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大規模量子コンピューターに向けた量子ビット制御超伝導回路の原理実証に成功

共同通信PRワイヤー / 2024年6月3日 18時0分


図1(b)に、二つのマイクロ波(4.5 GHz、5 GHz)が多重化された場合のシミュレーション波形を示します。超伝導ミキサ1と超伝導ミキサ2から、マイクロ波1(4.5 GHz)とマイクロ波2(5 GHz)がそれぞれ出力されます。各マイクロ波は制御信号1および2によって個別にオン/オフ制御することができ、任意の量子ビットにマイクロ波を照射することできます。このような柔軟性の高いマイクロ波の操作は、量子アルゴリズムを実行する上で重要な特徴となります。また、シミュレーションにより回路の消費電力を見積もると、1量子ビット当たりわずか81.8 pWであることが分かりました。冷凍機の内部のわずかな発熱が量子ビットの状態を壊してしまうため、低電力動作は重要なメリットとなります。


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202405291435-O2-6EsKkklO


提案した量子ビット制御超伝導回路を産総研の超伝導集積回路プロセスにより作製し、極低温環境下で原理実証実験を行いました。図2(a)に、作製した量子ビット制御超伝導回路のチップ写真を示します。この回路は、2組の超伝導共振器と超伝導ミキサによって構成されます。本チップを用いて、量子ビット制御に必要な基本的なマイクロ波操作を実証しました。図2(b)に、測定結果の一例を示します。この図は、多重化された二つのマイクロ波がマイクロ波1と2に分離され、それぞれを個別にオン/オフ制御できることを表しています。


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202405291435-O3-7w3Z5Rkb


以上より、提案した量子ビット制御超伝導回路を用いることで、量子ビット制御のためのマイクロ波伝送経路の密度を飛躍的に向上できる可能性が示されました。本回路が、大規模超伝導量子コンピューターを実現するための基盤技術になることが期待されます。


今後の予定

今後は、提案した量子ビット制御超伝導回路と量子ビットの統合テストを行い、本回路による量子ビット制御の実証を目指します。また、量子計算で必要とされる全ての量子ゲートを実行できるよう、本回路のさらなる高機能化を進めます。


論文情報

掲載誌:npj Quantum Information

タイトル:Microwave-multiplexed qubit controller using adiabatic superconductor logic

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