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1度は乗り比べたい! トヨタ「ランクル」勢揃い!? 300・250・70のオフロード試乗! 三者三様の違いとは

くるまのニュース / 2024年5月2日 15時10分

トヨタが誇るランドクルーザーシリーズ。300・250・70をオフロードで走らせるとどのような違いがあるのでしょうか。

■ついに新型「ランドクルーザー250」(ランクル250)登場

 昨今、世界的にクロスオーバーSUVブームですが、肝心なオフロード性能は「乗用車+プラスα」というモデルが多いのも事実です。
 
 道路環境が整備されている日本を含めた先進国では問題ありませんが、世界を見渡すとまだまだ道路事情が悪い国もたくさんあります。更にクルマが壊れると命の危険に晒されてしまう国だってあります。

 そんな過酷な条件下で絶大なる支持を得ているモデルと言えば、トヨタ「ランドクルーザー」(以下ランクル)でしょう。

 TVで世界の“秘境”を旅する番組、アフリカや中東地域、アジア山岳地域に密着したドキュメンタリー番組、更には紛争地域や武装地域からのニュースには、必ずと言っていいほどランクルの姿を見かけます。

 そんなランクルの原点はと言うと、1951年に警察予備隊向けの機動車への納入を狙って開発された「トヨタ・ジープBJ型」です。

 それ以来、今日に至るまで一度も途切れるなく発売。世界累計生産は1040万台以上、年間30万台以上のランクルが、世界170の国と地域で活躍しています。

 そんなランクルの歴史を振り返ると、ワークホースとして開発された「ヘビーデューティ系(BJ型→20→40→70系)」、プレステージ性も備えた「ステーションワゴン系(55→60→80→100→200→300系)」。

 そして「もう少し気軽に四駆を……」というニーズに応えた「ライトデューティ系(70ワゴン→78→90→120→150系)」と大きく3つの系統に分かれます。

 これは多様なニーズに応じて“役割”を細分化させた結果ですが、ランクルと名乗るモデルの開発思想は全て共通です。

 それは、世界中のあらゆる地域・道で使われることを想定し、最も厳しい基準を持ってクルマ作りを行なうことです。そのポイントは極めてシンプルで下記の3つになります。

「道なき道でも自由に走れる」
「命・荷物を運ぶために壊れない」
「もし壊れても何とかして必ず帰ってくることができる」

 歴代ランクルはこれらを愚直に突き詰めてきたからこそ、世界で絶大な信頼と支持を集めてきたと言えるでしょう。

 豊田章男氏(現トヨタ会長)も筆者のインタビューで、「ランクルは『世界の命を守るクルマ』であり、トヨタにあるロングセラーの中でも大事な1台」と語っています。

 そんな中、登場したランクルの最新モデルが「250」です。多くの人がプラド(150系)の後継モデルだと思っているようですが、250の開発コンセプトはズバリ「原点回帰」。

ランドクルーザーシリーズが勢揃いランドクルーザーシリーズが勢揃い

 エクステリアは70やFJクルーザーを彷彿とさせる無骨さとモダンな洗練さが上手に融合したデザイン。

 ボディサイズは300系とほぼ変わらないものの、短いフロントオーバーハングやスクエアなスタイルなども相まって、実際のサイズよりも小さく見えます。

 ボディカラーはサンド(イメージカラー)やブロンズに魅かれつつも、個人的にはツール感が増すホワイトも捨てがたいなと。

 インテリアは水平が解りやすい直線基調のシンプルなデザイン。スイッチ類はブラインドタッチで操作できるように機能ごとに最適配置されています。

 メーターは最新モデルらしくフル液晶ですが、残念なのは他のトヨタ車と同じデザインである事。せめて1種類だけでも専用デザインを用意してほしかったです。

 居住性は2850mmのホイールベースを活かし、2-3列目の足元スペースは150系プラドより拡大されていますが、実際に座ってみると“必要十分”と言った印象です。 

■300・250・70をオフロードコースで比較試乗! 違いは?

「原点回帰」の意味と本質を理解するために、今回は「ランクルの聖地」と呼ばれる愛知県豊田市にある「さなげアドベンチャーフィールド」のオフロードコースで、キングofオフローダーの「300」と2023年に復活した「70」と共に走らせてきました。

 まずは林間コースからの走行です。今回はトランスファーモードは駆動力の高い「4Lo」、センターデフは「ロック」、SDM(Stabilizer with Disconnection Mechanism)は「OFF」、そして路面状況に応じて走行支援を行なうMTS(マルチ・テレイン・セレクト)は「AUTO」で走らせます。

 走り始めて即座に感じたのは「想像以上に力強い」でした。エンジンは150系プラドでも採用されていた2.8リッターディーゼルターボ(1GD-FTV)でスペックも不変(204ps/500Nm)ですが、アクセルを踏んだ時のツキのよさやアイドリング+αから湧き出る段付きないトルクの立ち上がり、滑かな加速フィールなど、まるで別のエンジンかと思ったくらい。

