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基準球面レンズの表面形状を高精度に校正

共同通信PRワイヤー / 2024年11月28日 14時0分


下線部は【用語解説】参照


開発の社会的背景

私たちの身の回りにあるスマートフォンのカメラやヘッドマウントディスプレーなどには、小型で高性能なレンズが使用されています。より高精細な画像を得るため、光学素子を高精度化する製造・評価技術は絶えず向上しています。


これらの光学素子表面の形状は解像度などの性能を左右します。必要な仕様を満たすためには高精度な加工技術はもとより、それらが設計通りに作製されたかを正確に測定して評価しなければなりません。そのために使用される形状測定装置は、測定に際して基準球面レンズを参照します。市販の高精度形状測定機(レーザー干渉計)は、ナノメートル以下の高い分解能と数ナノメートルの高い測定の繰り返し性をもっていますが、参照する基準球面レンズの球面度校正精度が形状測定機の測定精度のボトルネックとなっています。また、製造現場では、測定対象に合わせてさまざまなFナンバーの基準球面レンズを持っている必要がありますが、これまでの産総研での球面度校正手法では、同じFナンバーの基準球面レンズを二つ用意する必要があり、産総研が保有していないFナンバーの基準球面レンズを校正する場合には、依頼者が二つ用意しなければ校正できないという問題がありました。


研究の経緯

産総研では、レーザー干渉計による球面度校正装置において二球面比較三位置法と呼ばれる原理を用いて、ユーザーから持ち込まれる基準球面レンズの球面度の校正を行ってきました。二球面比較三位置法はFナンバーが同等な二つの球面レンズを、回転を含む三つの位置関係で測定することで、それぞれの球面レンズの表面形状を校正できる手法です。しかし、産総研が同じFナンバーの基準球面レンズを保有していない場合は依頼者が同じFナンバーの基準球面レンズを二つ用意する必要がある、回転させた際の回転軸の正確な特定や重力による形状歪みの評価が困難、精密なアライメントが要求されるなど、基準球面レンズの高精度校正の実現に際して課題がいくつか存在します。そのため、二球面比較三位置法に代わる実用的な基準球面レンズ校正システムの確立に向けて研究を実施してきました。


研究の内容

今回、実用的な基準球面レンズの校正法として、ランダムボール法を導入しました。さらに、二球面比較三位置法でも問題となり、ランダムボール法でも測定に影響のあるミスアライメントによる測定誤差を詳細に解析した不確かさの評価法を確立することで、従来と同等の不確かさで簡便に校正できるシステムを実現しました。

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