別工事でも5000万円還流か 元理事長、1級建築士から現金

送検のため、東京湾岸署を出る岩本絹子容疑者を乗せた車＝15日午前8時59分

　東京女子医大の新校舎建設工事を巡り、大学に不当な報酬を支払わせて損害を与えたとして背任容疑で逮捕された元理事長岩本絹子容疑者（78）が、別の工事でも報酬を受け取った男性1級建築士（68）から約5千万円を還流させた疑いがあることが15日、捜査関係者への取材で分かった。警視庁は、還流は総額約8700万円に上るとみて調べる。

　捜査関係者によると、付属病院「東医療センター」（現・足立医療センター）の足立区移転に伴う病棟建設工事で、建築士の報酬約1億5千万円のうち約5千万円を岩本容疑者の側近の女性（52）を通じて還流させたとみられる。警視庁は15日、岩本容疑者を送検した。

　新校舎建設工事で、大学と建築士がアドバイザー契約を結ぶ前から、報酬の還流に関し、建築士の了承を得ていたことも判明。岩本容疑者は側近を通じて、報酬の3分の2を還流させるよう事前に持ちかけた。了承を得た後、大学に契約を結ぶよう推薦した。建築士は報酬約1億1700万円から税金を差し引いた額のうち、約3700万円を側近に現金で手渡した。