700万円超え!? マツダ「新ロードスター」初公開! “2.0リッター”エンジン+幌の「200馬力マシン」! 豪華内装もイイ“MSR仕様”「12R」どんなクルマ?
くるまのニュース / 2025年1月16日 12時15分
マツダは、東京オートサロン2025にて新「MSR(マツダ・スピリット・レーシング)ロードスター」と新「MSRロードスター12R」を初公開しました。どのようなモデルなのでしょうか。
■2.0リッターエンジンを搭載して…700万円超え!?
先日開催された東京オートサロン2025のマツダブースでは、噂の“2.0リッターエンジン”を搭載したソフトトップ(幌)のロードスターの「市販版」、「MSR(マツダ・スピリット・レーシング)ロードスター」と「MSRロードスター12R」が姿を現しました。
とはいえロードスターに詳しい人以外はそのニュース性がピンとこないかもしれないので状況を説明しておくと、海外向けはこれまでも現行型ロードスターのソフトトップに2.0リッターエンジンが存在しました(国内でも電動開閉式ルーフのRFには設定)。しかし国内のソフトトップには2.0Lエンジンは非搭載。1.5Lエンジンだけだったのです。
そして、ついに2.0Lエンジン搭載車が国内投入宣言され、熱望していたファンは狂喜乱舞。だから話題になっているということなのです。
2.0リッターモデルは2タイプがあり、「12R」と名付けられた頂点となるモデルは、専用のカムシャフト、シリンダーヘッド、ピストン、エキゾーストマニホールドが採用され“開発目標値”として200psを想定。価格は「700万円台後半」とのことです。
なかなか強気のプライスですが、限定200台とのことなので販売は“秒で終了”となるでしょう。それにしても日産「GT-R(R35型)」の初期モデル(2007年モデル)とほぼ同じプライスとは驚きを隠せません。
もうひとつは“通常モデル”と呼ばれるタイプで、こちらは200psではなく「ロードスターRF」と同じ通常の184ps仕様のエンジンを搭載し「500万円台」とのこと(こちらはスカイライン GT-R(R32型)の初期型と同じくらいの価格)。
いずれも2.0リッターエンジンを搭載するほか、専用のサスペンション、強化されたブレーキ(フロントはブレンボ製4ポットキャリパー)、鍛造アルミホイール、エアロパーツ、そしてアルカンターラのインテリアをコーディネートしています。
今回はそんなMSRロードスターに関して、気になる5つのポイントをお伝えしましょう。
■サスペンションはNR-Aの“ビル足”ベース
専用チューニングのサスペンションを組み合わせるMSRロードスター。ショックアブソーバーは「ビルシュタイン製」とのことですが、関係者によると「NR-A用をベースに減衰力を変えたもの」だそうです(バネ定数も専用)。
つまりCリングによる車高調整が可能ということですね。
味付けのイメージに関しては「NR-A用に比べるとハイパワーに対応し、サーキットの高い速度域も考えている」とのことなので、NR-Aよりもハードな設定と推測できます。
■シフトノブは普通のマツダ車には採用できないもの
アルカンターラのインテリアはMSRロードスターの特徴のひとつ。アルカンターラを張ったダッシュボードのパネルなどは(MSRのロゴは入らないタイプが)ディーラーオプションとして通常のロードスター用にも設定されていますが、アルカンターラ張りのステアリングホイールやシフトノブはMSRロードスター専用品です。
関係者によると「シフトノブはマツダの基準を満たせない(=通常のマツダ車には採用できない)」とのこと。理由は製造上避けられない“シワ”。伸びるから縫い目周辺にシワが生じない本革と違い、伸びないアルカンターラはどうしてもシワができてしまい、それがマツダの基準を満たせないのだそうです。
ただ“MSRブランド”の場合は「シワも味」と判断して採用が決まったとのこと。筆者もその考え方に賛成です。実車を見る機会があれば、ぜひシフトレバーをチェックしてみてください。
■クルーズコントロールが固定式の理由は?
展示車両のステアリングを見て筆者は驚きました。なんと、クルーズコントロールが固定式じゃないですか。
驚くのには理由があって、国内向け現行型ロードスターに設定されているクルーズコントロールはすべて追従型(ACC=アダプティブ・クルーズ・コントロール)だからで固定式はないのです。なのにMSRロードスターだけ固定式とは、きっと理由があるはず。
現場で関係者に尋ねてみたのですが、残念ながら正確な理由は判明しませんでした。ただ「軽量化のため?」と尋ねてみたところそうではなさそうです(ACCを搭載するにはレーダーを追加する必要があるのでわずかに重くなる)。
どちらかといえばデザインを重視したと推測されます。MSRは専用デザインのフロントバンパーグリルが装着されていて、もしACCを搭載するとなればレーダーを組み込んでデザインが乱れてしまうので、それを避けた様子です。
もしかすると「冷却のため開口部を塞ぎたくなかった」という理由もあるかもしれないので、そこはさらなる取材を進めたいところです。
■ベース車のグレードが違う? エアコンの謎
通常モデル(500万円台の「MSRロードスター」)と200psエンジンを積んで200台限定700万円台の「12R」を見比べて気が付いたのは、エアコンが異なること。
通常モデルがオートエアコンを装着するのに対し、12Rはなんとマニュアルエアコンなのです。どうしてエアコンが違うのでしょうか。
考えられるのは、ベースとしている車両のグレードが異なるということでしょう。通常モデルは「RS」グレードに組み合わせているレカロシートを(表皮を変えて)備えることから、RSがベースと思われます。
一方12Rはマニュアルエアコンということは「S」もしくは「NR-A」がベースとなりますが、車両のキャラクターを鑑みると「NR-A」と考えるのが妥当でしょう。ちなみに12Rのシートはサーキット走行を前提にフルバケットです。
■そもそも「12R」の“12”ってなに?
200psエンジンを積んで700万円台後半で販売される仕様は「12R」と名付けられていますが、「12R」ってどういう意味なのでしょうか。
実はMSRとしてスーパー耐久レースに参戦しているロードスターのカーナンバーが「12」。そこからのフィードバックを受けたモデルとして「12R」と名付けられたのだとか。
ところで、マツダによると「MSR」とはマツダのサブブランドであり「マツダだけどマツダじゃない」とのこと。
なんだか禅問答みたいですが「通常のマツダ車では実現できないこともMSRなら可能」という位置づけで、細かい部分では記事中にあるシフトレバーの件もそうだし、大きな話でいえばそもそも「国内では絶対に出さない」と宣言していたロードスターの2.0リッターエンジン車がこうして市販前提でお披露目されたのも「このクルマは通常のマツダ車ではないから」という言い訳(?)の上に成り立っているというわけです(だから今後も通常のカタログモデルには2.0リッターのソフトトップも展開されない)。
というわけでMSRとは“現代に蘇った「M2」のような存在”と考えればイメージしやすいでしょう。
ちなみにどうでもいい話ですが、世田谷にあったM2本社社屋(建物自体は今も存在)のデザインは、当時まだ今のような大御所ではなかった隈研吾氏でした。
ところで今年のオートサロンでは市販前提として出展されたMSRロードスターとMSRロードスター12Rですが、販売開始予定は年内。
まだ少し先の話なのは、煮詰めにもう少し時間がかかるからと言います。
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