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3種類の金属が並んだ常磁性一次元化合物の合成に成功

共同通信PRワイヤー / 2024年8月20日 10時0分


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202407183795-O7-onPVI6YO】 図3. 一次元化合物の構造と、距離に対する磁気的相互作用の強さのプロット.


今後の展開

 今回合成に成功した一次元化合物は、金属が直接の金属結合で連なっているため、バンド構造を形成しており、磁性を担う不対電子以外に、伝導電子もあります。ゆえに、導電物性と磁気物性を絡めたマルチフェロイック(注6)に向けた物性調査を進めたいと考えています。また、この一次元化合物は合理的に合成されており、金属の種類を変えられることが可能です。不対電子の数、不対電子が存在し得る金属種を変えることで、強磁性化を狙い、ナノサイズの大きさの磁石の開発を目指しています。


用語解説

注1)金属結合: 金属原子と金属原子との間にできる化学結合のこと。銅や鉄といった金属の塊も、3次元的に金属結合で組みあがった固体である。2粒の原子があれば金属結合は可能で、原子間に電子を共有して結合を形成する。


注2)不対電子: 化学物質や分子内でペアを組まずに単独で存在する電子のことで、物質は化学反応や物性の面で特定の性質を示す。不対電子はスピンにより磁気モーメントを示し、不対電子をもつ分子は磁性を示すことがある。


注3)反強磁性的相互作用: 物質内の不対電子の磁気モーメントが、隣接のものと反平行になる相互作用のことである。この相互作用が強いほど、高温でも反強磁性体となり得る。逆に並行となる相互作用は強磁性的相互作用である。


注4)金属錯体: 金属原子に有機物が結合(配位)した、有機-無機複合分子のこと。有機物は、炭素、窒素、水素等からなる物質で、無機物は、それ以外の元素からなる、セラミックスや金属酸化物であり、金属錯体は双方の性質を併せもった化合物といえる。


注5)バンド構造: 固体中の電子がとり得るエネルギー準位の集まりで、原子間の相互作用により、電子のエネルギー準位が結晶中で連続的なエネルギーバンドとなる構造のこと。導電性や絶縁体性などの物性は、このエネルギーバンドの形状や充填状態によって決まる。


注6)マルチフェロイック: 1つの材料が複数の特性を同時に持つ性質を指す。


論文情報

雑誌名: Angewandte Chemie International Edition

論文タイトル: Antiferromagnetic Interactions through the Thirteen Å Metal–Metal Distances in Heterometallic One-dimensional Chains

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