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昭和の「ドライブイン」なぜ人気復活!? 黄金期を知らぬ「若い世代」も惹きつける理由とは

くるまのニュース / 2024年3月16日 9時10分

昭和の面影を残す、街道沿いの懐かしい「ドライブイン」が再び支持されています。その理由について探ります。

■若い世代から団塊ジュニア世代まで幅広く再注目される「ドライブイン」の魅力とは

 いま、街道沿いの「ドライブイン」が再び密かな人気を集めています。
 
 昭和の面影を残す懐かしいスポットが再び支持される理由について、改めて検証してみました。

 昭和・高度成長期の頃は、全国の観光地や主要街道沿いに点在していたドライブイン。

 規模は様々でしたが、大きなところでは昼間は観光バスや一般ドライバーが休憩やお土産物を買うために立ち寄り、夜間は長距離トラックドライバーの憩いの場として賑わうなど、24時間にわたって人々が行き交う場所でした。

 ところが昭和末期から平成初期にかけ、高速道路網が全国的に整備されたことで一般道の通行が激減。

 さらに旅行のスタイルも団体から個人に移行し、同時に個人旅行で海外への渡航が増えたことなどもあって、国内の観光需要を支えてきたドライブインの閉業が相次ぎました。

 地元の来店客などを中心に存続してきた中・小規模のドライブインも往時の盛況とはいかず、結果として昭和の風情のまま営業を続けているケースが多いようです。

 そんななかで“昭和のドライブイン”を再評価する声が密かに高まっています。

 山梨県北杜市の国道20号沿いで営業を続ける「ドライブイン やまびこ」の店主は、次のように話します。

「最近、若いお客さんが増えました。インターネットで見て来たんだと話してくれます。

 皆さん『懐かしい』とおっしゃってもらえるんです」

 若い来店客にとって、昭和のドライブインのどういったところに懐かしさを覚えるのでしょうか。

 例えばInstagramなどのSNSでは、全国のドライブインの料理や店内の様子などを紹介した画像が多くアップされており、「エモい」と高評価を集めています。

 またグルメ評価サイトでも、ドライブインは一定の評価を集めていました。

 Z世代と思われる若いユーザーの投稿では「おばあちゃんちに来てるみたい」「来たことないのになぜか懐かしい」と、レトロなお店の雰囲気に対して新鮮な印象があるようです。

 1970年代から80年代にかけての昭和文化を研究する自動車ライター・イラストレーターの遠藤イヅル氏は、次のように分析します。

「昭和の時代につくられた家屋、家電、皿、玩具、クルマ、広告などはみな、デジタルで描かれる現代では生まれない、人の手で描かれたことが伝わるデザインやタッチ、アナログ感にあふれていました。

 Z世代にとってはこれが“憧れ”や“新鮮”なものとして受け止められるのでしょう。

 リアルに体験した時代ではないものの、映画やTVドラマ、小説、古い街の風景、田舎のおばあちゃんの家などから垣間見られるこうした“昭和”の空気感に、ノスタルジーや懐かしさを感じているのかもしれません」

■素朴で温かみのある「定番メニュー」に共感する声も

 また昭和のドライブインが再注目される理由として、もうひとつの視点があると遠藤氏は話します。

派手さはないけれど、素朴で温かみのある定食メニューに幅広い層が共感しているようです[写真は「ドライブイン やまびこ」のスタミナ定食]派手さはないけれど、素朴で温かみのある定食メニューに幅広い層が共感しているようです[写真は「ドライブイン やまびこ」のスタミナ定食]

「現代では、グルメサイトやSNSの普及とともに、“映える(バエる)”ことが重要視されるようになりました。

 このように『新しいもの・おもしろいものを常に生み出さないとならない』という先鋭化した動きは、年々強くなっているように感じます。

 そんな風潮に違和感を覚える人は少なくないからこそ、昭和のままの姿で提供される素朴で温かみを感じるカツ丼や定食、定番の麺類などに改めて着目しているのではないでしょうか」

 グルメ評価サイトで昭和のドライブインのクチコミを見ると「子どもの頃、海水浴の行き帰りに立ち寄った海の家を思い出す」「結局、こういうなんでもない昔ながらの醤油ラーメンが美味いんだよね」などのコメントも見られます。

 若い世代のみならず、いわゆる団塊ジュニア世代と呼ばれる40代後半から50代以上の世代が、幼少期を思い出して懐かしんでいる様子がわかります。

 世代を超えた様々な共感の広がりによって、昭和のドライブインを評価する流れが再び形成しつつあるようです。

※ ※ ※

 ドライブイン やまびこの店主によると、お店の開業は「50年以上前かしらね」とのこと。

 国道と並行する中央自動車道が開通したのは、開店後しばらく経過した1976年(韮崎IC-小淵沢IC間)で、こちらでもその影響は少なくなかったようです。

 最盛期はパートを4人以上雇っていたほど盛況だったといいますが、「最近は私ひとりでも十分なの」と話す店主。

「ひとりしかないいないから、週末はお待たせしちゃうこともあるけど、皆さん『待ってるから大丈夫』と優しく声かけてくれて助かってます」とのことでした。

 訪問した3月上旬の平日昼下がりには、来店した地元の常連客が慣れた様子で次々に定食をオーダーした後、備えられた漫画などを眺めながら、昼休みの時間をのんびりと過ごしていました。

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