トヨタが日本初の5兆円超え!? 営業利益が過去最高に! 約2兆円を“未来”の投資に!? 佐藤社長が語る未来とは
くるまのニュース / 2024年5月9日 5時50分
トヨタは「2024年3月期決算説明会」を開催しました。そこではどのような発表があったのでしょうか。また佐藤恒治社長は何を語ったのでしょうか。
■トヨタが日本の上場企業で初となる営業利益5兆円超え… 佐藤社長は何を語る?
2024年5月8日にトヨタは「2024年3月期決算説明会」を開催。2023年4月-2024年3月の連結決算を発表しました。
そこでトヨタの佐藤恒治社長は何を語ったのでしょうか。
まず数字の面では前期比96.4%増となる5.35兆円。これは日本企業として初めて営業利益が5兆円を超える結果になりました。
この要因には、近年は円安の影響に加えて、これまで積み重ねてきた「もっといいクルマづくり」を起点とした魅力ある高付加な商品ラインナップを継続し、投入してきた営業面の努力があげられます。
さらには急速に需要が増えているハイブリッド車の影響も大きいところだと言います。
また忘れてはいけないのが、開発から生産などメーカーやサプライヤーを含めた原価低減などの経営方針による影響もあると言います。
細かな部分では各工場での0.1円単位での節約や工数の効率化なども行われているようです。
このような様々な要因が今回の結果に現れたと言えます。
そして、2025年3月期(2024年4月-2025年3月)の見通しでは、収益構造を維持した上で営業利益を4.3兆円としました。
トヨタの「2024年3月期決算説明会」が開催されたが好調となった要因は?
こうした2024年3月期の実績と2025年3月期の見通しとなるトヨタですが、決算会見で佐藤恒治社長は何を語ったのでしょうか。
「前期は、多様な商品を基盤に、多くのクルマをお客様にお届けすることができました。
今回の実績は、長年のたゆまぬ『商品を軸とした経営』と、積み上げてきた事業基盤が実を結んだ結果であると思っています。
この経営基盤をもとに、さらなる成長戦略を描き、持続的成長につなげていくために、 今期も『モビリティカンパニーへの変革』というビジョンを具体に落とす取り組みに力を入れてまいります。
それは、言い換えれば、クルマの付加価値を高め『モビリティ社会』をつくるお役に立つということであり、新しい産業構造をつくっていくことであると思っています。
その実現に向けて、使命感をもって、多くの仲間とともに挑戦してまいります」
連結営業利益増減要因(前期差)
一方で2024年3月期の実績と2025年3月期の見通しを見ると、一見減っているように見えますがらこの部分について、トヨタは「未来への投資」に使うとしています。
具体的には、「人的資本への投資」として自動車産業全体の魅力を高めるための、仕入先/販売店の労務費負担、従業員の環境改善などに対する部分に3800億円。
さらに「モビリティカンパニーへの変革に向けた投資」として、1.7兆円をマルチパスウェイ戦略の具現化(BEV・水素など)やトヨタらしいSoftware Defined Vehicleの基盤づくり(ソフトウェア・AIなど)のために使っていくとしています。
未来への投資について、佐藤恒治社長は次のように話しています。
「『クルマの未来を変えていく』。
その挑戦のためには、クルマづくりがしっかりできる基盤が必要です。
その意味でも、グループ各社の不正問題や、トヨタの余力不足の課題に正面から向き合って『足場固め』に取り組むことが、将来の成長に向けた最重点事項であると考えています。
ゆえに、今期は意志をもって、足場固めに必要なお金と時間を使ってまいります。
『10年先の働き方を今つくる』という想いで、余力を生み出して、安全・品質を徹底した仕事、ジョブディスクリプションを踏まえた個々人のスキルの向上、人材育成にしっかり取り組んでまいります。
今期は、成長領域への1兆7千億円の投資に加えて、こうした『人への投資』に3800億円を使い、仕入先や販売店の皆様と一緒に、足場固めを進め、仕事のやり方を変えてまいります」
■トヨタ佐藤社長が「モビリティカンパニーへの変革」として重要だと思うコトは?
