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ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡、133億光年かなたの星団を捉える

共同通信PRワイヤー / 2024年7月4日 11時0分


(2)研究成果の意義

今回の論文の筆頭著者であるスウェーデンのストックホルム大学とオスカー・クライン・センターのアンジェラ・アダモ博士は、「コズミック・ジェムズ・アークのコンパクトな星団は、球状星団の祖先であると考えられます。何より特別な点は、重力レンズ効果※3のおかげで、この銀河を数光年のスケールで解像できたことです!」と成果を強調しています。今回の観測対象の銀河は、SPT-CL J0615-5746という前景の銀河団による重力レンズ効果により、長辺がおよそ100倍に拡大されて観測されました。「今回のジェームズウェッブ宇宙望遠鏡の画像を初めて見たときは驚愕しました。小さな輝点の連鎖が、鏡に映したように対称に並んでいたのです。これらの小さな輝点は星団だったのです。ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡がなければ、このような若い銀河の星団を見つけることはできなかったでしょう!」 とアダモ博士は付け加えています。


今回の観測プログラムの代表者である、米国宇宙望遠鏡科学研究所のラリー・ブラッドリー博士は、「ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡の驚異的な感度と解像度が、巨大な前景銀河団による重力レンズ効果と相まって、この発見を可能にしました。」と説明しています。


コズミック・ジェムズ・アークのコンパクトな星団は、天の川銀河の球状星団より質量が大きく、恒星の数密度が非常に高いことが分かりました。今回の発見は、初期宇宙の若い銀河で球状星団がどのように誕生したのかを解明する大きな一歩になると期待されます。アダモ博士は、「球状星団の形成過程や初期の性質を解き明かす重要な手掛かりになる成果です。例えば、コズミック・ジェムズ・アークの星団を構成する星々は非常に高い密度で密集しています。これは、星団の内部で起こっている何らかの物理過程を示唆するものであり、銀河の進化にとって重要な大質量星や、ブラックホールの種の形成について新たな視点を与えるでしょう。」と説明しています。すなわち、初期宇宙に存在する超大質量ブラックホールの起源などを説明するために、高密度な星団中でブラックホールの合体頻度が高まることで、より大質量なブラックホールが誕生する仮説や、恒星同士の合体が暴走的に起こることで超大質量な恒星が誕生する仮説などが理論的に提案されてきましたが、今回発見された高密度な星団は、まさにその舞台となる可能性を秘めているのです。

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