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セルロースの基本単位である二糖を使って、光で切断できるマイクロ繊維を開発

共同通信PRワイヤー / 2024年9月10日 18時0分

図3 マイクロ繊維の形成機構と顕微鏡画像 (A) ゆっくり冷却 (1分間に5 ºCの速度) したときに得られるマイクロ繊維の顕微鏡画像、(B) 急冷 (1分間に30 ºCの速度) したときに得られる球状構造体と、そのまま室温静置することで得られたマイクロ繊維の顕微鏡画像


 得られたマイクロ繊維の構造を解明するため、各種顕微鏡観察、および単結晶X線構造解析、さらには電子回折構造解析注4 を行いました。単結晶X線構造解析から、cellobiose(oNB)2-pNB分子の集合様式の1つが明らかになりました。さらに、株式会社リガクと日本電子株式会社が共同開発した最新の電子回折装置であるXtaLAB Synergy-EDを用いた構造解析によって、マイクロ繊維を構成しているcellobiose(oNB)2-pNBの分子集合様式を、原子レベルで、直接解明することに成功しました。構造解析の結果を図4Aに示すように、cellobiose(oNB)2-pNBは、分子の長軸がマイクロ繊維の長軸に対して直交 (クロス) する様式で、秩序高く分子集合していることを解き明かしました。さらに、得られた水中のマイクロ繊維にUV光を照射すると、分子設計通り切断反応が進行することで分子の集合力が低下して (図4B) 溶けること、さらには光照射の位置を制限すると切断できることをそれぞれ実証しました。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202409096055-O9-fexQ7vhE

図4 マイクロ繊維の構造解析と光応答 (A) 電子回折構造解析から明らかになったマイクロ繊維を構成するcellobiose(oNB)2-pNBの分子集合様式、(B) 領域を制限して光照射する前後の顕微鏡画像と光応答のメカニズム


【今後の展開】

 繊維状構造体はものづくりの要となる用途範囲の広い素材の一つといえます。今回開発した、髪の毛の10分の1程度の太さのマイクロ繊維は、光照射によって切断できる性能も有しており、今後のさらなる研究と用途開発によって有用な材料の開発につながると期待できます。


【謝辞】

 本研究の一部は、日本学術振興会 科学研究費補助金 (基盤研究(B) No. 23H01815)、iGCORE 共同研究促進支援、JSPS Core-to-Coreプログラム (JPJSCCA20200007)、JST CREST (JPMJCR18H2) の支援を受けて行われました。オープンアクセス化に関して、オープンアクセス加速化事業(文部科学省補助金)(東海国立大学機構 岐阜大学)の支援を受けました。

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