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塵も積もれば山となる?低濃度のリン酸塩でもサンゴの生育を阻害

共同通信PRワイヤー / 2025年1月10日 14時0分


研究の内容

琉球列島に広く分布する代表的なサンゴの一つであるミドリイシ属サンゴを用いてリン酸塩を含む海水の飼育海水量(負荷量:濃度×流量)を変化させて稚サンゴを飼育しました。まず、一定のリン酸塩濃度においてリン酸塩の負荷量の変化が骨格形成に及ぼす影響を調べるために、濃度2 µMのリン酸塩(リン酸水素二ナトリウム;Na2HPO4)を含む0.5 mL、2.5 mL、300 mLの海水で稚サンゴを約5カ月間飼育し、同じ濃度・量の海水と毎日交換しました。洗浄・乾燥後にマイクロ天秤を用いてサンゴの骨格重量を測定し、実体顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)で骨格を観察しました。その結果、リン酸塩濃度が一定であるにもかかわらず、飼育に使用する海水量が増加するにつれて、稚サンゴの骨格形成量が減少することがわかりました(図2)。


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202501092638-O3-pQ57P0yP


次に、低濃度のリン酸塩濃度の影響を調べるため、濃度0.5 µM、1.0 µM、2 µMのリン酸塩(Na2HPO4)を含む900 mLの海水で稚サンゴを約1カ月間飼育し、同じ濃度・量の海水と毎日交換しました。上述の実験と同様の測定・観察を行った結果、リン酸塩濃度が0.5 µMで飼育した稚サンゴも骨格形成が明らかに阻害されることがわかりました(図3)。


海水の量が増加するとサンゴの骨格成分であるカルシウムの流入量も増加しますが、リン酸塩の量も増加し、それがサンゴの骨格表面に大量に吸着して骨格形成を阻害します。これまでの飼育実験ではリン酸塩濃度が5 µM程度から骨格形成に影響が出るという報告が多いですが、これはリン酸塩の負荷量を考慮していないのが原因だと考えられます(図4)。


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202501092638-O4-zmexqs9m


 

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202501092638-O5-057UY7x3


今後の予定

今後、陸域から海域へ流出する陸域負荷の対策のために、サンゴに悪影響を及ぼしうるリン酸塩の負荷量の閾値を算出し、琉球大学と共同で進めている地下水の高精度の水循環モデルなども考慮して、陸域・海域両方を視野に入れたサンゴ礁保全策の提言へとつなげていきます。

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