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湧水に浸すと発電できる「湧水温度差発電」

共同通信PRワイヤー / 2024年6月10日 14時0分


研究の経緯

産総研物理計測標準研究部門では、電気量の精密測定技術を開発し、国家計量標準として整備しつつ、その知見を、熱電材料・モジュールの性能評価などにより社会ニーズに即した課題へ展開してきました。産総研地圏資源環境研究部門では、環境課題の解決に必要な、水文学・水文地質学の研究および地下の開発・利用に係る技術に関する調査・開発を行ってきました。一方、茨城大学大学院理工学研究科では、長野県松本市を舞台とし、湧水などの地域資源を核とするデザイン手法の研究に取り組んできました。今回、両機関は、湧水の新たな価値の創出を目指して、湧水の持つ熱エネルギーを利用した発電技術の研究開発に取り組みました。


なお、本研究開発は、独立行政法人 日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)「水辺空間の価値創出に向けた環境発電のデザイン上の課題解明と導入方法の実証的研究」(2022~2025年度)(研究代表者 一ノ瀬彩)による支援を受けています。


研究の内容

湧水の温度は、地表の気温変化の影響を受けにくく、昼夜、1年間を通してほぼ一定な性質があるので、大気と湧水の間には自然な温度差があります。温度差を電力に変換する熱電発電を用い、湧水に浸すだけで発電する「湧水温度差発電」を考案し、安定した電力供給が可能な湧水温度差発電装置を開発しました。また開発した発電装置を実際に湧水に設置して発電することで、電池なしで水温を計測し、無線通信で自動的にデータ収集できることを実証しました。


図1 (a) に、湧水温度差発電装置を示します。片側を湧水に浸した円柱形の銅棒にて、熱電モジュールのある表面まで熱の流れを導くことで、大気よりも湧水の温度が低い夏場には熱電モジュールの片面が冷却され、大気よりも湧水の温度が高い冬場には加熱されます。すなわち、夏場には大気から湧水に熱エネルギーが流れ、冬場には湧水から大気に熱エネルギーが流れます。一方、熱電モジュールの反対面には、地表面付近の外気と効率的に熱交換が行われるようにヒートシンクを貼り付けた構造になっています。本装置では、湾曲できる柔軟な熱電モジュールを用いて、円柱形の銅棒と熱電モジュールを密着させることで、銅棒と熱電モジュール間の熱を伝わりやすくする工夫をしています。さらに、大気の熱を対流によりヒートシンクが効率的に授受できるよう、ヒートシンクのフィンの向きを重力の方向に対して平行となるよう取り付けました。

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