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ゴミスケでもハイエナでもない! 『サザエさん』ノリスケが実は「有能」だった神回とは?

マグミクス / 2024年3月17日 18時10分

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■ノリスケが磯野家でゴロゴロしている理由

 国民的アニメ『サザエさん』の人気者といえば、サザエさんのいとこである波野ノリスケで決まりでしょう。これまでにも嘘、暴言、ケチ、不法侵入、盗み食いなど、悪徳の限りを尽くしており、ネットの『サザエさん』ファンからは「クズ」「ハイエナ」「ゴミスケ」などの異名をほしいままにしています。

 波平の逆鱗に触れて何度も磯野家を出入り禁止になり、温厚なマスオにまで絶交を言い渡されたことがありました。

 しかし、けっしてノリスケは無能な男ではありません。逆に、とても「有能」な男なのです。昨今はドラマでもアニメでも、無能なキャラクターはとても嫌われますが、有能なキャラクターは好かれる傾向にあります。今回は、ノリスケが有能ぶりをいかんなく発揮したエピソードをご紹介しましょう。

 ノリスケが編集者として有能な仕事ぶりを見せ付けたのが、「未来はバラ色」(2017年3月5日放送)です。「20年後に何をやりたいか」という宿題を出されたカツオが、いつも磯野家でくつろいでいるノリスケを見て「この仕事は楽そうだな」と日本中の編集者が激怒しそうな思い込みをして、「将来は僕も編集者になる」という作文を発表します。

 カツオの作文の内容を聞いて感激したノリスケですが、そのとき、出版社から緊急の電話がかかってきました。担当する雑誌の原稿が、印刷に間に合わなくなってしまったのです。経験の浅い編集者なら顔面蒼白になりそうなアクシデントですが、ノリスケは顔色を変えることなく電話でテキパキと指示を出して出版社へ帰っていきました。

 驚いたカツオがノリスケが担当をしている伊佐坂先生に彼の仕事ぶりを聞いてみると、ノリスケはいつも忙しく働いているといいます。磯野家で休んでいるのは、伊佐坂先生の原稿を待つ間、余計なプレッシャーをかけないようにするためだったのです。ノリスケはただの怠け者ではなかった! ノリスケの有能ぶりに、カツオはあらためて驚かされたのでした。

 そう、締切が迫っていても、プレッシャーをかければいいわけではないのです。すべての編集者に見習っていただきたいエピソードでした。ノリスケが懸命に編集の仕事を頑張って、憧れの作家へのインタビューを実現する「憧れのインタビュアー」(2023年10月8日放送)というエピソードもあります。

 ふたつ目は、「クイズ三昧の日々」(2022年4月3日)という、ノリスケの知性が光るエピソードです。クロスワードパズルの上級編の本を購入したカツオでしたが、難しさのあまり1ページ目で挫折。今度は波平が熱中し、昼も夜もクロスワードの問題を解き続けます。

 ある日、公園でクロスワードを解いている波平のもとにノリスケがやってきました。波平の持っている本を見たノリスケは「あっ、その本、僕もやりましたよ」と言い、続けて「伊佐坂先生の原稿を待ってる間になんとか終わらせましたよ。3時間ぐらいかかったかな」と笑います。何日かけても解き終わらない波平はショックを受けますが、サザエは「あれでいて仕事柄、けっこう物知りなんだから」とフォローを入れていました。

 きっとノリスケは編集者らしく、豊富な知識と多彩なボキャブラリーの持ち主なのでしょう。そうでなければ、伊佐坂先生からもらった原稿を読んでチェックできません。普段、サザエたちの前で知識やボキャブラリーを披露しないのは、イヤミになってしまうからでしょう。我々も知ったばかりの知識をひけらかさないよう、気を付けたいものです。

■ノリスケはケチじゃなかった!

『サザエさん』(朝日新聞出版)

 3つ目は「もてもてノリスケ」(2020年9月13日放送)です。普段はケチなことで知られるノリスケですが、実はそうではないと分かるエピソードでした。タイコがイクラを連れて帰省する間、ノリスケは磯野家の世話になることになります。そこはさすが人気者、子供たちはノリスケの周りから離れません。

 大人たちもノリスケに夢中です。夜は仕事から帰ってきた波平とマスオが、ノリスケと酒盛りしようと張り切っています。タイの尾頭付きの刺身に煮物、瓶ビール4本を前にしたマスオは「思いっきり飲める」と怪気炎をあげますが、子供たちに「飲みすぎないで」と釘を刺されました。翌日の日曜日、ノリスケは遊園地へ行く約束をしていたのです。

 翌朝きっちり起きて、子供たちを連れて出発したノリスケは、サザエの心配をよそに遊園地で自分の財布が空になるまで遊び倒しました。帰宅後、波平の部屋を訪れたノリスケは、「おじさん、これお返しします」と茶封筒を差し出します。波平はノリスケに遊園地へ子供を連れて行ってほしいと頼み、お金を渡していたのです。

 しかし、ノリスケは遊園地代をすべて自腹で負担するつもりでした。「十分お世話になってますから」とサラリと日頃のお礼を言うノリスケに、サザエたちも「律儀なところもあるのね」と感心しきりでした。

 毒のない平和なお話だったので、世の「ノリスケウォッチャー」にはやや不満が残ったようでしたが、ノリスケの律儀さ、ノリスケが磯野家の人びとにいかに愛されているかがよく分かるエピソードでした。

 仕事ができて、博学で、律儀で、子供にも大人にも人気がある。それがノリスケなのです。だからこそ、多少のヤンチャも愛嬌として許されるのでしょう。「クズ」だの「ゴミスケ」だのと笑っている人は、ノリスケを見てわが身を省みるべきなのかもしれません。

(大山くまお)

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