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ナノ材料のマルチモーダル計測法を開発

共同通信PRワイヤー / 2024年6月26日 14時0分

ナノ材料のマルチモーダル計測法を開発

構造と機能の因果関係の解明によりナノ材料設計の革新に貢献


ポイント

・ 虹色X線を駆使してX線散乱とX線吸収スペクトルの同時計測を実現

・ ナノ材料の機能を左右する、ナノスケール構造と原子スケール構造の情報を同時に取得

・ 新たな材料設計手法の提供により革新的材料開発に貢献


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202406242609-O1-Gc6fx383


概 要

国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)物質計測標準研究部門 ナノ材料構造分析研究グループ 白澤 徹郎 上級主任研究員と、国立大学法人 東京学芸大学 教育学部のVoegeli Wolfgang 准教授および荒川 悦雄 教授は、放射光X線から作り出した虹色X線(波長分散集束X線)を用いて、X線散乱とX線吸収スペクトルを同時かつ高速に計測する技術を開発しました。本技術の開発により、ナノ材料の機能を左右するナノスケール構造(粒子のサイズと形状)、および原子スケール構造(原子間距離、配位数、化学状態)の情報を同時に得ることに成功しました。この技術の利用により、従来の個別の計測では困難であった、原子スケールからナノスケールにわたる複数の情報間の相関を観察することが可能になり、その結果を機能の情報と突き合わせることで、構造と機能の因果関係を詳しく知ることができます。このような情報をマルチモーダル分析に活用し、ナノ材料の機能を最大化する構造や新機能の予測を行うことで、材料開発の革新に貢献することが期待できます。


なお、この技術の詳細は、2024年6月25日に英国科学誌「Physical Chemistry Chemical Physics」にオンライン掲載されました。


下線部は【用語解説】参照


開発の社会的背景

ナノ材料は電気電子製品から化粧品まで、さまざまな製品に使用されています。その機能の鍵を握るのは、ナノスケールのサイズや形状、および、よりミクロな原子スケールの構造です。一例として、クリーンな発電技術として注目されている燃料電池では、電極触媒に白金などのナノ粒子が用いられており、その反応効率が発電効率を左右します。触媒反応はナノ粒子の表面で起こるため、一般に、粒子を小さくすることで体積に対する表面積の割合が大きくなり、反応効率が上がります。さらに、反応効率は触媒原子の原子スケールの構造(原子間距離や配位数)によっても変わります。このため、反応効率の高いナノ粒子を開発するには、ナノスケール構造(粒子サイズや形状)および原子スケール構造を計測した上で、構造と反応効率との因果関係を明らかにして、最適な構造を予測することが重要です。また、反応中に反応効率と構造が変化する場合には、時間的な相関を知ることがそのメカニズムの解明、ひいては耐久性の高いナノ粒子の開発に重要です。そのため、このようなナノスケール構造と原子スケール構造、およびそれらの時間的変化を計測できる、マルチモーダル計測法が求められています。

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