さらにここ数年のトヨタは「モビリティカンパニーへの変革」を進めています。
そのカギについて、佐藤恒治社長は次のように語っています。
「変革のカギは、エネルギーとデータの可動性を高めていくことであると考えています。
すなわち『電気』と『水素』が支える未来を見据えて、クルマが媒体となってエネルギーを運び、再生可能エネルギーを軸とする社会づくりに貢献すること。
そして、データが生み出すモビリティの価値で暮らしをもっと豊かにしていくことを目指しています。
こうした未来に向けた今期の重点取り組みテーマが『マルチパスウェイ・ソリューションの具体化』とお客様の多様な移動価値を実現する『トヨタらしいソフトウェア・ディファインド・ビークル』の基盤づくりです。
この1年、ミッシングピースとなっていたバッテリーEVの具現化を進めてまいりました。
小型軽量ユニットの開発や空力、熱マネジメントのあり方などの技術進化により、 クルマの新しいアーキテクチャをつくる挑戦が進んでいます。
これらの要素技術は、今後は、プラグインハイブリッド車などの開発にも応用することができ、 マルチパスウェイの多様なラインナップの構築にもつながってまいります。
水素につきましては、各地域で事業化の基盤づくりを加速してまいりました。
商用領域での水素モビリティの開発・実装に加えて、電車や船舶、発電機など多様なアプリケーションに対するFCシステムの提供。
また、水素を『つくる』『ためる』の領域の取り組みも進めています。
今後は、特に水素の消費量が大きい欧州、中国、北米を中心にパートナーの皆様とともにインフラも含めて、水素モビリティの社会実装を加速していきたいと考えています。
また、内燃機関の未来の姿についても、意志をもって取り組みを進めてまいります。
電気と水素がエネルギーの中心となる未来においても、e-fuelなど液体燃料の活用を 視野に入れた、次世代エンジンの開発も積極的に進めてまいります」
クルマ好きとしては気になる…「内燃機関の未来の姿」
またトヨタらしいSoftware Defined Vehicleの基盤づくりについて、佐藤恒治社長は次のように話しています。
「トヨタらしい『ソフトウェア・ディファインド・ビークル』の実現に向けては、 この1年は車載OSである『アリーン』の開発ならびにソフトウェア基盤の整備に注力してまいりました。
これから生成AIなどの活用により、自動運転も含めて、モビリティの進化を実現していきたいと考えています。
今後AI関連の投資も拡充してまいります。
また、SDVの基盤づくりをさらに進めていくために、インフラや生活に寄り添ったアプリケーションやサービスなど、自動車産業を越えた『戦略的パートナーシップ』の構築に取り組んでまいります」
トヨタは今後も「ステークホルダー」と共に成長していくという
また豊田章男現会長から社長を受け継いで約1年経った佐藤恒治社長。就任時に「継承と進化」という例えを出していました。
継承という部分では、豊田章男現会長が社長就任の約14年で積み上げてきたものがこの2024年3月期に現れたと言えます。
では、進化という部分で今後、佐藤恒治社長はどのようなものを目指していくのでしょうか。
「私自身は『クルマ屋』としてクルマづくりにはこだわってやっていきたいと思っています。
トヨタのクルマに乗って『安心だな』『安全に感じるな』という風に思ってもらえるもの。
そして『楽しいなぁ』と思って頂けるものをこれからも真心こめてつくっていきたいと思います。
その中で進化の部分では『クルマがもたらす価値』がもっともっと広がっていくと思います。
そのためクルマの付加価値をあげていく、魅力をあげていく、若い人が描いているクルマ像を引き出しながらつくっていくそれが『クルマ屋のわたし』がやっていきたいことです」
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