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他魚種の追星を食べるアフリカンシクリッド魚類を発見

共同通信PRワイヤー / 2024年8月29日 9時0分


研究手法・研究成果

胃内容分析を行った結果、予想に反してウロコは胃内容物全体の10%にすぎず、主に「未知の白くて固いボツボツした物体」によって占められていました(図1)。この未知の物体が、小型生物なのか生物の一部なのか、あるいは無機物なのか、すぐには分かりませんでした。そこで、XRF分析を行ったところ、硫黄を多く含むことが分かり、生物の表皮由来の何かと判断しました。次に、「白い物体」のヘマトキシリン・エオシン染色した切片の観察から、これが多細胞性の生物組織であることが分かりました。表皮でできる多細胞性の硬い組織の候補として、様々な試料を調達し、形態計測、CT分析、及びDNA分析によって、最終的にコイ科魚類Labeo cylindricusの追星であることを突き止めました(図2、3)。


今後への期待

追星は一見すると栄養素が無さそうにも見えますが、主にたんぱく質のケラチンで構成され、魚やエビなどの他の動物と同等のカロリーを持つことが、本論文のなかでも示されています。追星はコイ科魚類Labeo cylindricusでは一年中みられることから、利用が持続可能な資源です。このシクリッドにとって、追星はエネルギー豊富な食物源として機能し、マラウイ湖の多様で競争の激しい生態系の中で、生存可能性に貢献していると考えられます(図4)。ただし、コイの口の周りにある追星は奪い取るのが難しいように思われるため、どのように捕食しているのか、非常に不思議です。シクリッド魚類の他種多様な生態はこれまでにも私たちを魅了してきましたが、未だに想像の域を超えた新しい現象を秘めていると言えます。

 捕食者と被食者の相互作用(食う食われるの関係)は、生物多様性を支える重要な基盤と考えられています。本研究の結果は、熱帯地域における生物群集の多様性に富む生態系を形作るメカニズムを理解する上で重要な情報を提供するものです。


謝辞

本研究はJSPS科学研究費助成事業 基盤研究(C)(JP20K06851、JP23K05960)、国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))(18KK0208)、国際共同研究加速基金(海外連携研究)(23KK0131)、三菱財団自然科学研究助成、大隅基礎科学創成財団研究助成、東レ科学技術研究助成を受けたものです。

論文情報


論文名 Preying on cyprinid snout warts (pearl organs) as a novel and peculiar habit in the Lake

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