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『ガンダム』もしミハルが戦死していなかったら…それでもスパイ行為で厳罰?

マグミクス / 2023年1月24日 6時10分

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■スパイ行為が発覚した場合の刑罰は?

 アニメ『機動戦士ガンダム』のなかでも、有数に悲劇的なエピソードは、第27・28話で描かれた地球連邦軍のモビルスーツパイロットであるカイ・シデンと、ジオン軍の女スパイであるミハル・ラトキエの交流でしょう。

 カイは軍人の仕事にうんざりして、地球連邦軍の軍艦ホワイトベースを降ります。軍艦から降りたカイに、ジオン軍の女スパイ(ナレーションによると、スパイを職業にはしていないようですが)である、ミハルが目を付けます。ミハルはカイを自宅に連れて行きました。そこでカイはミハルの弟ジルと、妹ミリーとも交流を持ちます。

 ミハルはカイが宇宙戦艦(カイは劇中でホワイトベースをそう表現しています)ホワイトベースの乗組員だと聞き、興味を抱きます。ミハルの持ち物に拳銃があることを抜け目なく確認したカイは、ミハルがスパイだと感づきます。しかし、少女の身で弟や妹の面倒を見るためにスパイ活動をしていることにも気づき、ホワイトベースの情報を伝えます。ミハルの情報を元に、ジオン軍のホワイトベースへの攻撃が始まりました。

 ジオン軍のコノリーは、ミハルと接触して、連邦軍の軍服を渡し「ホワイトベースに潜入して、同艦の行方を知らせろ」と潜入任務を命じます。一方、カイはホワイトベースが攻撃されていることに気づき、苦悩の末、ホワイトベースへと戻りました。

 ミハルの受けた命令は「士官室を狙い、ホワイトベースの行先や性能を調査する」でした。艦長室に潜り込んだミハルでしたが、目的を果たす前にカイに見つかります。

 ミハルは「カイについて行きたくて、この船に乗った」と嘘をつきますが、カイは連邦軍服や拳銃を民間人の少女が持っているわけがないと指摘し、その上で「弟妹思いのあんたが俺を思って来たというのは嘘だ」と言いました。

 ミハルは「半分は嘘じゃない」と言い、情が湧いたカイは自室にミハルを匿います。そしてカイは「宇宙船用のドックに入るんだよ。だけど、これ以上の情報は教えられねえよ。南米に着くまでにホワイトベースやられたりしたら、お互い生き残れねえだろ」と、ホワイトベースの行先を間接的にミハルに教えるのです。

 ミハルからの情報により、ジオン軍は水中用モビルアーマー・グラブロを中心とする戦力を差し向け、ホワイトベースを攻撃します。攻撃されたホワイトベースの中で、弟妹と同世代のカツ・レツ・キッカが乗艦しているのを見たミハルは、自分の諜報行為のせいで、カイや子供たちを危険にさらしていることを実感します。

 ミハルは「弟たちが助かって、あの子(カツ・レツ・キッカ)たちが死んでいいなんてことはない」とカイに言い、戦闘への協力を申し出ます。カイはガンペリーに乗るはずの、ジョブ・ジョンが来なかったこともあり、ミハルに「ミサイルくらい撃てるだろう」と、同行を許します。

 しかし、ズゴックの攻撃で損傷したガンペリーは、ミサイルが発射できません。カタパルト脇にあるレバーで手動発射できることを知ったミハルは、ミサイルを発射しますが、その爆風で海に投げ出されて戦死します(ガンペリーの欠陥と呼ばれることも多い場面ですが、一説によるとミサイルを1発ずつ撃っていたら、爆風で吹き飛ぶことはなかったとも言われますので、ミハルが訓練を受けていないことの悲劇かもしれません)。

 カイはミハルの死に大きな衝撃を受けます。そして「ミハルのような子を出さないために、ジオンを叩く」行動原理を得るのです。

 こうしたストーリーですが、ミハルの生存ルートはふたつ考えられます。ひとつ目は「ガンペリーに搭乗せず、カイの自室に留まった場合」。もうひとつは「ガンペリーの電気回路が故障せず、コクピットからミサイルを撃てた場合」です。

