ホンダ 新型コンパクトSUV「WR-V」デビュー間近で「ヴェゼル」はどうなる!? 同じホンダに2つの競合がある「巧妙な理由」とは
くるまのニュース / 2024年2月23日 10時10分
ホンダは2024年春にコンパクトSUVの新型「WR-V」を発売します。一方ホンダではすでにコンパクトSUVカテゴリーに「ヴェゼル」がラインナップされていますが、競合を避けるすみ分けがなされているといいます。それぞれどのようなキャラクターなのでしょうか。
■オシャレな「ヴェゼル」とタフな「WR-V」
ホンダのコンパクトSUV「ヴェゼル」が安定した販売状況を示していますが、一方で2024年春には同じコンパクトSUVカテゴリーの新型「WR-V」の発売が控えています。
競合することも考えられますが、ホンダは巧みな戦略を練って、2モデルのすみ分けを狙っているようです。
ヴェゼルの売れ行きが伸びています。
2021年4月に発売した現行型(2代目)は、人気が集中したことに加え、半導体不足などの生産遅れが重なり、当初は計画通りの販売が難しい状況が続いていましたが、ここ半年で状況は大きく改善したようです。
自販連(日本自動車販売協会連合会)によると、軽を除いた乗用車販売ランキングで、2024年1月にヴェゼルは前年同月比255%の7458台を記録し、6位にランクアップしています。
現行ヴェゼル最大の魅力は、パッケージングの良さです。
コンパクトSUVのライバル車であるトヨタ「ヤリスクロス」や日産「キックス」などは、後席を倒しても、荷室に段差ができてしまいます。
しかしヴェゼルは、ホンダの十八番(オハコ)でもあるセンタータンク方式と、後席のダイブダウン機構(後席背もたれを倒すと座面が下に沈み込み、フルフラットになる構造)によって、後席を倒すと、荷室はフラットで広大なスペースが誕生します。
このように、積載量が大きくとれるのがヴェゼルの強みのひとつです。
運転席からの視界もよく、ナビゲーションモニターや、メーターフードなどが、ドライバーの視界を邪魔しない絶妙な位置にレイアウトされているほか、ダッシュボードとサイドウィンドウのラインの高さを合わせ、Aピラーも運転席からみたときには細くなるように設計されていることで、視界が広く感じられます。
ホンダが大切にしてきたパッケージング技術が、これでもかと詰め込まれているのがヴェゼルなのです。
そのホンダがつくった新型WR-Vもまた、収納上手なSUVです。
新型WR-Vは、後席シートバックを倒すと、27インチ自転車やサーフボード(長さ170cm)を積み込むことが可能(2名乗車時の最大荷室長は2181mm)となっており、後席を使用した状態でも、スーツケース21インチと25インチが2個ずつ載せることができる458リットルもの荷室容量を確保しています(5名乗車時/床下収納を除く)。
ヴェゼルの荷室容量は404リットルですから、よりたくさんの荷物を載せることができるのは新型WR-Vのほうなのです。
ただ筆者(河馬兎)の印象では、エクステリアデザインがより新鮮でおしゃれに感じるのは、ヴェゼルのほうだと感じます。
ヴェゼルは、切り立ったフロントノーズと薄目で存在感のあるヘッドライト、ボディと同色のグリルなどによって新鮮味が感じられます。
サイドシルエットも、フロントフェンダーからテールランプまでつながるラインが美しく、大きく寝かせたバックドアも、トヨタ「ハリアー」やマツダ「MX-30」のよう。
この伸びやかなデザインによって実際のサイズよりも大きく見え、インテリアも上位モデルの「ZR-V」などに通じる高品質さがあります。
対する新型WR-Vは、都会的なヴェゼルとは対照的に、スクエアな内外装デザインがシンプルな印象を与えており、SUVらしいタフさも強調しています。
こうしたところも、同じカテゴリーのなかで上手くすみ分けができていると感じるひとつの要因といえます。
■「ヴェゼル」にはハイブリッドの設定もあり
またガソリン車のみとなるWR-Vとは違い、ハイブリッド「e:HEV(イーエイチイーブイ)」が設定されているのもヴェゼルの魅力です。
販売の9割を占めるというヴェゼルのハイブリッド車は、カタログ燃費が25.0km/L(WLTCモード)という低燃費で、 仮に実燃費を8割と換算しても、20km/Lに届く燃費性能を実現しています。
都会的なスタイリングやハイブリッドの性能で新型「WR-V」とのすみ分けを図るホンダのコンパクトSUV「ヴェゼル」
1.5リッターガソリン車のみの新型WR-Vのカタログ燃費は16.4-16.2km/L(WLTCモード)なので、この差は少なくありません。
ヴェゼル ハイブリッドは走行性能も秀逸で、ロードノイズが小さく、発進時から高速まで、伸びのある加速が可能。これはガソリン車であるWR-Vでは得られないヴェゼルの魅力といえます。
ただし、ガソリン車のみの新型WR-Vが209.8万円から248.93万円の価格帯なのに対し、ハイブリッドを中心としたラインナップのヴェゼルは239.91万円から341.88万円と、価格帯がグッと上昇します。
コストパフォーマンスの高さを考えると、途端に新型WR-Vの魅力が光ってくるのです。
※ ※ ※
かたやコスパ重視の新型WR-V、かたやオシャレで低燃費なヴェゼルと、互いに競合しない上手な棲み分けだと感じます。
そんな新型WR-Vの登場で、ホンダのコンパクトSUVはさらに盤石の体制となりました。
国内市場で強いヴェゼルは今後も売れ続けることでしょう。
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