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憧れの全国大会、でも小学生に本当に必要? 行き過ぎた勝利至上主義が影

京都新聞 / 2024年3月21日 5時51分

前回の若葉カップ女子決勝でシャトルを追う選手たち(2023年7月、長岡京市・西山公園体育館)

 スポーツ少年団などさまざまな競技団体の主催で、全国大会が活発に開催されている。そのすべてが小学生にとって、本当に必要なのか。2年前に波紋を広げたのが、全国小学生学年別柔道大会の廃止だった。

 全日本柔道連盟(全柔連)は廃止の理由について「全国大会で行き過ぎた勝利至上主義が散見される。心身の発達途上にある小学生にとって好ましくない」と説明。有利な階級で戦おうと、無理に体重を減らす選手もいたという。

 全柔連評議員などを歴任する京都柔道場連盟会長の山崎立実さん(71)=円心道場道場長=は「子どもの安全、発育を考え、じっくり議論を重ねてきた結果」と話す。

 過度な競争を避けるために、大会方式を工夫している競技もある。毎年3月下旬に東京で行われる全国ミニバスケットボール大会は、2017年度から、優勝を決めない現行の方式に変えた。各チームは3試合ずつ行い、エントリーした全選手を原則出場させるという特別ルールも設けている。

 京都府京田辺市を拠点とするザ・イーグルスは、府予選を勝ち抜いて男子で3年連続6度目の出場。主将の西村吏生さん(12)は、「全国大会に出るのはなかなか経験できないこと。全員が楽しめるようにしたい」と意気込む。

 小西正宏監督(42)は「今の大会の形になって少し雰囲気が変わった。肩の力を抜いて臨める」。対戦相手の映像を入手して分析するのもやめた。「勝つためのチーム練習より、個人スキルを上げることに時間を使うようになった。個人の力を伸ばした方が、中学年代にもつながる」と、意識の変化を明かす。

 一方で、全国の舞台が子どもたちの憧れとなってきたのは確かだ。京都でも、京田辺市でハンドボール、大山崎町でフェンシングと、各競技で全国規模の大会が行われている。いずれも国体の会場となったことを契機に競技熱が高まり、地元が大会開催に尽力してきた。

 長岡京市で続くのは、バドミントンの全国小学生大会「若葉カップ」。1985年に始まり、今夏で第40回を数える。

 昨年7月の前回大会も、各地の予選を勝ち抜いた男女96チームが参加。4日間にわたってトーナメントが行われ、鋭いラリーの応酬が会場を沸かせた。

 「バドミントンの甲子園、と呼ばれるような大会を目指した」。長年運営に関わっている同市バドミントン協会の小國俊之会長(69)は語る。

 世界選手権金メダリストの山口茜(26)ら、後のトップ選手がこの舞台を踏み、世界へ羽ばたいた。多くの市民ボランティアが大会を支えている。小國会長は「大会の出場が目標となり、子どもたちに夢を与えられる。競技人口の広がりにつながっている」と強調する。

 日本スポーツ協会も各大会の見直しに着手している。本年度、スポーツ少年団の全国競技別交流大会について中止を含めて検討した。全国の関係者に実施したアンケートでは、8割以上が「継続するべき」と回答したという。同協会は今月6日、大会を存続させると発表した。

 ただ運営方法などは改善を図る。軟式野球、バレーボール、剣道で、子どもの出場機会を確保するためのリーグ戦方式や、試合後の交流会の実施などを協議していく。日本スポ少の益子直美本部長(57)は会見で、「子どもが安全に、楽しく取り組めて、他の競技団体にも刺激になる大会を開催できればいい」と述べた。

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