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元祖『仮面ライダー』の緑川ルリ子はアクシデントの連続 演じた女優にも「数奇な運命」が?

マグミクス / 2023年7月21日 20時20分

元祖『仮面ライダー』の緑川ルリ子はアクシデントの連続 演じた女優にも「数奇な運命」が?

■「シン」とオリジナルでは立ち位置が違う「ルリ子」

 2023年03月に放映された映画『シン・仮面ライダー』 は、ヒロインである緑川ルリ子を浜辺美波が演じ一躍話題となりました。本日7月21日(金)からは、早くもAmazon Prime Videoで同作の配信が始まっています。

 1971年に放送されたオリジナルのTVドラマ『仮面ライダー』にも、もちろん元祖・緑川ルリ子は登場しますが、仮面ライダーを作った緑川弘博士の娘という設定だけで、役割や物語上の位置づけが全く異なります。なぜ、このようなことが起きたのでしょうか。映画版とTVドラマ版を比較しながら、その理由を考えます。

 映画『シン・仮面ライダー』 の緑川ルリ子は、 緑川博士の娘であり、SHOCKERという組織に所属して主人公・本郷を仮面ライダーとして導く役割を担っています。彼女はSHOCKERの人工子宮によって生み出された存在であり、本郷とは似た者同士として絆を深めます。

 一方、TVドラマ版『仮面ライダー』では、本郷が博士の首を絞める場面をルリ子が目撃してしまい、失踪した博士を殺したのは本郷だと思い込みます。2話終盤にはその誤解が解け、彼女は本郷と行動をともにすることになりますが、ルリ子は本郷が仮面ライダーであることを知りません。

 またマンガ『仮面ライダー』では、本郷はルリ子に思いを寄せながらも「改造人間である自分には、ルリ子の恋人になる資格はない」と、思いを断ち切って距離をとります。本郷に惹かれるルリ子は、急に冷たくなった本郷の心意が分からず、叶わぬ恋に苦悩します。当初は、TVドラマ版も改造人間と人間の女性との恋のすれ違いが描かれる予定でした。

 ところが、ドラマは思わぬ展開へと進みました。本郷役を演じる藤岡弘(当時。現在の名前は藤岡弘、)が撮影中のバイク事故で長期離脱を余儀なくされたのです。

 主役不在のままでも撮影は続行されました。第10話では、事故前に撮影済みのカットが使われ、本郷の登場シーンは過去の映像を使い回して、声は声優による吹き替えになりました。

 藤岡の代役として、千葉治郎演じる滝和也(のちにFBI捜査官だと判明する)が登場します。しかし、本郷が抜けた穴は埋められることなく、ルリ子自身がショッカーの陰謀を明らかにすべく捜査に乗り出すというエピソードも展開されました。その結果、ルリ子自身もバイクに乗り、ショッカーを追跡するなど、本郷の代役としての役割を果たしていくことになるのです。

■「改造人間と乙女の許されぬ恋」が描かれるはずが?

仮面ライダー1号、本郷猛の活躍を描いた原作マンガの1巻文庫版「仮面ライダー the first本郷猛 文庫版」(秋田書店)

 しかし、その活躍も13話まででした。旧1号編の終了とともに、ルリ子は予告もなく番組から姿を消しました。その後の設定では、ルリ子はショッカーを追うためにヨーロッパに渡った本郷を追いかけて旅立ったとされていますが、唐突な感じが否めません。 14話からは2号一文字隼人編に突入し、喫茶店アミーゴにはレギュラーだった島田陽子に加え、ライダーガールズと呼ばれる女性キャストが入れ替わり立ち替わり登場します。

 山本リンダ、中田喜子、ミミ萩原など、後に有名になる人もいましたが、いつでも入れ替わることができるように、彼女たちは無個性に演じられていたようです。 怪我を治した藤岡は40話で復活し、その後新1号編では再び主人公として返り咲きました。しかし、本郷を追いかけてヨーロッパに行ったはずのルリ子は戻ってくることはありませんでした。

 現実には「もしも」の話はありません。藤岡が怪我をして途中降板しなければ……そして、仮面ライダー2号が登場しなければ……。仮面ライダーというドラマも存続しておらず、仮面ライダーシリーズが今日まで続くコンテンツに成長することはなかったかもしれません。

 ルリ子を演じた真樹千恵子は、後に芸名を森川千恵子と改め、仮面ライダー放送中の1972年10月から特撮ドラマ『アイアンキング』に出演しました。彼女は主人公コンビに同行する女性・高村ゆき子役を演じていました。真樹と気付いた子供たちは少なかったかもしれません。

 彼女は芸名も変え、インディアン風の三つ編みのお下げ髪で、清楚なルリ子とはまったく異なるキャラクターを演じていたからです。実は、彼女は敵組織不知火党のスパイであり、最後には敵ロボットに乗り込んでアイアンキングとして戦う設定だったようですが、ここでもアクシデントが発生します。

 撮影中に森川の髪の毛に火がつくという事故が起きました。幸いにも火は無事に消されましたが、この出来事がトラウマとなり、森川は出演を拒否します。ゆき子役は第6話で不知火党を裏切ったことにより殺され、降板となりました。女性レギュラーがいなくなった結果、夏純子、大川栄子、岡崎友紀など当時の人気女優がゲスト出演することになったのです。

 当時の特撮ドラマを調べると、撮影中に起きた事故が多かったことが分かります。俳優やスタッフたちは命を懸けて撮影に取り組んでいたのです。

 緑川ルリ子というキャラクターは『シン・仮面ライダー』によって初めて昇華されたといっても過言ではありません。そして真樹千恵子という女優は、不幸な事故がなければ、もっと多くの活躍を見せることができたのかもしれません。

(LUIS FIELD)

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