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0.9 V以下の電解電圧で水から水素を製造する手法を実証

共同通信PRワイヤー / 2024年11月5日 14時0分


なお、本研究は国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務(P16002「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発」(2020~2024年度))の成果です。


研究の内容

光触媒―電解ハイブリッドによる水分解に用いる電解セルには、通常の水分解によく利用されるPEMセルを選定しました。また、光触媒反応に多くの太陽光を取り込むためには、簡単に大面積化できる反応槽を使うことが効果的です。さらに、光触媒反応で溶液中に生成するFe2+イオンを効率よく電解槽へ送り込む必要があるため、光触媒粉末をシート上に固定し、溶液のみを循環させる流通型の反応装置を開発しました。図1に今回開発した光触媒シートを内包した光触媒反応槽の(A)外観写真と詳細構成、(B)PEMセルと組み合わせた流通型反応装置図、および(C)それらを用いた水分解の試験結果を示します。この小型流通装置のPEMセルに0.9 Vの印加電圧をかけながら光触媒反応槽へ光照射を開始すると、水素生成に由来する電流が観測されました。


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202410319198-O2-YoxhBWpd


次に、先ほどの光触媒シートを13倍程度に大型化(25 cm2 ⇒ 330 cm2)し、水素および酸素ガスを水上置換で捕集しました。ここではまず、光触媒シートに光照射のみを行い、光触媒反応の速度をFe2+イオンの生成速度で評価しました。その結果、図2左側に示されたグラフの通りFe2+イオンが効率よく生成し、それに対応する化学量論量の酸素ガスが発生しました。この時の光エネルギーの化学エネルギーへの変換効率は0.31%と従来の懸濁状態での評価に匹敵する効率が得られました。続いて光照射を停止し、200 mAの定電流モードで電解反応を実施した結果、0.9 Vよりも低い印加電圧で電流が流れ始め(図2右側)、消費された電気量に対応して化学量論量の水素が捕集できました。このように、光触媒反応と電解反応を別々に駆動させた場合であっても、高い光触媒性能が保たれ、かつ電力消費量を削減して水素を製造できました。光触媒反応で鉄塩水溶液中に貯蔵された化学エネルギーは2カ月程度大気下で放置しても減少しないことが確認されています。そのため、需要に合わせた水素発生のタイムシフトにも対応できます。

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