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人の耳には聞こえない低い音による自然現象モニタリングに向けて

共同通信PRワイヤー / 2024年10月4日 18時0分


なお、本研究開発は、独立行政法人 日本学術振興会の科学研究費助成事業(21K04101)および公益財団法人 精密測定技術振興財団の助成事業(2022年度~2023年度)による支援を受けています。


研究の内容

産総研は今回、より低い周波数域でのマイクロホンの感度評価を可能とするため、新たな音圧発生原理を採用した感度評価装置を開発しました。これにより、下限0.01 Hzまでの周波数域においてマイクロホンの感度評価が可能となり、防災を目的としたインフラサウンド観測網の整備や研究の促進が期待されます。


今回開発した装置は、液柱型圧力計の原理を応用したもので、被評価マイクロホンを装着した円筒、加振器が取り付けられた水槽、液面変位を測定するためのセンサー部からなります(概要図)。従来のレーザーピストンホン装置とは異なり、円筒の下端は水で密閉されているため、原理上音漏れが発生しない点が特徴です。


本装置は、円筒を固定した状態で水槽を加振器で振動させることで、円筒外と円筒内に水位差を発生させ、圧力差の変動、すなわち音圧を発生させます。発生音圧は水位差変動に比例するため、円筒外側と内側の水面変位を計測することで円筒内の音圧を算出可能です。ここで円筒断面積を水槽断面積と比較して十分小さくした場合、内側水面変位は外側水面変位よりも十分小さくなります。そのため、本装置では外側水面変位を実測し、内側水面変位は円筒内部の圧力変動過程について等温過程と断熱過程の両方を考慮した計算から求めています。水槽を振動させたとき、被評価マイクロホンから出力される電圧(V)を液面変位計測から算出した音圧(Pa)で割ることで、被評価マイクロホンの感度(V/Pa)が求められます。


本装置を用いて、下限0.01 Hzまでマイクロホンの感度評価に成功しました。また、評価結果の信頼性の確認のため、従来のレーザーピストンホン装置による評価結果との比較も行いました。その結果、0.1 Hzから0.5 Hzでは本装置は従来法と同等以下の不確かさでの評価が可能で、従来法でカバーされる周波数域からの連続性も確保できていることがわかりました(図2)。ただし、0.5 Hzより高い周波数域については、水振動の影響で算出音圧よりも実際に円筒内で発生する音圧が小さくなってしまうため、感度評価が難しいこともわかりました。今後は0.5 Hzより高周波数域は従来装置、0.5 Hzより低周波数域は本装置を使用するといった形で、二つの手法を組み合わせて評価を行う予定です。

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