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血管内治療の課題を克服する新規の抗血栓性コーティング

共同通信PRワイヤー / 2024年7月10日 18時0分


なお、この技術の詳細は、2024年7月10日(英国夏時間)に「Scientific Reports」に掲載されます。


下線部は【用語解説】参照


開発の社会的背景

近年、くも膜下出血の主な原因である脳動脈瘤の治療において、医療機器の進歩により低侵襲な血管内治療が主流となっています。特にステント併用コイル塞栓術は、高い安全性と有効性が報告され、現在、血管内治療の最も確立した手法の一つとされています。しかし、この手法にはステント起因の血栓形成による血管閉塞のリスクが伴います。そのため、ステントを使用した患者には抗血小板剤の服用が必須となりますが、抗血小板剤を服用していても一定の割合で血栓性合併症は発生しており、さらに服用中は出血性合併症のリスクが高まります。さらに、長期間の服用が必要であるため、患者への負担や医療費の増大という問題もあります。


これらの解決に向け、ステント表面に抗血栓性を付与するための抗血栓性ポリマーのコーティングが多く研究されてきました。しかし、従来のポリマーは血栓の発生を抑制する一方で、細胞の接着に伴う血管内皮化と呼ばれる血管内へのステントの取り込みを阻害するという欠点がありました。ステント治療においては、ステントが最終的に完全に血管内皮化することで治癒が完了します。しかし細胞が接着できないと血管内皮化が起こらず、ステントの取り込みが遅れ、治癒が遅延するリスクがあります。抗血小板剤の服用がのびてしまい、出血性合併症のリスクがさらに高まるといった悪循環につながっています。そのため、臨床現場では抗血栓性を有し、血管内皮化を阻害せず細胞接着性を合わせ持つコーティング技術が長年求められてきました。しかし、従来の技術ではこれらの特性は相反するので、両立する材料は存在しませんでした。


研究の経緯

産総研は、生活の質(Quality of Life)の向上に貢献する低侵襲医療デバイスなどの医療機器の研究開発に取り組んできました。安全に高機能で作用する医療機器を目指し、バイオマテリアルを開発してきました。今回、この技術を脳動脈瘤治療用ステントへ応用し、高い安全性と患者負担の軽減を実現できるステントを開発しました。


なお、本研究開発は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ディープテック・スタートアップ支援基金/ディープテック・スタートアップ支援事業」による支援を受けています。(2024~2025年度)。

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