マタタビはハチを欺く?
共同通信PRワイヤー / 2024年6月4日 18時0分
一方で雌花の花粉は発芽能力をもたず受精できないため、雌株はハチを誘引するためだけに偽の雄しべと花粉を作っていることになります。実際に雌花が花粉を集めるハチを誘引する上で、この偽の雄しべの存在は重要で、取り除くとハチの訪花が減少することが知られています。この生殖器官としては機能を持たない偽の雄しべや花粉を作る上で、雌株が雄株と同様のコストを払っているのかは不明でした。
【研究成果】
研究グループは、まず雄花と雌花の花粉を観察し、雌花の花粉には発芽に必要な発芽孔がないこと、また花粉内部に細胞質がほとんど含まれていないことを確認しました(図1c-f)。
次に、花の窒素成分に着目しました。植物は光合成により炭素を空気中の二酸化炭素から取り込むことができますが、窒素成分は根からしか得ることができません。そのため、しばしば窒素は植物の生長を制限する要因となります。また、花粉を餌として成長するハチの幼虫にとっても、体を作るタンパク質の原料となる窒素成分は重要です。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202406041748-O3-236Z0wqv】
図1 マタタビの花と花粉。雄花(a)と同様に雌花(b)にも雄しべがある。雄花の花粉(c)には発芽孔があるが、雌花の花粉(d)にはない。細胞質の染色が雄花の花粉(e)ではみられるが雌花の花粉(f)ではみられない。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202406041748-O2-WV422P2i】
図2 マタタビの雌花を訪花するトラマルハナバチ。後脚に集められた花粉が着いている。
そこで、研究グループは、窒素成分を雄花と雌花の各パーツで比較しました。その結果、雌花の雄しべは雄花の雄しべに比べて窒素の割合や量が少ないことが明らかになりました。さらに花粉の窒素成分を比較すると、雌花花粉は雄花花粉の1/4程度と低く、一花に含まれる花粉の平均窒素量は、雌花は雄花のわずか6%と違いは顕著でした(図3)。また、一花に含まれる花粉の体積は雄花と雌花でほぼ同じでしたが、乾燥重量では雌花の花粉の方が軽く、見た目だけ雄花と同じようにかさ増ししていることがわかりました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202406041748-O1-Dml9tK4R】
図3 マタタビの雌花と雄花に含まれる花粉の中の窒素の割合(a)と、一花あたりの花粉の窒素含有量(b)。雌花花粉の窒素割合は雄花花粉の1/4で、雌花では一花あたりの花粉の窒素含有量は雄花のほんの6%にすぎない。
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