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常圧・低濃度CO2からポリカーボネート・ポリウレタンの原料の合成に成功

共同通信PRワイヤー / 2024年6月10日 14時0分


研究の内容

産総研と東ソーは、エタノールと有機強塩基を用いたCO2の化学吸着反応と最適な触媒の利用により、常圧・低濃度のCO2と低環境負荷のケイ素反応剤であるテトラエトキシシランを原料としたジエチルカーボネート合成法の開発に至りました。


これまでの低環境負荷な反応剤を使用したジエチルカーボネート合成では、高濃度CO2に常圧の20倍以上の高圧を印加していました。これによって、反応容器内がCO2で十分に満たされた状態を作り、生成反応を進行させていました。一方、常圧・低濃度CO2を利用した場合には、十分な量のCO2を反応容器内に確保することができませんでした。そこで、エタノールと有機強塩基が関係するCO2の化学吸着反応に着目しました。この化学吸着反応は、エタノールと有機強塩基を混合した溶液に、CO2を含むガスを通気することでエチル炭酸塩を生成します。このCO2吸着反応を利用することにより、それぞれ体積比15%と85%のCO2と窒素からなる混合ガスを用いても、使用した有機強塩基量のモル比の約60%に相当するCO2を吸着することができました(図1)。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202406061845-O2-d6mNLP1S


次に、エチル炭酸塩とテトラエトキシシランからのジエチルカーボネート化反応に関して、最適な触媒の探索を行ったところ、数十種類の中から酸化セリウム(CeO2)が最適な触媒であることがわかりました。さらに、有機強塩基の種類が、ジエチルカーボネートの収率に大きな影響を及ぼすことを明らかにしました。これは、酸化セリウムの表面に存在するジエチルカーボネートを生成するための活性点が、有機強塩基の結合で被覆されるためであると推定しました(図2)。


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202406061845-O3-qol3qM2t


そこでさまざまな有機強塩基を用いてジエチルカーボネート合成を検討し、触媒の被覆を起こさない特定の有機強塩基を見いだすことに成功し、反応を優位に進行させることができました。その結果、体積比15%の低濃度のCO2ガスを用いた場合、エチル炭酸塩として捕集したCO2の約49%をジエチルカーボネートへと変換できました。さらに、15%のCO2に石炭火力発電所の排ガスに含まれるものと想定される不純物を混合した模擬排ガス(CO2濃度15%、CO濃度300 ppm、SO2とNO2のそれぞれの濃度500 ppm、その他:窒素)を用いた場合であっても、捕集したCO2基準で45%のジエチルカーボネート収率を達成しました。図1に示した一連の反応は、CO2吸着からジエチルカーボネート合成までを一貫して、同一の反応容器で行うことが可能です。

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