0.9 V以下の電解電圧で水から水素を製造する手法を実証
共同通信PRワイヤー / 2024年11月5日 14時0分
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202410319198-O3-W3TQ3n9r】
図3には、光触媒の長期耐久性試験の結果について示します。図3(A)のように、ウォーターバスを用いて液温を35℃に制御した環境下で、10000 µmolのFe3+イオンが含まれる鉄塩水溶液中に沈降させた光触媒へ疑似太陽光を照射しました。その結果、240時間の光照射後に、Fe3+イオンの約8割が光触媒反応によりFe2+イオンへ変換されました。このFe2+イオンの生成量を基準とし、触媒を再利用して、再度同様の光触媒反応を評価し続けました。42サイクル繰り返した際のFe2+イオンの生成量を比較した結果が図3(B)ですが、計10080時間の光照射実験の間、Fe2+イオン生成量が保たれており、劣化は見られませんでした。この総照射光量は日本の屋外太陽光照射の約7年分に相当します。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202410319198-O4-EmJrM3GB】
図4には、実際の太陽光を利用した野外実験の評価結果を示します。今回の野外試験では、電解と光触媒反応を同時駆動させました。その結果、試験当日の日射量の推移 (図4(A)) に応じて水素生成の電流値が観測されました (図4(B))。生成した水素量は、通電量から見積もられる理論量と良い相関が確認され (図4(C))、投入電力はほぼ全て水素生成のために利用されていました。このように光量が変動する実際の太陽光を利用した場合にも、照射された光量に応じて理論量の水素が生成することを確認できました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202410319198-O5-G2DY9Q44】
今後の予定
今後は、光触媒の性能改善を目指し、長波長の光を有効利用できる光触媒反応の開発を進めます。また、本手法の大型実証や詳細な水素製造コスト試算を行い、経済合理性のあるグリーン水素製造技術の実現に向けた取組を実施していきます。
論文情報
掲載誌:ACS Applied Materials & Interfaces
論文タイトル:Demonstration of Scalable Water Splitting into H2 and O2 by a Flow-Type Photocatalysis-Electrolysis Hybrid System Using a Highly Stable Photocatalyst
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