難治性卵巣がんの治療抵抗性を引き起こす細胞間の協調作用を発見
共同通信PRワイヤー / 2024年4月26日 10時0分
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202404259977-O7-1n5iY7H4】
図1 卵巣明細胞がんの手術検体を対象にした統合解析(論文より抜粋) シングルセル解析、空間的トランスクリプトーム、多重抗体染色、オルガノイド共培養などの統合解析を行なった。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202404259977-O8-vNw11NA2】
図2 抗がん剤治療抵抗性を引き起こす、卵巣明細胞がんの微小環境(論文より抜粋) 抵抗性がん細胞群より、PDGFが放出される。 がん細胞由来のPDGFは、CAFの活性化を誘導する。 活性化CAFはがん細胞のHIF-1上昇および治療抵抗性の亢進をもたらす。 受容体型チロシンキナーゼ阻害剤によるCAF活性化抑制は、既存の抗がん剤によるがん抑制効果を促進する。
今後の展開
本研究により、今後はCAFを標的とした新しい治療法の発展、および難治性卵巣がんに対する新規抗がん剤の開発などの臨床応用への展開が期待されます。
用語解説
注1)がん関連線維芽細胞(Cancer-Associated Fibroblast、CAF)
CAFは、がん組織内に存在する線維芽細胞であり、がんの進行や治療への応答に影響を与えると考えられる。CAFにはいくつかのサブタイプが存在することが知られているが、これらの細胞のがん特性に与える影響は個々のがん微小環境に大きく依存する。がん促進的に働くCAFを抑制することで、新しい治療法開発に繋がることが期待されている。
注2)シングルセル解析
がん組織などの細胞多様性に富む組織を対象として、一つ一つの細胞レベルで遺伝子発現を詳細に調べる技術。この方法により、細胞集団内の多様性や個々の細胞の特性を明らかにすることが可能になった。病気の診断や新たな治療法の開発において重要な役割を果たしている。
注3)空間的トランスクリプトーム
組織や細胞サンプル内の各細胞の遺伝子発現情報をその空間的な位置情報と組み合わせて解析する技術。これにより、細胞の空間的な配置と機能の関係を明らかにし、組織の構造と遺伝子発現パターンの相関を理解することが可能になった。疾患の研究や組織の微細な構造解析において重要な役割を果たしている。
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