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初代『ゲッターロボ』は今見るとツッコミ要素満載? トンデモ設定が生まれた背景

マグミクス / 2023年8月5日 6時10分

初代『ゲッターロボ』は今見るとツッコミ要素満載? トンデモ設定が生まれた背景

■驚きのTVアニメ版の設定

 永井豪さんと石川賢さん率いるダイナミックプロが生み出した変形合体ロボアニメが、1974年4月に放送開始された『ゲッターロボ』です。先に放送され人気を博した『マジンガーZ』と差別化するために、3機の戦闘機メカが合体変形するアイデアを採用し、当時の子どもたちを驚かせました。

 今回はそんな画期的なコンセプトを持った『ゲッターロボ』が生まれた経緯と、突っ込みどころ満載の設定について解説します。

 まず『ゲッターロボ』が生まれた経緯です。本作は企画の段階で、作品性だけではなく、ロボット玩具の販売ありきで進行しました。『マジンガーZ』で盛り上がりを見せていたロボット玩具の売上をさらに伸ばすべく、1作品で複数のロボットが登場する作品が求められました。そこから派生し「3つの飛行機がひとつに合体し、さらに3つに変化する」というアイデアに発展します。

 東映動画(現・東映アニメーション株式会社)プロデューサーと、永井豪さんが所属するダイナミックプロから、原作者・永井豪さんの元に企画が持ち込まれていたときには、既に設定だけは決まっていました。当時『マジンガーZ』だけでなく複数の連載を抱えていた永井さんは、ダイナミックプロ所属の漫画家・石川賢さんに共同原作とロボットのデザインを託します。

 石川賢さんが「週刊少年サンデー」で1974年から連載した石川版『ゲッターロボ』は、ロボットや登場人物のデザインと名前こそ同じですが、ストーリーや設定に大きく違いがあります。テレビアニメの放送とマンガ連載が同時期なので、それぞれ独自にストーリーが展開されていったようです。

 アニメ『ゲッターロボ』が、『マジンガーZ』や石川版『ゲッターロボ』と決定的に違うのは、そもそもゲッターロボに乗り込む少年たちが、パイロットとなる必然性に乏しいことです。石川版ではゲッターロボを開発した早乙女博士によって、ゲッターロボを乗りこなせる適性がある人材として選ばれたのに対し、アニメではなんとその場しのぎで選ばれた寄せ集めメンバーなのです。

 そのメンバーとはリョウ、ハヤト、ムサシの3人。第1話「無敵!ゲッターロボ発進」で、長年練習用ゲッターロボで訓練してきた早乙女博士の長男・達人をはじめとする3人の乗組員が、恐竜帝国が送り込んだメカザウルスの攻撃により即死。その様子を見ていたリョウが、自分が通う浅間学園から連れて来たのが、ロボ操作経験のないハヤトとムサシでした。

 リョウはサッカー部のキャプテンで、ムサシは柔道部の主将、ハヤトは無所属。一応運動神経はいいとされていますが、ただそれだけです。訓練なしでいきなりゲットマシンに乗り込み、ゲッター1に合体できるとは、まさに突っ込みどころ満載です。

 そのうえ、彼らは長年訓練していたパイロットがあっさり殺されたメカザウルスの首を、ゲッタートマホークを出して見事切断し、ゲッターキックでとどめを刺すという一流ぶりを発揮しました。

■パイロットは乗り物音痴でボイン好き?

石川賢さんがデザインしたゲッターロボ1を立体化したフィギュア「海洋堂 ゲッターロボ 1/100ソフビキット復刻版 1/100スケール 全高51.5cm ソフトビニール製 未塗装 組み立てキット」(海洋堂)

 これで終われば、無理矢理にでも視聴者は「3人は特別な能力の持ち主だったのかもしれない」と自らを納得させることができそうですが、さらに突っ込みたくなる設定があったのです。なんとリョウは重度の高所恐怖症で、ムサシはバイクどころか自転車にも乗れない乗り物オンチだったのです。

 思わず「おい!そんなのでよくゲットマシンに乗れたな」と言いたくなりますが、ふたりとも訓練によって苦手を克服していきます。

 さらにリョウ、ハヤト、ムサシがゲッターロボに乗り込んだ理由は、亡き兄・達人にかわって単身コマンドマシンに乗ってメカザウルスに立ち向かう学園のマドンナ・ミチルを放っておけないという理由から。部活の誘いを断っていた面倒くさがりのハヤトも、ミチルの危機を知ると「俺はボインちゃんが大好きでな」と言って合流します。その言葉を信じるなら、なんとおっぱい目的で、命がけの戦いに身を投じるという少々無理があるとしかいいようがないものでした。

 メインライターは『ウルトラマン』や『仮面ライダー』を手がけた上原正三さん。のちの「戦隊シリーズ」や「メタルヒーローシリーズ」でも執筆をしています。

 上原さんと何作も組んだ東映プロデューサーの吉川進さんは、『スーパー戦隊 official Mook 20世紀 1975 秘密戦隊ゴレンジャー』(講談社)のインタビュー記事で、上原さんの脚本をこう称しています。「ストーリーの状況に引っ張られず、悲壮感が出てこない。そして場合によっては、素っ頓狂なことが盛り込まれていても自然に感じられる。なかなか他のライターさんでは難しいんですよ、これが」

 たしかに設定だけで見ると、アニメ版ゲッターロボはもっとハードなテイストになっていたはずです。現に石川版をベースとした『真ゲッターロボ 世界最後の日』『新ゲッターロボ』『ゲッターロボアーク』はバイオレンスな仕上がりになっています。上原脚本のマジックで、当時の子供たちが見ても楽しめる作品になっていたようです。

 今にして振り返ると、『ゲッターロボ』はツッコミたくなるような設定が多いかもしれません。しかし、マンガ版とは違った面白さで視聴者を釘付けにし、変形合体ロボの普及の名作として語り継がれるようになりました。

(LUIS FIELD)

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