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「いや~」な描写でファントラウマ… 前作までと方向性違い過ぎた『MOTHER3』

マグミクス / 2024年2月27日 21時55分

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■まさしく「トラウマRPG」な『MOTHER3』の魅力と恐ろしさを解説

※この記事には『MOTHER3』のネタバレになりうる内容が含まれています。

 2024年2月22日に、「ゲームボーイアドバンス Nintendo Switch Online」で『MOTHER3』が配信開始され大きな話題となりました。

『MOTHER3』は2006年に発売されたゲームボーイアドバンス用ソフト。糸井重里氏が手掛ける『MOTHER』シリーズ最新作であり、かつ最終作になると思われる一作です。なお、これでNintendo Switchで『MOTHER』シリーズがすべて遊べるようになりました。

『MOTHER』シリーズはその独特な世界設定で大きな支持を得ている作品です。RPGといえば中世(厳密には近世)ヨーロッパ的なファンタジー世界が定番ですが、『MOTHER2 ギーグの逆襲』まではアメリカのような世界が舞台になっています。戦う敵も単なるモンスターではなく、人間や動物、あるいは宇宙人だったりするのです。

 ファンが多いのはもちろんですが、ゲーム業界に与えた影響も大きい作品といえます。インディーゲームとして大人気な『Undertale』は紛れもなくこのシリーズから影響を受けていますし、それこそ「MOTHERライク」なゲームも山ほどあるのですから。

 そんなわけで『MOTHER』シリーズは愛されているゲームなのですが、『MOTHER3』だけはファンからもちょっと特殊なものと扱われています。なぜなら、本作は「トラウマゲー」といえる作品となっているからです。

 おそらく『MOTHER3』をプレイしていない人は「ほのぼのした雰囲気に見えるのになぜ?」と思うかもしれません。実は『MOTHER3』はたしかに前作からの続きではあるものの、明らかに作品の方向性が異なるのです。

 ところで、アゴタ・クリストフによる小説『悪童日記』をご存じでしょうか。糸井重里氏はこの作品に影響を受け、『MOTHER3』の主人公の名前を決めたそうです。しかしこの小説は、戦時下の混乱、人間の醜さ、世の不条理を描いています。……この時点でもう何となく察した人もいるのではないでしょうか。

■シリーズファン衝撃のワケ

Nintendo Switchでついに配信開始となった『MOTHER3』。ファンはただ喜ぶ……と思いきや、トラウマを思い出すことに 画像は任天堂公式サイトより

 続いては、具体的に『MOTHER3』の内容をチェックしましょう。本作のどこがトラウマなのかといえば、第一章の時点でいきなりアクセルを踏んでくるところです。

 第一章の名前は「とむらいの夜」。もはやこれだけで何かが起こることは明白で、その嫌な予感は見事に的中してしまいます。また、映画でよくある「いいニュースと悪いニュースがある」という言い回しが出てくるのですが、悪いニュースはあまりにも悪過ぎて多くのプレイヤーに衝撃を与えました。

『MOTHER3』は「タツマイリ村」という小さな村を中心に物語が描かれています。そして、物語が進む度にこの村はどんどん変化していくのです。

 最初は村人たちが協力しながら暮らしを営んでいましたが、あることをきっかけに村は大きく成長していきます。いわば近代化の道を歩んでいくものの、その様子はかなりいびつになっているのです。

 この「急激に近代化するにつれて大きな何かを失う描写」はかなりグロテスクに見えます。もちろん血が出たりするわけではないのですが、それまで主人公たちを温かく見守ってくれた人たちの態度がガラッと変わったり、利益に目がくらんで大事なものを売り飛ばしてしまう姿は、人間のおぞましさを感じさせます。

 また、仲間のひとりはかなり悲惨な状況にあります。「サルサ」という仲間キャラクターがいるのですが、彼はあやしい行商人に捕まって奴隷のように働かされているのです。人質ならぬサル質をとられているため逆らうこともできず、サルサはことあるごとに電撃で痛めつけられます。

 サルサの旅路はあまりにも悲惨であり、無力さを突きつけられるかのような展開が続きます。ドット絵で描かれているためまだマシですが、本当につらい物語なのです。

 そして、敵のバックボーンも大きな問題です。たとえば「悪いことばかりしている倒すべき魔王」であればそいつを倒す気にもなりますが、『MOTHER3』の敵キャラクターは誰も彼も悲しい過去を背負っています。

 複雑な事情があるからこそ悪の側に立っているのであり、それゆえに主人公たちと対立せざるを得ない。これは設定として見るとしっかり作り込まれていていいのですが、そういう人たちを倒してもスッキリしないどころか、より落ち込むだけになってしまうのです。

 いくつか具体例を挙げましたが、『MOTHER3』はこれ以外にもヤバい要素がてんこ盛り。仮面の男、きゅうきょくキマイラ、トラウマだらけのタネヒネリ島、世界の秘密、諸悪の根源、そしてエンディングなど、どれを見ても心がささくれ立ちます。

 前作までと方向性が違い過ぎて驚きを生んだ『MOTHER3』ですが、プレイヤーに衝撃を与えることは間違いありません。ぜひ、その目でトラウマっぷりを確かめてみて下さい。

『MOTHER3』
(C) 2006 SHIGESATO ITOI / Nintendo
Sound:(C) 2006 HAL Laboratory, Inc. / Nintendo

(すすだま)

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