致死的な重症薬疹の新規治療薬を開発
共同通信PRワイヤー / 2024年10月29日 12時30分
-空間プロテオミクス解析を用いて中毒性表皮壊死症の病態を解明し、 JAK阻害剤の有効性を明らかに-
2024年10月29日
新潟大学
新潟大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野の長谷川瑛人助教、阿部理一郎教授らとドイツのマックス・プランク生化学研究所(MPIB)のMatthias Mann教授らの国際共同研究グループは、重篤な薬疹である中毒性表皮壊死症(以下、TEN)の予後を改善させる新規治療法を開発しました。
【表:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M102154/202410298972/_prw_OT1fl_7ucvj1aI.png】
Ⅰ.研究の背景
TENは様々な薬剤が原因で発症し、全身の皮膚や粘膜が壊死してしまう致死的疾患で、国が定める指定難病です。日本の診療ガイドラインにおいては副腎皮質ステロイドの全身投与が第一選択で、難治な症例には免疫グロブリン大量静注療法や、血漿交換療法などを行いますが、約30%の患者が致死的な経過となります。TENのメカニズムは完全には解明されていないため、病気のメカニズムを解明し、より有効な新しい治療法の開発が必要とされてきました。
本研究グループは、最新の研究技術である空間プロテオミクスを用いてTENの発症メカニズムを解明し、新しい治療薬の開発を行いました。
Ⅱ.研究の概要
本研究グループは、空間プロテオミクスを用いて、TEN患者の皮膚組織を解析しました。特に、Matthias Mann教授らが開発したディープ・ビジュアル・プロテオミクスと呼ばれる、高性能な顕微鏡、AIによる解析、超高性能な質量分析の技術を融合し1個1個の細胞に含まれるタンパク質を正確に定量する最先端の技術を使用しました(図1)。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202410298972-O5-q07Mx51a】
TEN患者の皮膚の細胞のタンパク質を詳細に解析した結果、炎症を起こすJAK/STAT経路が著明に亢進していることが分かりました。アトピー性皮膚炎や関節リウマチなどの疾患において、このJAK/STAT経路を阻害する治療薬であるJAK阻害剤がすでに開発されています。本研究ではモデルマウスを用いてJAK阻害剤の有効性を検証したうえで、実際のTEN患者にJAK阻害剤を使用し、その有効性を実証しました。
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