「PS5超え」価格、賛否分かれる「PSVR2」 でも実はコスパ良い?
マグミクス / 2022年12月2日 19時10分
■ゲームファンの間でも揺れている「PSVR2」の価値
コンピューター上の空間に直接入り込んだかのような、現実感を伴う疑似体験が味わえる「バーチャル・リアリティ」(以下、VR)。その体験を個人で楽しめるVR機器も増えており、当時の最新ゲーム機「PlayStation 4」に接続できる「PlayStation VR」が発売された2016年を「VR元年」と呼んだ人も少なくありません。
それから6年の年月が経った2022年、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)が後継機となる「PlayStation VR2」(以下、PSVR2)を発表。より濃密なVR体験を楽しめるのではと、大きな注目を集めました。
多くの期待が寄せられたPSVR2ですが、その発売日と本体価格が11月4日に判明。発売は2023年2月22日を予定しており、希望小売価格は7万4980円(税込)とのこと。この価格などをきっかけに、インターネット上ではさまざまな意見が飛び交っています。
PSVR2については現在、賛否両論と意見が分かれています。それだけ多くの人が関心を寄せている証でもありますが、果たしてどのような意見が多いのか。主だった賛否の視点を、それぞれ紹介します。
PSVR2には、専用コントローラーも付属
●「PS5本体よりも高い」「入手難で買いたくても買えなさそう」
購入意欲が低下したり、見送りを考えている人の多くは、価格をその理由に挙げています。VR体験が楽しめる「ヘッドマウントディスプレイ」(PSVR2もその一種)は、単体で機能するスタンドアローン型もありますが、PSVR2は「PlayStation 5」(PS5)に接続しなければなりません。
PS5の本体価格は、ディスクドライブ搭載版が6万478円、デジタル・エディションが4万9478円です。PSVR2はPS5がないと使えませんが、その本体の価格を上回る7万4980円を割高に感じるのも無理のない話です。
さらに、まだPS5を持っていない場合は合算した金額が掛かるため、一度に買うとちょっとしたパソコンが買えるほどの出費になります。もう少し足せば、そこそこのゲーミングPCも視野に入ってくるので、ゲームライフの充実といった点で考えると、「PS5+PSVR2」か「ゲーミングPC」か、悩ましい問題が立ちはだかります。
また、PS5が発売から2年経っても気軽に買えない状況が続いています。そのため「PSVR2も入手難になるのでは」といった懸念も拭えません。PS5ですら未だに品薄なので、こうした不安がよぎるのも至極当然でしょう。
加えて、PSVR2で楽しめるラインナップが不十分、と考える人もいます。これはPSVR2に限った問題ではありませんが、遊べるソフトが充実するには、どうしても年単位の時間がかかるもの。これは、かつて登場した全てのゲーム機が通ってきた道です。
とはいえ、遊びたいゲームがなければ、購入する意味はほとんどありません。「気軽なお試し」として触れるには価格面が重くのしかかる機器なので、惹かれるゲームが登場するまで様子見するのもひとつの選択です。
●「性能を考えれば妥当」「PS5+PSVR2の組み合わせはコスパがいい」
7万4980円という価格は、かなり重みのある数字です。しかし、PSVR2の性能を考えると、「この価格でも十分納得できる」「むしろお手頃」と考える人もいます。PCと接続するVR機器の価格はピンキリですが、10万円台もザラで、それ以上高額なVR機器もあります。
VR機器にどんな性能を求めるのかは消費者それぞれで異なりますが、PSVR2のパネル解像度や視野角、センサー類など、いずれも相応の水準を満たしています。価格と性能の折り合いで見た場合、7万4980円は決して高過ぎる数字とは言えません。
ちなみに海外での希望小売価格は、549.99ドル/599.99ユーロ/529.99ポンドです。このところ円の動きが活発なので一概には言えませんが、仮に1ドル140円のレートでアメリカでの価格を日本円に換算した場合、7万7000円近くになります。そのため、海外と比較して国内の実質的な価格は安め、と捉える人もいます。
PS5とPSVR2をまとめて購入するとゲーミングPCに手が届くほど、と先ほど説明しましたが、これはあくまでゲーミングPCのみと比較した場合の話。PCでVRを楽しむ場合、「ゲーミングPC+VR機器」が必要なので、どれだけ安く見積もっても20万円前後はかかるでしょう。なかにはハイスペックなPCを求めるVRゲームもあるので、パーツの買い足しでさらに万単位でかかることも。コストパフォーマンスの面では、14万円に届かない「PS5+PSVR2」に軍配が上がります。
購入の問題についても、今回はSIEが施策を講じています。「PlayStation VR2 “Horizon Call of the Mountain” 同梱版」が対象となりますが、「PlayStation Network アカウント」と連携する先行予約の応募を11月21日に受け付けを開始しました。さらに対象のアカウントで「PS5またはPS4で2021年11月1日から2022年10月31日までの期間に20時間以上のゲームプレイがあること」を条件としています。
ラインナップについては今後の展開に期待するほかありませんが、『Horizon Call of the Mountain』は発表当初から注目が集まっていますし、『バイオハザード RE:4』のPSVR2向けコンテンツも制作中です。これらを楽しみながら、ラインナップの充実を待つのも悪くありません。
現状では、さまざまな点で賛否が分かれているPSVR2。発売前に気を揉むのは性急と考える人もいるでしょうが、前世代のPSVRは出だしでうまく盛り上がれず、また入手難も手伝って大きなムーブメントは起こせませんでした。
その二の舞を防ぐには、盛り上がるに足る情報と、確かな供給が欠かせません。その点をSIEがどのように乗り越えてくれるのか。消費者が期待と不安を抱くのも、ごく自然な話でしょう。
発売日までに、消費者の購入意欲を向上させる発表などはあるのか。今後の動向にご注目ください。
(臥待)
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