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迷うことにも意味がある

共同通信PRワイヤー / 2024年6月13日 14時0分

迷うことにも意味がある

図4 実験2の結果

決断の迷いも含めて脳は運動を学習することを発見


2024年6月13日

国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)


ポイント

■ 見た目は同じでも、決断を迷った末の運動と迷わずに行う運動は、脳は異なる運動として学習することを発見

■ 決断の内容だけでなく、その決断に至る過程が運動として記憶されていることを証明

■ 様々な意思決定の状況に応じて運動学習をさせることで、新たなスポーツの指導方法の開発につながる可能性


 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT(エヌアイシーティー)、理事長: 徳田 英幸)未来ICT研究所 脳情報通信融合研究センター(CiNet)の羽倉信宏主任研究員、小笠希将研究員(当時)らと株式会社本田技術研究所のグループは、運動の学習には、その運動の実行に至るまでの決断の迷いが反映されていることを明らかにしました。

 これまでの意思決定や運動制御の理論では、一度意思決定がなされてしまえば、その決定に対する確信度合には依存せずに同じ運動が実行されると考えられていました。しかし、研究グループは、これまでの考え方を覆し、脳は決断を迷った末の運動と、迷わずに行う運動を区別し、異なる運動として実行していることを明らかにしました。

 この結果は、様々な意思決定の状況に応じて運動学習をさせるなど、新たなスポーツやリハビリの指導方法の開発につながります。本成果は、英国科学誌「Nature Human Behaviour」オンライン版に2024年6月11日(火)に掲載されました。


背景

 サッカーのPK戦では、選手はゴールキーパーの左側への動きを見て確信を持って右隅にボールを蹴る場合もあれば、ゴールキーパーが動く方向に確信が持てないまま同じように右隅に蹴ることもあります。どちらも見かけ上は同じ運動であるため、この「右隅に蹴る」という動作について脳から同じ指令が出されていると考えられてきました。

 つまり、これまでの意思決定や運動制御の理論では、一度意思決定がなされてしまえば、その決定の確信度合には依存せずに同じ運動が実行されると考えられていました。


今回の成果

 今回の研究では、これまでの考え方を覆し、決断を迷った末の運動と迷わずに行う運動は、脳の中では区別され、別のものとして記憶されていることが分かりました。つまり、「決断に至る過程」とその後の「運動」は脳の中ではセットで学習・記憶されていることになります。これは、空のゴールにうまく蹴る練習をいくらしても、迷いを生む「ゴールキーパーがいる状況下」では、同じところに同じように蹴れるとは限らないことを意味します。運動の練習は、意思決定場面とセットで練習する必要があることが示唆されました。

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