 ちなみにホワイトベースがベルファストを出港したのは、宇宙世紀0079年11月21日。グラブロが対潜空母ヒマラヤを撃沈し、ホワイトベースと戦闘したのが11月24日です。

 カイがミハルを匿ったタイミングはわかりませんが「3日間ミハルを自室で匿っていた」か「ミハルが艦内に1~2日潜伏したあと、カイに見つかった」のどちらかでしょう。連邦軍人としての訓練を受けたわけでもないミハルが、器用に艦内潜伏できたとは考えにくく、カイはかなり早期にミハルを匿っていたのだと思われます。

 劇中でふたりの関係性は急速に進展していますが、もし3日間匿われたのだとすれば、リアリティがあるものと思います。さて、もしミハルがグラブロとの戦闘で生き残った場合、11月27日の南米ジャブロー到着まで、カイが匿うことになるでしょう。

 カイは頭がよく、立ち回りも上手いですから、食糧などは何とか確保したかもしれません。ミハルの密航を知っているのはアムロだけですが、アムロは口止めされています。律儀なので、その事実をブライトなどに話したりはしないでしょう。

 問題なのはここからです。南米ジャブローは地球連邦軍本部がある秘密基地です。その所在は地下に隠されており、ジオン軍から見て、正確な基地の位置が不明だったので、コロニー落としによる攻撃が計画されたほどの重要基地です。

 そんな秘密基地に民間人がいるわけがありませんし、アムロたちは地球連邦軍に存在を把握された上で、軍人としての階級をジャブローで与えられていますから、ミハルの存在を隠し通したり、逃がすことは極めて困難でしょう。

 ミハルの存在をブライトが知った上で、かつ庇(かば)うなら「サイド7からの民間人難民」認定もできるでしょうけど、ストーリー展開からしてそれは極めて困難です。ミハルを匿ったカイも含めて、スパイと認定されて、処罰が下されるものと思います。

 宇宙世紀でも有効な協定かはわかりませんが、スパイはハーグ陸戦規則第29条で「交戦者の作戦地域内で敵に通報する意図のもとに行動して、情報を収集する者」と規定されており、国際人道法で禁止された存在ではありません。

 ただし、交戦国に捕らえられた場合は、戦時国際法における「捕虜」としての待遇を求めることはできず、その国の軍事刑法と普通刑法で処罰を受けます。

 地球連邦の法律はよくわかりませんが、例えば、戦前の日本には「国防保安法」という法律があり「外国に漏洩、あるいは公にする目的で、国家機密を探知・収集しようとする者」は、1年以上の懲役。「実際に外国に国家機密の漏洩、あるいは公に発表した場合」は、死刑または無期懲役、または3年以上の懲役を課せられます。

 問題なのは、ミハルの存在が発覚した直後に、ジオン軍によるジャブロー攻撃が開始されていることです。ミハルが所持品を上手く処分できなければ、所持品からジオン軍に通信していたことも発覚するでしょう(その辺りを「戦闘の混乱に紛れて、捕まらずに脱出した」と仮定しても、ふたりが仮に基地の外に出られたとして、そこは南米のジャングルの中で、生存することも難しいでしょう)。

 つまりミハルとカイが「連邦軍の機密兵器V作戦関連の情報と、連邦軍本拠地ジャブローの位置」という最重要機密をジオン軍に伝えたと、発覚するわけです。この場合、ふたりは死刑も含む、重い刑罰を受けることは避けられないものと思います(ズゴックを撃破し、かつジオン軍の情報を逆提供した展開なら、刑罰が軽くなったかもしれませんが……)。

 ただ、ふたりが処罰された場合でも、ミハルの弟と妹については「ジオン軍に情報を漏らしたスパイの関係者」ですから、機密保護も含めて孤児として、保護されるかもしれません。関連作品でその後のミハルの弟と妹が、悲惨な目に合う内容のものもありますが、それだけは避けられたと思いたいところです。

(安藤昌季)

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