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新たな脱アシル型クロスカップリング反応の開発に成功

共同通信PRワイヤー / 2024年7月30日 9時0分


しかし、②のプロセスにつなげる段階で1つ問題が生じました。①の反応での副生成物が、②のプロセスを阻害することがわかったのです。そこで、本研究グループは、①のプロセス終了後、安価な酢酸亜鉛を加えたところ、副生成物は溶媒に溶けない化合物へと変化し、②のプロセスが効率的に進行することを見つけました。結果的に、パラジウム触媒やニッケル触媒をつかって、7つの相手(反応剤)と反応させることに成功し、多彩な反応剤との脱アシル型カップリング反応の開発に成功しました。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202407264249-O4-7GBZk8n8】 【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202407264249-O5-6Q6s3aC1】 図3:本研究で開発した脱アシル型クロスカップリング反応


(3)研究の波及効果や社会的影響

本研究成果は、医薬品合成や材料科学などの広範な分野において応用が期待されます。これまで、脱アシル型カップリング反応はありましたが、一般的な芳香族化合物に、様々な相手を一工程で反応させるものはありませんでした。これを変換できるようになったため、様々な化合物の合成方法論を一新できる発見になると考えられます。


(4)今後の課題

今回はワンポットプロセスにより、困難であった脱アシル化反応を実現しましたが、ケトンをより直接変換できる触媒の開発はより高難度です。環境負荷を考慮すると副生成物を生じない方法も求められます。また、このケトンをエステルにする手法は収率をよく進行させるためには現在150度の高温が必要であり、より低温で進行する手法の開発も進めています。


(5)研究者のコメント

「この成果は、早稲田大学に着任前後から、私たちの研究グループが長年取り組んできた努力の結晶です。ようやくラスボスである芳香族ケトンの攻略に成功しました。例えるなら、クロスカップリング反応に新たな”食材”と新しい”レシピ”を提供したこととなります。今後は、新しい触媒の開発により、化学反応の効率を大幅に向上させ、多くの分野での応用を期待したいと思います。」(山口潤一郎教授)


(6)用語解説

※1 クロスカップリング反応

2010年にノーベル化学賞を受賞した技術。一般的には、パラジウム触媒を用いて、ハロゲンを含む化合物と有機金属試薬や反応剤を混ぜ合わせ、それらを結合させて一つの分子にする手法を指す。この反応により、さまざまな有機化合物の合成が可能となり、医薬品、農薬、材料科学などの分野で広く利用されている。

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