「ライドシェア」導入を東京タクシー・ハイヤー協会も「公認」!? 4月解禁で「何が起こる」のか
くるまのニュース / 2024年1月11日 14時10分
2024年1月10日、東京タクシー・ハイヤー協会が日本版「ライドシェア」を4月に導入すると発表しました。タクシーや路線バスなどの公共交通が直面する「ドライバー不足」という課題を解消するとされるライドシェアに対し東京の業界が動いたことで、今後政府が取り組むライドシェア推進の機運も一気に高まるのでしょうか。
■「日本型ライドシェア」とは一体どんな構想なのか
一般ドライバーが白ナンバーの自家用車を使ってタクシーのような旅客行為をする、いわゆる「ライドシェア」に関して、タクシー事業者で大きな動きがありました。
東京タクシー・ハイヤー協会が2024年1月10日、都内で記者会見を開き、「2024年4月を目処に日本型ライドシェアを導入する」と発表し、近くとりまとめる日本型ライドシェアのガイドライン案の一部を公表したのです。
タクシーやバスなどの公共交通が直面する「ドライバー不足」という課題への切り札とされているライドシェアですが、今回明かされた名称では“日本型ライドシェア”としています。
しかし発表を行ったのは全国タクシー・ハイヤー協会ではなく、あくまでも東京の協会が独自に判断したものです。
現時点で決まっている実施地区は、東京の23区と武蔵野市・三鷹市のみで、多摩地区や島嶼は含みません。
東京以外では、神奈川県が2023年10月に「神奈川版ライドシェア」構想を発表していますが、今回の発表時点で東京タクシー・ハイヤー協会として神奈川県や神奈川タクシー・ハイヤー協会とは事前に情報共有していないとのこと。
大阪・関西万博でのライドシェア実施に向けた準備を進めている大阪府や大阪市とも、神奈川県と同様に情報共有の事実はなく、今回の発表がサプライスであったことを強調しました。
ではこの日本型ライドシェアとは、具体的にどのようなものなのでしょう。
また一般的に、ライドシェア導入について不安を感じる人が少なくない安全、補償、保険といった点はどうなるのでしょうか。
さらには、タクシー・ハイヤー業界ではこれまで、ライドシェアの日本導入について賛否両論があったのですが、なぜこのタイミングで東京発の日本型ライドシェア構想が打ち出されたのでしょうか。
発表内容と質疑応答での協会側からの回答を踏まえて、順に見ていきたいと思います。
まず、運行の形態です。
道路運送法第78条第3号に基づく、自家用有償旅客運送となります。
国の規制改革推進会議が2023年12月20日と26日に「規制改革推進に関する中間答申」を出しています。
その中で、既存の法律にある自家用有償旅客運送の活用範囲を拡大することを明らかにしました。
自家用有償旅客運送とは、公共交通がとても不便な地域や、福祉を目的とした場合に限り、一般ドライバーが白ナンバー車での旅客運送を可能とする措置です。
今回の日本型ライドシェアは、国の中間答申の内容を踏まえたものになっています。
具体的には、事業の主体はタクシー事業者です。
いわゆる流しでの営業は行わず、今後開発する専用アプリによる配車のみに対応します。
運賃はタクシーと同等としますが、アプリで予約した際に金額が確定します。
需要によって運賃が変動するダイナミックプライシングについては、現段階では採用する予定はないといいます。
■ライドシェアの「トラブル解決」にタクシー会社がひと役買うことに
次に、運行方法ですが、現在タクシーが不足している地域・時期・時間帯に限定します。
例えば、23区と武蔵野市・三鷹市では平日朝7時から11時や、金曜の深夜24時から28時が想定されます。
東京から「ライドシェア」が動き始まることで、今後全国への展開が進むのか注目されます[画像はイメージです]
ドライバーの条件は、20歳以上70歳未満で普通免許または二種免許保持者で、普通免許取得後に1年以上経過した人。
雇用形態は、タクシー会社とパートなどの雇用契約を結び、初任教育や継続教育を実施します。
また、複数のタクシー会社と契約できるかについては今後検討するとのことです。
居住地については都内に限定せず、近隣県からの参加も受け入れる考えです。
使用車両は、自家用車のみでタクシー会社での遊休車両などは使用しません。車両定員は5人以上10人以下の車両で、安全運行のために衝突被害軽減ブレーキなどの先進運転支援システムや通信型ドライブレコーダーの搭載を必須とします。
また、利用者が正規の日本型ライドシェア車両であることを認識できるような表示方法などについても、現在検討を進めているところです。
そして事故に対する補償や様々なトラブル解決については、事業主体であるタクシー会社が責任を負います。
保険については、筆者(桃田健史)が把握している限り、大手保険会社などが自家用有償旅客運送ですでに実用化している保険を基準として、ライドシェア向けの保険商品の開発が進んでいると認識しています。
※ ※ ※
会見でプレゼンした東京タクシー・ハイヤー協会の川鍋一朗会長は、今回の発表の意義について次のように語りました。
「タクシーの供給不足が社会で大きな課題となっている今、国に対するタクシー規制緩和への提案だけではなく、協会内での意見調整ができた東京からライドシェアについても積極的に提案することで、全国的な議論が高まってほしいです」
今後のさらなる展開にも注目が集まるところです。
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