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流動する溶融金属の凝固過程を広範囲で可視化する装置を開発

共同通信PRワイヤー / 2024年9月3日 14時0分


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202408295605-O5-R6v3RT8J


 

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202408295605-O6-4M9AzTS5


本開発装置で電磁撹拌後に凝固したAl-10Si-2Fe-2Mn(Alが主成分、Siが10%、Feが2%、Mnが2%)合金の断面組織の光学顕微鏡写真を図3に示します。写真の撮影範囲は、X線照射方向に対して垂直な面で、試料高さの半分の位置における4分の1断面に対応します。凝固試料の外周部に輝度の低い組織(図中で濃い灰色に見える部分)が形成しました。低輝度の組織の組成を分析した結果、鉄を含む金属間化合物であることが分かりました。一方、低輝度の組織以外の領域における鉄濃度は元の2.0%から0.5%へと減少しました。電磁撹拌の付与により鉄濃度を低減し、アップグレードリサイクルが可能であることが分かりました。この結果は、合金の凝固時に電磁撹拌を付与することにより、試料の外周部に鉄などの不純物を含む結晶相が局所的に形成し、マクロ偏析が顕著になることを示します。


Al-10Si-2Fe-2Mn合金の電磁撹拌に伴う凝固過程をX線イメージングにより観察し、撮影した透過X線画像を図4に示します。画像中の輝度の低い領域(図中で黒色に見える部分)は、X線吸収能が高い領域であるため、鉄を含む金属間化合物に対応します。704 ℃では均一に溶融したアルミニウムに対応する領域の輝度は一定であり、金属間化合物は存在しませんでした。683 ℃では、るつぼの壁面近くに低輝度の領域が出現し、金属間化合物が形成しました。温度の低下に伴い低輝度の領域は増大し、金属間化合物が外周部から中心に向かって成長することが分かりました。冷却時の溶融金属の透過X線画像を連続撮影した結果、電磁撹拌を与えたAl-10Si-2Fe-2Mn合金の鉄のマクロ偏析は、外周部に形成した鉄を含む金属間化合物の粗大化に起因する現象であることを明らかにしました。この知見を活用することにより、電磁撹拌に伴う凝固偏析を意図的に制御して、より高効率に鉄を含む不純物相をスクラップ合金から分離するプロセスの設計が可能になりました。将来的に、アルミニウムのアップグレードリサイクルの高度化に役立つと考えています。


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