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ウスバシロチョウの中国大陸からの伝播ルートと日本国内の地域性を高解像度な集団遺伝解析によって解明

共同通信PRワイヤー / 2025年1月6日 14時30分

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202501062428-O3-MW1y9S13


研究成果

 今回の分析にはミトコンドリア全遺伝子と核遺伝子座に存在する3067SNP 2)遺伝子座を分析に使いました。その結果、本種は308万年前に中国大陸の系統から分岐して日本列島に渡来して、106万年前に中国・四国系統が分岐し、62万年前に西日本と東日本系統が分岐したことが明らかとなりました(図1)。現在、本種は朝鮮半島に分布しないことや、300万年前には現在の黄海が陸地であったことを考えると、黄海が陸地で会った時代に日本へ渡来したと推定されました。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202501062428-O4-384E1ffF

図 1. ミトコンドリア遺伝子の全配列から推定された日本の系統(西日本系統、東日本系統、中国・四国系統)と中国の大陸系統の分化時期(赤色の数字, 単位は100万年).


 日本国内の地域性を主成分分析で解析した結果、日本列島の各地域に明確に分かれることが明らかとなり、静岡県付近にその境界が存在することが明らかとなった。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202501062428-O5-8gZm5Hvv


図 2. SNP遺伝子座の主成分分析から明らかとなった地域個体群の関係. 上の図は対象とした日本の地域であり, 下の図が主成分分析結果である. 静岡県を境に明瞭に地域に対応した個体群に分かれる.


 日本国内の地域性をミトコンドリア遺伝子とSNPで分析した結果、ミトコンドリア遺伝子では日本列島に3つの遺伝的集団が存在し、SNPでは5つの遺伝的集団が存在することが明らかとなりました(図3)。これらの集団の代表的な境界線には、ブラキストン線(津軽海峡)、糸魚川―静岡構造線と並行に走る線、琵琶湖、中国山地等が存在することが明らかとなりました(図3)。


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202501062428-O6-7IO6vyyB

図 3. ミトコンドリア遺伝子とSNP遺伝子で明らかとなった個体群間の境界(ミトコンドリア遺伝子:赤色, SNP遺伝子:青色).


今後の展開

 本研究の成果は、本種が西ルートを経由して日本列島に分布拡大をしたことを証明したものであり、生物地理的に重要な知見と考えられます。しかし、北ルートも否定されたわけでは無く、ミトコンドリア遺伝子の一部を解析した結果では、東日本系統が西日本系統より古いことを示されており、今後はこの分岐年代をより正確に推定する必要があると思われます。また、中国大陸に生息する個体群との比較研究が、本種の分布拡大に及ぼした過去の要因と形質の進化をより詳細に明らかに出来るものと考えられます。

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