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狂騒を巻き起こした「復刻・ライダースナック」 実食してわかった意外な事実とは

マグミクス / 2023年7月30日 6時10分

狂騒を巻き起こした「復刻・ライダースナック」 実食してわかった意外な事実とは

■令和の「ライダーカード騒動」も勃発

 劇場映画『シン・仮面ライダー』公開に合わせて販売開始しながらも、一時期販売中止となってしまったカルビーの「シン・仮面ライダースナック」。あのトラブルはなぜ起きたのでしょうか? 時間が経過した今だからこそ、それについて振り返ってみましょう。

 ご存じの方も多いと思いますが、映画『シン・仮面ライダー』は1971年に放送され、社会的現象までの大ヒットとなった『仮面ライダー』のリブート作品です。そして、当時の大ブームのなかで人気商品のひとつとなったのが、カルビーから販売された「仮面ライダースナック」でした。

 最大の魅力だったのが、スナック菓子のおまけについていた仮面ライダーのカードです。このカードを集めるため、当時の子供たちはスナックを大量に買っていました。筆者も『仮面ライダー』直撃世代ですので、あの時のことはよくおぼえています。後の「ビックリマンチョコ」のシールや「遊戯王カード」に匹敵するほどのフィーバーぶりでした。

 そんな当時のフィーバーを知っている人ならば、『シン・仮面ライダー』でも同じカルビーからカード付きお菓子が出ると聞けば、興味津々となるのは当然です。つまり直撃世代の興味を引くには格好の商品でした。もちろんそれ以外の人にも、伝説の商品という点で訴求力はあったと思います。

 いわば人気商品となるのが約束されていたカード付きお菓子でしたが、大きく分けてふたつの商品がリリースされました。一般流通もされる「シン・仮面ライダーチップス」と、ネット通販限定の「シン・仮面ライダースナック」です。チップスは定番のうすしお味のポテトチップス、スナックは半世紀前の「仮面ライダースナック」と同じレシピで再現したお菓子でした。

 ここまではプロモーション的に成功でしたが、ひとつの誤算がトラブルの原因となります。それが、販売受付初日数時間でのサーバーダウンでした。また、一般流通するチップスも限られた地域で特定の店舗のみという形になります。

 こういった商品の品薄が見込まれると、転売業者の動きが活発になるのが昨今の事情です。もともと個数限定で再販しないチップスはあっという間に売り切れ、通販サイトなどに並ぶこととなりました。ネット通販限定だったスナックはこの反響に応える形で、数か月かかるものの応募者全員にいきわたるように販売体制を修正します。

 この時に付属したカードにはさまざま意見がありました。なかでも目立ったのは「ネタバレ」と呼べる記述が多かったことです。特に『シン・仮面ライダー』は公開前の情報はほとんど告知されておらず、このカードに書かれていたテキストで初めて知る情報が多くありました。

 もっとも、これに関して初代『仮面ライダー』世代の反応は少し違ったものになります。なぜなら、当時のスナック付属のカードにも、どこよりも早い情報や、本編では明かされていない逸話などが多々ありました。つまりカードで初めて情報を知るということは、ブーム当時の再現と言えるわけです。

 しかしながら当時と違ったのは、一部の人間による大人買いや買い占めという手段によって、その機会を失った人が少なくなかったことでした。もしも、このことが多くの人の間で共有できていれば、当時の雰囲気を広い層で味わえたかもしれません。その点で、プロモーションとしては成功しても、当時を懐かしんで楽しめた人が少なかったことは残念だったと、筆者は思います。

■実食して半世紀ぶりにわかった真実

「シン・仮面ライダースナック」とあわせて限定販売された「シン・仮面ライダーチップス」(カルビー)は、販売される地域や店舗が限定されていた

 その後、劇場公開からしばらくしてチップス第2弾が発売されます。付属のカードのテキストも新情報が多く、劇場を観た後でも楽しめる内容になっていました。しかしながら、またしても地域や販売場所は限定され、すぐに店頭で見られなくなってしまいます。

 もっと数量を多く販売することを望む人も多くいました。とはいえ、需要と供給のバランスはメーカーにとっても考えた末の判断です。店頭で在庫として残るよりも、売り切りたいのが本音でしょう。そう考えると、メーカーと購入者双方が得をするというのはむずかしいものです。

 そんなおり、2023年6月上旬から「シン・仮面ライダースナック」の発送が始まりました。前述のネット注文で全員が購入できる商品です。第1次注文で抽選に当たった人は3月中に届いており、その後の第2次注文で申し込んだ人が届く形でした。

 ある意味では、このように応募者全員に届く形がベストなのでしょうが、これもメーカー側の負担は少なくなく、絶対の方法ではないと思います。このネット注文限定のスナックで筆者がもっとも注目したのが、「当時のレシピで再現した」というスナックの味でした。

 このスナックが美味しくなかったから、当時の子供たちはカードだけを残してスナックを捨てていた。そのことが社会問題になった……と、現在では伝えられています。ところが、「スナックは美味しかった」という証言も少なくありません。当時の味を正確におぼえている人はほとんどいないでしょうから、この味についての部分は個人の思い出によるところが大きいと思われます。

 つまり、「当時の味を再現したスナック」というのは直撃世代の「答え合わせ」という側面がありました。はたして自分の主張が正しかったのか? ……筆者もドキドキしながら開封して食べて見ました。気分はグルメマンガの登場人物のようです。

 その結果、当時の記憶が鮮明によみがえりました。「なんちゅうものを食わせてくれたんや…」そんな言葉が脳裏をよぎります。当時のレシピを再現するということがなければ、ふたたび口にすることがなかった味ですから。

 結論から言えば、現代のレベルとそん色ない美味しいお菓子でした。袋を開けた瞬間から甘い匂いが漂います。サクサクとした食感も良く、ほんのりエビの味がするお菓子でした。あえて言うならば、甘さが強すぎる感があります。

 しかし、これだけ美味しいお菓子なのに、なにゆえに「不味かった」という風評被害が起きたのでしょうか?

 理由はいろいろ考えられます。一番は、量を食べるのに向かないものだということ。実際、ひと袋程度なら美味しくても、数を食べると美味しくない……と感じることは多々あります。あくまでも筆者の主観ですが、このスナックはお腹いっぱい食べられるような味ではないと感じました。

 しかし、子供たちはオマケのカードのためには何十個と消費しようとしたわけです。これにより「食べないで捨てる」ということが横行し、その免罪符的に「カードは欲しいけど、お菓子は不味い」という言い訳が生まれたのかもしれません。

 筆者の記憶でも、量を食べられるタイプのお菓子でなかったのは確かで、そういった点で大人になった目線で見ると、けっして不味くなかったという意見が正しかったと思いました。もちろん、これは筆者の目線ですので、他の意見もあるでしょう。

 思えば、仮面ライダースナックはブーム時の数年しか味わえなかったお菓子。風評被害があっても、くつがえすことは難しかったでしょう。同じように社会現象にもなったビックリマンチョコが不味いという話が出ないのも、長期にわたって販売されて味が判別できたからかもしれません。

 惜しむらくは、復刻されたライダースナックが限定商品で、気軽に食せない状況にあることでしょうか。この味を、多くの当時世代の人に味わってもらいたいものです。

(加々美利治)

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