 これは小型タービンの採用や最新の制御系、更に8速ATとの組み合わせなどが効いているのでしょう。

林間コースでの250は「クルマはより小さく、より軽く感じる」林間コースでの250は「クルマはより小さく、より軽く感じる」

 今回走行した林間コースはアップダウンが激しい上に道幅もかなり狭いのですが、そんな中で走らせて感じたのは、「クルマはより小さく、より軽く感じる」でした。

 これは水平基調のインパネやボンネット形状の工夫による見切りの良い前方視界に加えて、ベルトラインが低いサイドウィンドウによる開放感。

 更に出っ張りが抑えられたドアミラー(ミラーtoミラーは150系プラドより短い)などに加えて、マルチテレインモニターのサポートも大きいですが、個人的にはオフロードでの「クルマの動き」に加えてランクル初採用の電動パワーステアリングの効果が大きいと感じました。

 ちなみにシャシはGA-Fと形式的には兄貴分のランクル300と同じですが、フロントはオーバーハングを短くするためにスタビライザーの位置を後方に移動、それに伴いサスペンションジオメトリーを変更。

 リアもサスストロークと居住性、アフォーダブルな価格での提供を元に設計し直されるなど、中身は250専用となっています。

 そのため乗り味も300とは別物です。オフロードではオンロードよりも姿勢変化(前後左右)が大きめですが、その時の動きは300が「穏やか」かつ「時間をかけて吸収」なのに対して、250は「俊敏」かつ「吸収スピードを優先」と言った印象でした。

 ちなみに250の車両重量は300に対して約150kg軽量ですが体感的にはそれ以上の差、例えるならラグジュアリーセダンとスポーティセダンくらいの違いに感じました。

 つまり、オフロード走行での「一体感」や「手の内感」、そして「対話性」と言う部分では250のほうが上であり、その結果クルマが「より小さく」、「より軽く」感じたわけです。

岩を駆け登るランドクルーザー250岩を駆け登るランドクルーザー250

 続いて、モーグルや岩山、更に急勾配を走るコースを走ります。ここではE-KDSSを持つ300(GR-S)のサスストローク(フロント245mm、リア260mm)を活かした接地性の高さに驚きますが、僅かにサスストロークが僅かに短い250(フロント220mm、リア230mm)も全く負けておらず。

 正直言うと、今回走らせたコースではほぼ同等の性能と言っていいでしょう。どちらもMTSのフル活用で、「楽に」、「快適に」「安心して」走破することが可能でした。

 ただ細かく見ていくと、300は路面の入力を“優しく”包み込む、途中で停止してしまった後のリカバリーなどは絶対的な接地性に優れるのに対して、250は路面の入力を包み込みながらも“ダイレクト感”は残す、視界の良さからコースセレクトがしやすく途中で止ることなく走破しやすいなど、キャラクターの違いは明確に出ています。

 ちなみに70は250と同じ2.8リッターディーゼルターボ+6速ATの組み合わせで少しだけ近代化されていますが、基本設計は1980年代でオフロード性能は“素”で勝負のモデルです。

 今回のコースも軽々走破できましたが、250や300と明らかに違うのは「路面を感じながら走る」と言う面白さ、つまり「ダイレクト感」や「対話性」は、今でもランクルシリーズの中でピカイチだと言う事です。

 ただ、従来モデルよりはしなやかさを備えたとは言うものの、250/300には劣るサスストローク、路面からの入力をパーンと跳ね返してしまう印象などから、コース取りも慎重になる上にトラクションを上手に掛けるためには繊細なアクセル操作も求められます。

 このピュアな所こそが70の魅力ですが、逆を言えば「乗り手も選ぶ」と言うわけです。

■ランクルシリーズのチーフエンジニアが語る!

 ちなみに走行後にランクルシリーズのチーフエンジニアである森津圭太氏に性能の違いを聞いてみると、次のように教えてくれました。

「悪路走破性と言う部分で言えば300がトップです。

 仮に300が100点だとしたら、250は95点くらいかな!?

 一方、70はサスストロークを含めて基本素性は250や300と比べると不利なのは事実ですが、耐久性や堅牢性、リペアビリティを含めた総合力で『オフロード最強』と言うわけです」

70(前)、300(奥)とそれぞれのランクルらしさをもっている70(前)、300(奥)とそれぞれのランクルらしさをもっている

 250は300譲りの悪路走破性、歴代プラドの親しみやすさ/扱いやすさ、そして70の対話性/ダイレクト感をバランス良く両立させた、新時代のランクル中核モデルだと感じました。

 もう少しカッコいい言葉で言えば「令和のワークホース」と言う感じでしょうか。

 その割には価格が520万円から735万円(通常モデル)、590万円から785万円(ファーストエディション)と高めで、逆に300割安に感じてしまうのも事実です。

 この辺りは供給面を考慮して仕様を限定(各種装備はOPではなく標準に)している所もありますが、あまりの人気にすでに受注停止と言う話も。

 森津氏も「日本向けの台数はかなり増やしましたが、こればかりは本当に申し訳ないと思っています」と。

 ただ、今後受注は間違いなく再開されるはずなので、欲しい人はめげずに頑張ってください。

 更に「日本ではランクルの性能はオーバースペック」と言う人もいるでしょう。そこについて森津氏はこう語っています。

「ランクルシリーズのターゲットカスタマーは、『地球上でもっとも過酷な地域で使う人』。

 これが我々の言う『世界基準』の本質です。

 我々はそこに合わせてモノづくりを行ない、それをグローバル1スペックで世界に提供しています。それは250でも変わりません」

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