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基準球面レンズの表面形状を高精度に校正

共同通信PRワイヤー / 2024年11月28日 14時0分


ランダムボール法は、球の表面形状を測定し回転させることを何度も繰り返し、それらを平均化することで、完全な球(真球)を使わなくても真球を使った場合と同等の結果が得られる手法です。今回開発した校正システムでは、基準球面レンズの焦点位置に中心がくるよう球を設置し、球表面における任意の部分的な面(部分球面)に対する基準球面レンズの形状の偏差を測定します(図1左)。そして、球を回転させてあらゆる部分球面形状と基準球面レンズ形状との偏差を取得し、それらの平均を求めます。その結果、それぞれの部分球面がもつ表面形状が平均化され、実質的に真球に対する基準球面レンズの形状の偏差を得ることができ、基準球面レンズの絶対形状の校正が可能となります。球は任意のFナンバーの基準球面レンズに対応できるため、ユーザーは高価な基準球面レンズを二つ用意する必要がありません。


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202411260602-O2-zxAO1TeN


基準球面レンズの校正のように、光の波長を基準とした長さや幾何学形状の測定では、光学素子を固定する位置を精密に調整(アライメント)しなければなりません。ランダムボール法では球を回転させる度にアライメントをする必要があり、基準球面レンズと測定器物の共焦点位置から測定器物が横方向および縦方向にずれることがあります(図2)。このミスアライメントはチルト成分やコマ成分、デフォーカス成分、球面成分などの測定誤差を引き起こします。そこで、ミスアライメントと測定誤差の関係を理論的に解析かつ実験的に検証し、ミスアライメントによる不確かさの評価方法を確立しました。レーザー干渉計におけるミスアライメントの影響に関する先行研究では測定器物が設置されている物体空間における座標系のみを考慮していましたが、解析するデータはカメラで取得された画像であるという実態に即して、レーザー干渉計における干渉縞画像取得光学系および画像処理の座標系を考慮した理論的な解析を行いました。その結果、ミスアライメントの影響は先行研究で考えられていたものより小さく、精密な調整が必要ないことを見いだしました。一方、基準球面レンズの不完全性によりミスアライメントの影響が顕在化することも判明し、レンズごとに実験的にミスアライメントの影響を評価する必要があることが示されました。これらを考慮した不確かさの評価法を確立できたことで、例えばFナンバーが0.75の基準球面レンズを校正する際、先行研究では横方向13 nm、縦方向40 nmの精度で焦点位置の調整が必要であると考えられていたところ、横方向106 nm、縦方向318 nmの精度での調整でも、従来と同等の不確かさ4.3 nmで基準球面レンズの球面度の校正が可能となりました。

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