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世界初、量子コンピュータを利用した屋外多数同時接続実験に成功

共同通信PRワイヤー / 2024年7月25日 14時0分

 組合せ最適化問題を高速に解くことができる計算機として注目されているのが量子アニーリングマシンですが、汎用的な計算は得意ではありません。非直交多元接続技術を含む次世代移動通信システムにおける信号処理では、大規模な組合せ最適化問題だけではなく、汎用的な計算もまた必要になることから、量子アニーリングの強みをいかせる実用的な演算手法の実現が課題となっていました。


 

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202407244061-O5-f8jRg92z

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202407244061-O3-33H4XTlh

図1 量子アニーリングマシンを利用した上り回線非直交多元接続実験系の構成(写真を含む)と原理検証結果



今回の成果

 NICTは、量子アニーリングマシンと古典コンピュータとをハイブリッドすることで、実用的な演算手法(本アルゴリズム)を開発し、無線通信で用いられる信号処理に適用し、オンラインでの実証を行いました(図1参照)。

 本アルゴリズムは、組合せ最適化問題の計算を得意とする量子アニーリングマシンを組合せの候補(正解とは限らない)を出力するサンプラーとして使用し、マイクロ秒オーダーの時間内で複数の候補を得た後、古典コンピュータにおける事後処理(NICTの独自技術)を適用することで、限られたサンプル数でも精度良く統計分布に従う解を得る演算手法です。これは、単に二つの異なる計算機を接続するのではなく、各計算機の長所をいかせるよう設計の工夫を行っており、組合せ最適化問題を含む様々な信号処理の問題に適用することができます。

 今回、次世代移動通信システムにおける多数接続性の拡張(5Gと比較して10倍)に向けて注目されている上り回線非直交多元接続技術を対象として、その信号分離処理に本アルゴリズムを適用しました。非直交多元接続技術における信号分離では、変調多値数(M)と同時通信端末数(K)により組合せ数はM^K(MのK乗)となることから、指数関数的に計算量が増加する課題がありました。加えて、基地局のアンテナ本数に対して同時接続する端末局数が多くなるため単純な計算(線形方程式)では解けないという課題もありました。

 本課題の解決に向けて、本アルゴリズムの有効性を計算機シミュレーションと屋外実験により確認しました。

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