾くことも少なくなります。
また段差があると、スノーボードやサーフボードなどの長尺物が積みにくかったりしますので、スライド用のシートレールなどが邪魔にならない形状かをチェックするのも良いと思います」
・トランクリッドやバックドアのヒンジ
「直接影響が少ないように見えるかもしれませんが、実はヒンジがどれだけ内側に入り込んでいるのかも事前にチェックしておきたいポイントです。というのも荷物をフル積載する場合など、出っ張ったヒンジですと荷物と接触して傷つけてしまうこともあるからです。
積み方を工夫するか、邪魔にならない箇所にヒンジがあるのか、またさらにパワーゲートでない場合などでもどれくらいの力加減でバックドアの開閉ができるのか、中古車の場合は、荷物の積み下ろしの途中でドアが勝手に閉まってしまわないか、装着されたダンパーのヘタリ具合もチェックしてほしいポイントです」
・スライド機能を含む後席のアレンジのしやすさ
「ラゲッジスペースを有効に使うためには、後部座席のアレンジがしやすいのかも大きなポイントです。
ミニバンならシートスライド機構の長さで積めるものも変わってきます。最近のミニバンでは3列目シートは床下収納できるタイプもあり、さらに使いやすくなっています。どう使いたいかを事前にイメージしておくと良いかもしれません」
※ ※ ※
ライフスタイルによって荷室の使い方もさまざまです。荷室をあまり使わないのに大容量の荷室を備えたクルマに乗るとスペースを持て余してしまいます。
また人気のSUVやミニバンは積載能力が高くてもリアゲートが大きかったりするので、使い勝手が良いとも言い切れません。VDA方式の数値に鵜呑みにするのではなく、まずは自分が使用する環境をシミュレーションすることをおすすめします。
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