1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

社説:能登地震3カ月 復旧へ国がてこ入れを

京都新聞 / 2024年4月3日 16時5分

 245人が亡くなった能登半島地震の発生から、3カ月が過ぎた。遅れが目立つインフラ復旧を急ぎ、被災者の生活再建へ手を尽くさねばならない。

 石川県の避難者は今も約8千人に上る。地震直後の最大約3万4千人からは減ったが、そのペースは鈍いままだ。

 最大の要因は上下水道である。珠洲市のほぼ全域を含む約7800戸で断水が続く。さらに下水道の被害は深刻で、全容が把握できていない。国や県が当初3月末を目指した全面復旧には、3年以上かかるとの見方も出ている。

 自宅に戻った人や事業所でも水道の不便を強いられており、てこ入れが欠かせない。ただ、過疎地域だけに将来の維持も視野に入れ、地下の複雑な配管が不要な浄化槽に切り替えるなど柔軟な対応も必要ではないか。

 仮設住宅は約1600戸が完成したが、申し込みは6千件を超える。希望者全員が入居できるのは8月中になるという。

 3カ月時点での避難者数や水道の復旧、仮設住宅の建設のいずれも、2016年の熊本地震と比べて相当に遅れている。

 狭い半島の地理的な制約の上に道路の寸断が長引き、作業時間の確保が難しい。加えて建設業界も人手不足で、今月からは残業規制が強化された。現場の工夫だけで乗り切れないのは明白だ。

 住まいの再建を巡っては、建物の被害判定や公費での解体の遅れも課題となっている。

 損壊状態の判定では、1次調査約8万件のうち1割で不服申請が出たものの、市町の対応が追いついていない。公費解体は始まったばかりで、空き家の所有者や遠方に避難した住民への確認が難航しているという。

 熊本県などから復旧の経験や専門知識のある職員が支援に入っているが、被災自治体の職員も疲労が蓄積している。

 復旧を加速させるため、国が一段と踏み込むべきだ。

 県は3月下旬、「創造的復興」を目指す計画の骨子案を公表した。長期の復興を見据えつつ、今は復旧に軸足を置き、生活再建を最優先に総力を挙げるときだろう。

 忘れてはならないのは石川を離れた広域避難者である。京都、滋賀でも公営住宅だけで計25世帯が暮らしている。

 ふるさとの支援情報が滞りなく届き、能登の市町には避難先の生活実態が伝わるよう、京滋の自治体もきめ細かく後押ししたい。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください