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ジャンプの三大要素「友情」は最も難しい? 胸アツ王道展開の長所と短所

マグミクス / 2024年3月8日 20時10分

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■ジャンプ三大要素のひとつ「友情」の長所と短所とは?

「週刊少年ジャンプ」三大要素といわれているのが、「努力」、「友情」、「勝利」の3つのキーワードです。人気の高い「ジャンプ」マンガでは必要不可欠な要素だと思います。なかでも、最も扱いが難しいのは「友情」ではないでしょうか?

「友情」の扱いが難しい理由。それは、主人公ひとりでは成立しない点にありました。「努力」と「勝利」はひとりでも成り立ちます。しかし、「友情」は助け合える仲間がいてこそのキーワードでしょう。それゆえ、どんな人気作品でも序盤から「友情」を描くのはたやすいことではありません。

 そういった意味では、格闘ジャンルのような1対1が基本の作品よりも、スポーツマンガのように最初から集団で行動する作品の方が、「友情」を描きやすい傾向にあります。しかし、この格闘ジャンルの短所は、ドラマを積み重ねた作品ほど大きな長所になるものでした。

 それが最も顕著に出ているのが『キン肉マン』でしょうか。「超人オリンピック編」での戦いは基本1対1で、サポートとしての「友情」は何度か登場していましたが、そこまでで終わっています。

 ところが「7人の悪魔超人編」でこの流れは一気に変わりました。それは強大な敵「7人の悪魔超人」をひとりで相手をすることになったキン肉マンに、それまでのライバルだったロビンマスクやウォーズマンが力を貸すという展開になったからです。

 この「アイドル超人」参戦が、『キン肉マン』の人気を決定づけた展開でした。それまでのシリーズで戦っていたライバルとの共闘は、その後の『キン肉マン』の方向性を決定づけたといっても過言ではありません。

 この展開以降、キン肉マンを中心とした「正義超人(アイドル超人)」が、襲い掛かる「悪逆超人」と戦うというフォーマットが確立しました。さらに、バッファローマンといったかつての敵が仲間に加わっていくことで、より大きな「友情」を感じさせるドラマ作りとなっていきます。

 そういう点では、『キン肉マン』が「ジャンプ」三大要素の「友情」を最も色濃く体現した作品といえるかもしれません。作品本編でも「友情パワー」という言葉を前面に押し出し、テーマとして描いている点からもそう思えます。

 あえて問題点を挙げるとすれば、「友情」による仲間のインフレ現象でしょうか。増え続けた仲間の超人たちを均等に描く難しさが、たびたび見て取れます。さらに近年のシリーズでは、仲間の超人たちの活躍を丹念に描くことで、主役であるキン肉マンの戦う回数が減っていきました。

 もっとも、キン肉マン以上にファンが多い仲間の超人も複数人いますので、人気面で考えれば妥当といえるかもしれません。筆者もロビンマスクやアシュラマンの活躍をもっと見たいと思っているので、主人公であるキン肉マンの活躍が少なくても十分満足しています。

■ドリームチーム結成に大興奮した作品

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 前述の通り、「友情」を使いやすいという点では団体競技は恰好の舞台です。これまでの「ジャンプ」マンガでも、多くの作品が感動的な友情シーンを描いてきました。そのなかでも筆者が特筆したいのが『キャプテン翼』です。

 数々の「友情」に基づいたコンビプレイが作品の魅力となった『キャプテン翼』ですが、それが大きく開花したといえるのが「ジュニアユース編」でした。世界に向けて日本代表チームを結成するという流れは、これまで戦ってきたライバルたちが一堂に集まるということ。つまり「作品内ドリームチーム」の結成ということでした。

 そして、この日本代表チーム結成までのドラマ作りも秀逸でした。それぞれの事情から最初にチームに加わっていなかったメンバーが徐々に集まっていき、ようやく全員がそろって完全な日本代表チームになるまでの展開は、納得のドラマを生んだと思います。

 さらに国外の強敵に対して、各キャラクターが自分の持ち味を生かして戦うさまは、それまで作品を楽しんできた読者には大興奮の展開でした。ここにそれまであり得なかった夢のコンビプレイが見られるわけですから、ボルテージは最高潮だったと思います。

 現在も続くシリーズでは、この日本代表が中心になって物語が進んでいきます。格闘ジャンルと違って「選手交代」という方法で多くのキャラクターの見せ場を用意できる『キャプテン翼』は、スポーツマンガの強みを生かした「ジャンプ」マンガだといえるでしょう。

 最後に、忘れてはいけない「友情」を描いたドラマ展開といえば、やはり『ドラゴンボール(DRAGON BALL)』でしょうか。絶望的なほどの強敵が多かっただけに、思い起こすシーンは人それぞれだと思います。そのなかでも筆者的に最も強烈な印象を受けたのは「サイヤ人編」でしょうか。

 この展開以前にも、「ピッコロ大魔王編」では天下一武道会を通じて出会った天津飯と、孫悟空が共闘するといった展開はありました。しかし「サイヤ人編」では、それまで共闘するとは思えなかったピッコロ大魔王の生まれ変わりである「ピッコロ」と手を結ぶという展開となります。

 ピッコロは相変わらず世界征服を諦めておらず、地球を守るためというよりも、邪魔なサイヤ人を倒すため悟空と共闘するという野心ありきの行動でした。悟空の息子である孫悟飯を鍛えるのもその一環であり、魔族に育てるという言葉も漏らしています。

 ところが、最終的に悟飯を助けるという形で命を落としました。この感情の流れもあざやかで、節々にあった伏線が見事につながった瞬間でもあります。この丁寧に描かれたピッコロの心変わりは、さすが鳥山明先生だと思わせるドラマ作りでした。

 続いて、この時の敵だった「ベジータ」の心変わりも丁寧に時間をかけています。当初は仲間にする予定でなかったベジータを、悟空のライバルのままで強敵に対しては共闘する存在にしたのは、見事というしかありません。その感情の変わっていくさまは誰もが納得できる展開でした。

 このほかにも「ジャンプ」マンガでチーム結成による友情展開はいくつもあると思います。みなさんは「ジャンプ」マンガのどの作品のどんな場面で「友情」を感じましたか?

(加々美利治)

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